21世紀 知の挑戦 (文春文庫 た 5-12)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167330125

感想・レビュー・書評

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  • 20世紀とはどんな時代だったのか?そして21世紀はどんな時代になるのかを著者が1998年の段階で推測している。

    地球史を24時間で表すと、ヒトが現れたのは23時59分3秒。そして20世紀が始まるのは23時59分59秒99、つまり地球の歴史からすれば人類史、しかるに20世紀などほんの一瞬に過ぎないのだが、この20世紀に人類は過去に類をみない飛躍を遂げる。
    人口は200年前に比べて10倍以上に跳ね上がり、エネルギー消費量もそれ以上の伸びを見せる。
    フォード社が1903年にできると、フォード式大量生産により、一気に自動車は普及され、20世紀の産業全ての大量生産のモデルとしてフォード生産方式はインパクトを残した。
    テクノロジーの発達はサイエンスの発展も飛躍させ、宇宙の成り立ちや性質、更にはアインシュタインの相対性理論は宇宙スケールの現象の全てに当てはまるものとなる。
    戦争によりコンピューターが産まれ、より高度なものがより小さく、今では身の回りの物に搭載されるようになった。

    躍進の話から一転して、残された謎、「ツングースカ大爆発」の話題に移る。
    1908年、ロシアの奥地ツングースカにて正体不明の大爆発が起こる。それはヒロシマ型原爆数先発分の規模であり、水爆に匹敵する威力だった。
    木山を黒焦げにし、人やトナカイを灰と化したその大爆発なのだが、原因がわからない。当初は隕石説が有力で、長い期間をかけて調査が行われたが、ついには爆心地から隕石の痕跡は発見されなかった。その他の様々な研究を重ねても、結局真実は未だに闇の中、20世紀における解明されない謎の1つである。
    (後述)本書の出版された2000年7月の段階では謎だったツングースカ大爆発を調べたところ、2013年に謎は解明、爆心地から微小の隕石の残片が発見された事により、彗星説が有力だったのが覆され、当初の予測通り隕石の衝突によるものだと実証された。これもまさに本書のタイトルである、13年の間に進んだ科学による21世紀 知の挑戦の産物であろう。

    そしてバイオ、遺伝子、サイエンス。人間の能力には限界はないという進歩の課程を描く内容。
    段落によっては専門的すぎて飛ばしたところも多かったが。

  • TBS 1999年 人類最先端2000年スペシャル
    の 取材から スピンアウトした。
    21世紀が どんな時代になるのか?

    こんなふうに 大づかみに 時代をみることが
    必要な気がした。つまり、100年単位で 世界を見ること。
    時代は どのように変わって行くのか?
    もしくは、変わろうとしているのか?

    日本の教育が 理系軽視 そして 
    生物学軽視であることを警鐘する。
    20世紀が サイエンスの 時代であるならば
    『知の爆発』
    21世紀は コンピュータとバイオテクノロジーの時代となる。

    『未来は突然始まるものではない。
    未来は必ず現在に接続しており、現在の中に、
    未来のスペアヘッド(槍の穂先)が突き刺さっている部分があるものだ。』

    20世紀は 人間の歴史において、
    これほど激しく劇的に変化した時代はいままでにかってなかった。

    200万年前 100万人の人口(オーストラロピテクス)
    50万年前 170万人の人口(ホモエレクトス)
    平均寿命は 20歳以下
    1万年前 農業が始まる。500万人。
    7700万年前  6600万人。
    紀元1年 1億3000万人。
    18世紀  6億人
    19世紀  9億人
    20世紀  16億人

    20世紀は フォードの大量生産
    1903年 フォード社
    1908年 T型フォードをつくる。

    宇宙が 生きている。
    科学の進歩によって 宇宙の姿が明らかになってきている。

    これから、遺伝子の解明ができることで、
    まったく あたらしい 生命像が 生まれる。
    生物は 共通している。統一のシステムで。
    がんのメカニズム それに対応する治療方法。
    それが、ニンゲンの いのちのあり方も
    変わらざるを得ないかもしれない。

  • 本書が発刊されてから10年以上が経ち、今日のサイエンスは全く想像できないほど発展したはずである。科学史的な態度で通読すれば、現在に継続している問題点、問題の出発点を掌握することができる。

    日経新聞を読むうえでも、サイエンス、テクノロジー、産業に関する分野の基礎知識を、日々更新させておく必要があると感じた。とりわけ、遺伝学は、分子生物学、農学、医学、医療にかなり影響が及ぼされると理解できる。

  • 20世紀はサイエンスの時代だった。21世紀は、コンピュータとバイオの時代になるだろう。遺伝子。分化医学。

  • 大きな病気した事がないので、医療について研究したことがないが、バイオについては注目していこうと思う。コノ本は10年前に書かれているが、さてこの10年でDNAの研究はどこまで進んだのだろうか。
    医療とバイオの研究が、倫理や哲学の問題につながってくるところも興味深い。

  • 科学を俯瞰する。一方で,今の日本がいかに科学をないがしろにしているかも警告。科学研究でベンチャーが立ち上がる国にしたいですね。

  • 流れは把握出来るが、個別の説明を理解するには、私の知識が不足しており難しかった。

  • 2000年にTBS系列で放送された「ヒトの旅、ヒトへの旅」シリーズで
    取材した内容をまとめた書籍。

    バイオテクノロジーの先進的事例を数多く紹介しながら未来をみつめる構成。
    書中後半、国家公務員Ⅰ種試験合格者向けの研修会で講演した内容を収めているが
    その内容は非常に分かりやすく、ここを読むだけでも価値があると思う。

    それにしても、立花隆は難しい話を分かりやすく書くという才覚に溢れている。
    羨ましい。

  • 人って無限だなぁー

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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