ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (文春文庫 た 5-15)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 541
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167330156

感想・レビュー・書評

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  • まず目次でびっくり。脈略のない単語の羅列に出鼻をくじかれた思いでした。本書は週刊文春に連載された立花隆氏「私の読書日記」の '95/11 〜 '01/02 約五年分をまとめたもの。「ぼくはこんな本を読んできた」の読編です。一回につき三冊から五冊のペースで当時の新刊が紹介されているものをそのまま並べたので、目次が意味不明な単語の羅列に見えたのでした。序章では、著者が読書についてどのようなことを考えてきたか、いかにしてたくさんの本を速く読んできたか、についてまとめられています。

    「生涯、情報の海にひたり、一箇の情報体として、情報の新陳代謝をつづけながら情報的に生きる」が信条の立花氏。

    そもそも全文通読が基本的必要条件となっているたぐいの本 (すなわち、長編小説、ミステリー、時系列に沿って読むノンフィクション... ) を読むことが少ない、とのこと。ヒマ人向きの本を書評に取り上げる文人墨客、趣味人は他にいくらでもいるのだから、立花氏は「読書日記」では、知識を得られる本について、その本が読む価値があるか否かに要点をしぼり、批評は控え、簡潔に書評をまとめることを心がけたそう。そして目標は、的確で魅力的な引用を紹介し、読者に思わずその本を手に取ってみたいと思わせること。

    速読術については、立花氏が必要に迫られて自然と身につけたものらしい。彼は読書には音楽的読みと絵画的読みがあるとしています。音楽は時間芸術。シグナルを時系列的 (読書なら逐語的に) に聞きとっていくことではじめて意味把握が可能になります。一方で絵画は空間芸術。少し離れたところに立って、パッと全体像をとらえるもの。読書にそれらを応用し、絵画読みで全体的な本の構造をつかみ、音楽的読みは、細部を読み込む際に取り入れる。絵画読みの時点でつまらなかったり、易しすぎたり、難しすぎたりしたら、潔くその本を読むのを辞めるべし、と説いています。

  • 週刊文春に収められた立花隆氏の「私の読書日記」の1995年11月30日号〜2001年2月8日号までの約5年分をまとめたもの。巻末にある捨てる技術を一刀両断する、という断捨離に対する立花氏の痛烈な批判がいい。
    文系、理系問わず集められた本を短く紹介しているのだが、実に内容をよくわかる形で書かれている。こういう本を読みたかった。もし、ここに紹介されている本を個人で全部読めと言われても到底無理である。金銭的にも場所的にも。時間的にも。この本を読んで興味が湧いたら、原著に当たるのがもっともいい方法だ。何冊か、読みたい本を拾い出している。

  • 『ぼくはこんな本を読んできた』の続編的な位置付け。

    立花氏の考えの全てに同調できるわけではないが、勉強に対する姿勢は大いに見習うべき。

    最後に収録されている“『「捨てる!」技術』を一刀両断する”には完全に同意。私も職業柄“いつか”はしょっちゅうやってくる。

  • 文学
    思索

  • 3.5
    ノンフィクション中心に多岐にわたるジャンルの本を紹介。目次、段落一分目読みなどて大枠を掴みつつ気になる場合は数回読むという速読術は参考になった。最後に、捨てる技術に対する痛烈な批判があるが、本や思い出の品に対する感覚が近く納得した。本紹介の中にはいくつか読んでみたい本もあり、なかなか面白い。

  • 二回目。立花隆さんの書評集。これを読むと、読みたい本がたくさん増える。政治、経済、歴史関連は言わずもがな、理系まで幅広いジャンルの本が紹介されている。理科系は生命工学と宇宙が多いのは立花さんらしい。

  • 『ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論』(文春文庫)の続編です。

    「宇宙・人類・書物」というタイトルを持つ、やや長めの序章に加えて、『ぼくはこんな本を読んできた』の続きに当たる、『週刊文春』で連載された読書日記、さらに辰巳渚『「捨てる!」技術』(宝島社文庫)を批判した文章などが収められています。

    人類史的な、あるいは宇宙史的な広大な視野のもとで読書という営みを考えるという試みには興味を覚えます。本書での考察にも啓発されるところも多かったのですが、ただ個人的には、この手の壮大な読書論を語らせるならば、松岡正剛の右に出る者はいないのではないかと思います。

  • 『ぼくはこんな本を読んできた』(1995年単行本発刊)に続く、『週刊文春』の連載『私の読書日記』の1995年11月~2001年2月分をまとめたもの。
    まえがきでは、「少なくとも毎週一度は大手の書店の店頭に行って、相当丹念に新刊本を見てまわるようになった。それをするとしないで、世の中の見え方がちがってきたのである。やはり書店というのは、一国の文化の最前線の兵站基地みたいなものだから、そこでの物流(情報流)を見ていると、一国の文化、社会の全体像がよく見えてくる」、「どのような一冊の本も、一枚のチャートにすることができる。・・・大事なことは本を読むときに、逐語的に文章を読み、逐文章的に本全体を順次読んでいこうとしないで、本全体の構造がどのようにできているか、その流れだけをとりあえずつかもうとすることである」などの実践的ノウハウが語られている。
    また、終章では、2000年にベストセラーとなっていた辰巳渚の『捨てる!技術』を一刀両断し、「ヒトが他の生物とちがう最大のポイントは何かというと、・・・はじめて本格的にストックを作り出して利用する、ストック依存型生物となったことである。・・・人類社会史の中核には、いつもどのようなストックをどのように生産し、どのように保存し、どのように分配するかという問題があった。その問題をめぐって、技術が発展し、文化が生まれた。・・・このような人類史的バックグラウンドを持つ人間にとって、「捨てない」は最も大切な基本価値である」と述べており、立花氏の面目躍如である。
    (2007年8月了)

  • 今まで断捨離という言葉に何だかモヤモヤしていて「本当にそうなのかなー...」なんて思ってた。みんな当然のように捨て始めてそれが素敵なことで素晴らしい生活を送るためには必要なことで本当にその通りなんだと、そんな風潮にどうしても違和感を覚えていた。
    この本の最後に筆者が断捨離について痛烈に批判しているページがある。これを読んで、「あー、やっぱり僕の考え方もそんな間違ってなかったんだなー」って素直に思った。
    僕は自分が大切にしていたものを簡単に捨てたくはない。そのとき大切にしていた物と気持を、いつまでも大切にしていたい。たとえそれが自分にとって痛いものでも、その痛みも変えることなく一緒に生きていきたい。

  • 人生は有限だから、これほどの博覧強記を誇る人物であっても、いや、そういう人こそ取捨選択を大事にしている、というのは参考になる。
    読書の仕方をちょっと変えてみようかなと。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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