- Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167323073
作品紹介・あらすじ
戦後も安定期に入った。私こと「坊や哲」は唐辛子中毒で身体を壊し麻雀から足を洗って勤め人となった。ある日、会社の仔分がおそろしく派手な毛皮の半オーバーに鍔の広いテンガロンハットをかぶった一人の男を連れてきた。ドサ健だった。そして私は、再び麻雀の世界に身を投じることになった。感動の完結篇。
感想・レビュー・書評
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時代の流れに取り残されていく博打打ち達が切なく愛おしい。
ドサ健、上州虎、出目徳、女衒の達、チン六、森サブ、李億春……そして坊や哲。奇妙な仲間達である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔読んだ本
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とうとう最終巻を読み終えてしまった。もうこの物語がないのかと思うと、寂しくなってしまう。
戦後の復興期に博打に生きた男たちの生き様が、普通のサラリーマンにはグッとくるものがあった。
そうは思っていなかったが、これはハードボイルド小説だった。
麻雀知らなくても面白く読めます。
(90) -
巻末の柳美里の解説がすごく良い。ばくち打ちだという彼女自身の父親と祖父のエピソードを混ぜながら、麻雀放浪記全4作を、登場人物たちの変節を切り取って説明している。
この番外編は北九州から東北まで続くロードムービーのような展開。昭和30年後半から40年前後の高度成長期前夜の時代。麻雀は大衆化がすすんでいるが坊や哲はサラリーマンとなっており、麻雀はたまにやる程度。かわって物語の中心となるのは在日中国人の李憶春という人物と、相変わらずの上野のドサ健、鑑別所がえりの大工の森サブという若者。
エピローグの夜の森のシーンのドサ健の無言の叫びが印象的。 -
文学
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最後の麻雀が爽やかで好きだ。
こんな連中と打ちたくないけど……一線を越えた男たちならではのやりとりなのでしょうなあ。 -
これは完全に余談である。シンデレラは幸せに暮らしましたとさ、というようなイメージで語れないんだから、とサービス精神で作者が描いてみたんだろう。
公園で、ブランコをこぐ子供を見て、あぁ僕にもそんなことがあった、と思い、老人があいさつをかわしているのを見てそんな風に自分もなるのだろうかと思う、そのような時の公園には僕の時間の流れがひとところにある。
この第4章にはそんなところがあって、卓を囲んで若者と脂の乗った年長者と、先行きの短いもの、それぞれが個性的だが、あれが私であると言えるように書いてくれたはずだ。
つまるところ、「死ぬまで打つ」。巻末柳美里の解説もよかった。 -
正規の麻雀放浪記としては最終巻。番外編だけあって、哲は主に語り部として活躍する。新キャラの李を中心に九州から大阪、東京と舞台が変わっていくのが特徴。番外編だけに熱さは減っているが、ラストの戦いは決着も含め面白かった。
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結局麻雀のことは何一つわからなかったけれど面白かった。博打だけで生きているひとって、今の世の中いるんかしら。全く想像できない世の中だし、じぶんにはそういう生き方は出来ない。したくないのではなくて出来ないなーと思った。
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坊や哲が一戦を退いてからの、他のバイニン達の話。時代も流れバイニンでは生きていくことが難しくなったなかどうにかもがいていく様が書かれているが、勢いもなく、登場上人物たちも痛々しい。