- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167348090
感想・レビュー・書評
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読了日不明
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タイトルに「真夏」とあるように、この時期読むとより実感が湧く。蒸し暑く、肌にまとわりつく。閉塞感が、どの短編にも色濃く漂っていた。少年の日の悲しみ、痛み。人間の背負う苦悩を少年の目を通して映し出す。宮本輝独自の視点である。寂しくて切なくて……。短編は余韻を残して終わる。戸惑う。その先は、読者に委ねられているのである。ずっと委ねられたままになってしまうかもしれない。でも、そのいつまでも残る余韻が人生の何かを語りだすときがくる。人は大人になっても、いつまでも子供のままである。ただ、子供に見られないようにと、精一杯装っているだけ。装う以前の少年少女を見ることは、人間の本質を見ることになる。宮本さんの表現方法のひとつではないだろうか。
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短編なのに重いので、読後のメンタルリカバリーが利かない。
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9編の短編から成る小説。
内6編は少年の視点から描かれており、この少年たちの視点を通して(少年を装った大人ではなく、まさに少年そのものの視点で)、時折大人の世界から垣間見える生死・貧困・暴力・性の姿を捕らえている。
これから大人へと成長していく子供の世界にはまだ存在しない人生の哀愁や苦しみが少年の心に、少年時代の一記憶として、そして永久に忘れることのない記憶として刻まれていく様子がありありと描かれている。 -
豊かな生活しかした事のない人にはわからない、饐えた匂いに溢れた力作。
短編ながらもズッシリとした読み応え。
「真夏の犬」「トマトの話」は特に心を揺さぶられます。 -
9つの短編集。どれも庶民的な場所が舞台のありそうなないような話の詰まった小説。文章がうまいので他の作品も読んでみたいなぁと思えた。7.Mar.08
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ホット・コーラ!?
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まだまだ宮本輝は私的にブームだったりします。長編も何本か読みたいのですが、短編も捨てがたい。
庶民的な場所が舞台となっているわけですが、生活のにおいを漂わせながらもどこかに懐かしさがある作品はどれも
清廉な印象を受けます。解説にある「透明感」という言葉はぴったりではないかと思います。
『ホット・コーラ』と『赤ん坊はいつ来るか』がとても好きです。
そこにあるのは“同情”という思いかもしれないけれど、それを隠すことなく事実に向き合う姿、受け止める姿に
生きた人間の生活を見ます。それが生の感覚であり哀しみのように思いました。 -
悪くはないのだけど、「避暑地の猫」の対をなしているかと思ったのでちょっと期待はずれ。
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1995.10.20