睡蓮の長いまどろみ(上) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.19
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本棚登録 : 390
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167348151

作品紹介・あらすじ

イタリアのアッシジで、42年前に自分を捨てた母・美雪に身分を隠して再会した順哉は、帰国後、喫茶店のウェイトレス千菜がビルから飛び降りるのに遭遇する。自分と父を捨てて家を出た美雪の事情がしだいに明らかになる一方で、死んだはずの千菜から手紙が届くようになる-。謎が謎を呼び、ミステリアスに物語は展開する。

感想・レビュー・書評

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  • 2000年の作品。私は著者の作品は好きで60冊くらいは読んでいるのではないかと思います。著者の作品は純文学に位置されていると考えられるのですが、難解な印象は持っていません。特に彼の作品に出てくる関西弁の優しさには、うっとりすることが多々あります。今の大阪では死語になっでしまったような言葉や言葉遣いが出てきます。それにウィットに富んだ部分もあって、読みやすくて好きなんです。この作品は、ミステリー仕立てで、どのように物語が進んでいくのか興味津々です。

  • 160615

  • この方の作品は初めて読みました。
    母親と会うシーンや事件に巻き込まれて
    しまう。続きが早く読みたいです。

  • 下に

  • 母の告白、よかった。
    読みながら母の言葉が染み込んで行った。文章のなせる業と思う。

    そして、いたずら電話の犯人も、手紙の差出人も、すべてがクリアになってよかった。

    ただ主人公の癖?だけが私には理解不能。育ての母親から十二分な愛情をもらって育てられても、本能は生みの母親の愛情を求めているのか、うーん、わからない。残念。他の方の感想読んで理解したいと思う。

  • さすがと言いますか、読み始めると引き込まれてしまいます。やはり宮本さんの文章は私の波長に合うようです。
    しかし、アウトラインを書こうとすると悩んでしまいます。息子と母親の再会の物語。両親の離婚に隠された秘密。このあたりがメインストーリーなのですが、その他に"十七歳の少女の目の前での自殺"および"内なる女性"というもう二つの流れがあります。少女の自殺は伏線として意味のあるものですが、あまりに扱いが大きすぎるように思えます。更に内なる女性については、この設定が何故必要だったのか理解に苦しみます。
    もう一つ、私が宮本作品から離れ始めた理由−−物語りの流れと無関係な"世間に対する怒り"−−が少し顔を出してるようです。
    もう少し整理すれば、綺麗な作品になったろうに。そんな気のする作品です。

  • 宮本さんらしい

  • ある事情で離ればなれになってしまった母と子。
    その何十年ぶりかの邂逅の果てに現れる新たな感情。
    親と子のつながりとは何とも複雑なものだと改めて思いました。

  • この人の近作、文体に凄味がなくなってきて面白くない。
    三十頁ぐらいで飽きて、下巻のラストを読んだが気持ちわるい描写だったので、棄てることにした。買うんじゃなかった。

  • 主人公は、赤ちゃんの時、母に捨てれた。でもけっして不幸ではない、父や養母は優しかった。自分の家庭もあり、大切にしていた。けれど彼にはひとに言えない秘密もあった・・・。
    てな感じの、不思議なはなしで。

    会社で、若い女の子の自殺の場に遭遇し。
    それに関して、また、気がかりな出来事もあって。

    捨てられた母に、自分を隠して逢いに行く。
    同僚の生き方にも刺激を受ける。

    思い返せば、盛りだくさん。ぎゅう、ぎゅう。
    でも、感覚的にはそうでもないんだ。
    重い重いはなしなようで、そう感じさせない明かりがある。

    いろいろ起きたけど、ひとって、日常って、けっこういろんなものを抱えているもんだよなと思わされた。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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