約束の冬〈下〉 (文春文庫)

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著者 : 宮本輝
  • 文藝春秋 (2006年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167348212

約束の冬〈下〉 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 32歳氷見留美子と偶然家の向かいに住む54歳上原桂二郎を通して約束とは何かを問う作品であった。
    人生を10年の節で考えていく中で人は色々な体験をしていくものであるが、約束とは、命懸けでやるものと留美子を通して語らせる。
    約束とは、決めごとではなく、そうありたいという希望である。芦原久美子との70歳でのネパール旅行は、死んではいけないというまさに「希望」である。また、「目標」といえよう。
    須藤潤介が遠い昔の子供がした約束に対して画竜点晴を欠くということで果たそうとする。
    それは、義務として受け取れる。(自分がしたくてする)おさえつけられたものでなく。約束には、権利と義務があるということであろうか。
    上原俊国の10年前にだした手紙という約束は、希望であり、それは、一念があったため果たされる決意である。

  • 15歳の少年が22歳の女性に恋をし、ラブレターを送る。
    その恋が実るのか、どうなのか。という話があくまでこの物語の主軸。

    その主軸の周りに様々な人間が登場し、そのなんでもない、時にはイレギュラーな交わりが展開されていく。

    「人は何を拠り所にして生きていくのかを問う、宮本文学の新しい傑作」という触れ込みではあるが、それにしては迫力不足。それは以下の理由からだろうか。

    ・登場人物が多すぎる。次から次から出てきて、「いいエピソード」を持ちすぎている。それゆえ、全体として何を言いたいのかのメッセージ性が薄れる。
    ・主軸であるはずの恋愛の、プレイヤーの感情がうまく描き切れていない。特に男側の俊国。彼が主語となることはないのだが、それにしてももっと彼の内心を描いてほしい。15歳から25歳までひとめぼれの7つ上の女性を好きでい続けるというのはすごく違和感がある。

    高校時代の恩師である国語教師が「宮本輝は最近好きじゃない」とよくおっしゃっていたのを覚えている。僕もまさに、この小説を読んでそう思った。

    すごくきれいな話じゃなくていいから、シンプルに、ストーリーを展開してほしいものだ。

  • ゆるやかな展開、深く想いを馳せる。
    よいねー。うん。
    最後は早く読み終わりたくてちょっと急いたけど。もったいなかった。


    佳二郎の欲求。その原因と行き場。
    留美子と俊国の想いの線上。

  • この作品に登場する人物は、作者が「このような人が自分の近くにいてくれればと思える人物だけをばらまいて…」とあとがきで書いているように、大人で、優しく、人生に対して真摯だ。そう、作者の意図するように、大人が幼稚化した現代において、若い人たちの規範となりうる大人の姿なのだ。そのため、平成の作品であるにも関わらず、まるで古き良き昭和の小説を読んでいるかのような錯覚に陥る。
    留美子をはじめ、上原さん、須藤潤介、新川秀道、芦原小巻、料亭の女将鮎子…登場人物が皆いい!中でも上原氏は本当に魅力的で、私が留美子だったら、ラブレターをくれた息子より父親である上原氏の方に惹かれると思う。
    難をいえば、留美子と俊国の十年後の対面をもうちょっとロマンティックに書いてほしかったな~ということかな。まあ、書かないからこその美しく妄想できたのかもしれないけど…

  • どの登場人物をメーンにしてるかわからない。
    どの人物も中途半端な気がするが,宮本さんの解説でなんとなく納得しました。

  • 登場人物が皆、素晴らしい人間性をもっていて、自分の近くに居たら、刺激をたくさん与えてくれるだろうなと思いました。
    場面場面での会話や景色など、心に残るシーンは多くありましたが、物語が収束していく部分において、性急さを感じてしまいました。
    魅力的な人物が多かっただけに、各人物の最後の部分をもっと掘り下げて欲しかったです。

  • 読み飛ばしたかと思った。
    翠英と桂二郎の朝の別れ とか、
    いつの間にか留実子と俊国が愛称で
    呼び合う仲になってた とことか。
    それぞれの章の裏側で、
    話は少しずつ進展していた。
    ひとつひとつ 細かく書かなくても、
    読者に委ねるのもありなんだね。

    桂二郎が、なんともまぁ、正直に、
    若い女を抱きたい、若ければ若いほどいいって のたまうこと。笑えた。
    若い女の企みに、騙されたと思うか、
    少しの間、夢を見たと思うか。
    幼い企みが気の毒に思えるほど、
    おとなの余裕を感じる。

    豪快な北海道も、閑静な総社市も、
    まるでその場にいるかのような気分。

    心落ち着く いい本だった。

  • この作品を読みながら、自分自身、今まで何回くらい約束をしただろうかと思い浮かべてみた。
    人と人との関係が繋がって、約束を交わすことが、この作品の中ではとても素敵に描かれていた。
    魅力的な登場人物たち、 飛行蜘蛛のエピソード、樹木や葉巻の薀蓄にゆったりと浸りながらも先が気になってあっという間に読み進めた。
    それで、結局、留美子と俊国はどうなったの?
    緑には打ち明けたの?
    この2点がはっきり判らなかったのが、ちょっと残念。
    留美子に関しては、きっと新しい恋が芽生えたのだろうなという話の流れだったけど。
    12月5日、留美子と俊国一緒に飛行蜘蛛を見に行く場面も読みたかったなあ。

  • 実は、氷見留美子が主人公ではなくて、雪迎えの蜘蛛と上原桂二郎が主人公だったのかも。十年後の約束が、なんだかうやむやになってしまって残念だった。

  • わりとミステリ色が濃くなりました。自分の気持ちを追いかける留美子は先を見ていて、周りとの繋がりが広がる中で過去を振り返る桂次郎、これが歳の差なのかなと思います。やっぱり立場的に近い留美子の章の方が読みやすいかったです。
    留美子と俊国の関係にしても、少年時代からずっと年上の女性を思い続けているような良い男がいるわけないんだけど、それがするりと当たり前のように今の2人として成り立つんだからこの作品はすごいと思います。上品ってわけじゃなくて、しっとりとした品のある作品という感じ。
    俊国のおじいちゃんが味のある人物だったので最後にもう一度お目にかかりたかったなと思いました。

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