納棺夫日記 (文春文庫)

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著者 : 青木新門
  • 文藝春秋 (1996年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167323028

納棺夫日記 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ブックオフにて「納棺」というタイトルにひかれて購入。いままで様々なお看取りの本を手にしてきました。この本はその集大成的存在だと感じました。

    とても深く難しく理解不能に近い部分がありましたが、それはいつか時がきたらわかることなのかもしれない…と思いながら読み終えた。死生感を書く本はどんな作者の本でも、薄っぺらくて共感できにくいことが出てきます。この本も共感できにくい部分もありましたが、真摯な一文一文に息をのみながらページをめくりました。

    死者が佇む淵までスーッと降りていき対等な立場になり、深いまなざしを持って死者と向き合う。光とも闇とも言えないただ静かな場所で語りかけながら納棺していく。不思議な光の存在、光現象に触れられている第三章「ひかりといのち」は圧倒的でした。

    星たちの誕生と、その臨終の時に起こる現象。星たちだって地球だって人だって生死の瞬間は酷似した現象が起こる、という考察はとても興味深く印象に残りました。

    =世の中には、詩も書けない。何をやってもうまくいかない、人に迷惑をかけっぱなしの、心優しい詩人たちが沢山いる。=(124ページ)

    宮澤賢治、他、菩薩行や詩人についての話がとても深く心に残りました。
    2018年積読本消化2冊目。本棚保存。

  • 死について深く考えさせられる名著。現代は生きることに重きを置かれすぎている。医者の役割は延命措置である。科学の進歩の多くは医療革新に関心が持たれている。「生」に関心を持つことはいいが、その反動で「死」が無視されていないだろうか?
    死は、生者の視点からでは解決できないと著者は言う。生と死という別々の概念を超えた「生死」の境地でいることでこそ、死を徹底的に見つめて生を輝かせる。そのような境地に達した人間には、光が見える。釈迦や親鸞や、さらには死を悟ってなお安らかに死を受け入れることのできた人の多くがそのような目には見えない光を見ている。
    光を見た人間は、いのちの連続性への奇跡の念と感謝の思いが生まれる。それが、正岡子規の「悟りとは、平気で死ぬことではなくいか何時でも平気で生きることである」という境地につながるのだと思う。
    本書はそれだけでなく、詩の魅力を教えてもらった。金子みすゞ・宮沢賢治の詩などを引用して彼らの死生観と自身の経験とを結びつける著者の感性の豊かさには脱帽した。

  • 映画「おくりびと」から本へ。映画はこの本から「納棺夫」という職業といくつかの小さなエピソードを持ってきているけれど、本の内容とは別物だと思う。ただ、映画もそれはそれですばらしい作品だった。

    著者の経験と、美しい文章と、深い死生観・宗教観、非常に内容の深い本。年を取ってからまた読み返したい。

  • 『おくりびと』のあとに、『納棺夫日記』も合わせて読んでみました。
    作者の青木新門さんが、納棺師の現場を綴ったものが第一章。
    『おくりびと』の中の場面は、そこかしこに登場します。

    第二章では、仕事をしながら見聞きした様々な死が登場します。
    事故による死、看取るひとのいない死、まだ早過ぎる死。作者は目を背けず切々と書いています。

    圧巻は第三章の「ひかりといのち」です。
    ご遺体を、右から左へと物のように扱っても、仕事と割り切ることは可能です。
    あまりに多くの死に出会うと、麻痺させなければやっていけない部分も出てくるでしょう。
    しかし、この作者はそれをしませんでした。

    ひとはどこから来て、どこへ行くのか、生きるとは何か、死ぬとは何か、宗教や
    哲学や詩など様々な引用を用いながら わたしたちに考えさせます。
    ひとつの仕事を通してここまでの境地になれるというのは、やはり希有なことで、
    映画化されて人気を博すのも分かるというものです。

    わたしのこの本には、水色の付箋がいくつも貼られています。
    心にとまった箇所に、こうして貼るのがいつもの読み方です。
    後で何度も読み返すためです。
    咀嚼して、反芻して、理解できたと思ったときに、この付箋をはずします。これは、そういう作品です。

  • ノンフィクションと思えない物語風な話で、人の生と死について考えさせる本でした。

  • 日記の部分は少ない。でもその日記の部分はとても響いた。

    死は悪ではない。
    現代の隠蔽された死を露わにしてくれる。


    僕は死んだ人に触れたことがない。

  • あとがきでも書かれていたけれど、私も1章2章派だな(^_^; 基本職業的文筆家ではない人の書いた文章だな、という印象を受ける本。
    あとまああれだ、本の中で散々批判されている側の人たちを、身近に昔から知っているからなー。そんなだけじゃないだろー、とも言いたくなる。

  • 2016/12/12
    講演の余韻がよみがえる。

  • 難しかった~~~。
    わかってはいましたが、宗教が大きく絡んでくるのでなかなか読みずらい。
    でも、この手の話が他にもあれば読んでみたいです。

  • 一章、二章と読みやすさを携え、これはノンフィクションなのだろうかと思うぐらい物語性に富んでいた。非現実のような現実。知らなかった事実。目を背けていた死との対峙。まざまざと眼前に突きつけられ、しかし己の未熟さを責めるわけでもなく、それを温かく、著者の体験として迂遠ながら間接的に教え諭してくれるような、そんな小説だった。第三章は、著者も言うように仏教用語のオンパレードで、ここにきて本作品がノンフィクションであることを思い出させる。司馬遼太郎が、専門用語による緻密な記号の羅列により成立する文は、学術論文ならさもありなん、小説においては控えるべきとあとがきで書いていたため、著者も加筆修正を加えようかと悩んだと言うが、個人的には(読み解くのは難解だが)これでよかったのだと思う。また、本当に幾つもの文献から、深淵な言葉が引用されており、それだけでも一読に値する。「風立ちぬ」に似た雰囲気をもった小説だと感じた。

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納棺夫日記 (文春文庫)の作品紹介

掌に受ければ瞬く間に水になってしまうみぞれ。日本海の鉛色の空から、そのみぞれが降るなか、著者は死者を棺に納める仕事を続けてきた。一見、顔をそむけたくなる風景に対峙しながら、著者は宮沢賢治や親鸞に導かれるかのように「光」を見出す。「生」と「死」を考えるために読み継がれてほしい一冊。

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