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この作品からのみんなの引用
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「一人の人間は、本当の意味では、一つの時代にしか生きられない。」
― 585ページ -
流行作家滅び易しと云う。しかも、不流行作家はもっと滅び易いではないか。不遇作家に至っては滅ぶべき何物にも、まだ居ないのではないか。文筆に志し、一代の流行児となる。また男児の一快事でもある。二三年にして、滅ぶも以て瞑すべし、六七年もつづけば、幸運である。一生どうにかお茶を濁すことを得ば、僥倖である。もしそれ後世に伝わると否との如き、すべて死後のこと、豈心を労せんやだと僕は思っている。
― 584ページ -
が、この少女は、夜ごとに下る白露に育まれた自然の花のような生きた新鮮な美しさを持っていた。人間の手の及ばない海底に、自然と造りあげらるる、天然真珠の如き美しさを持っていた。一目見て美しく、見直せば見直すごとに蘇って来る美しさを持っていた。
― 98ページ
みんなの感想・レビュー・書評
20120414読み終わった(青空文庫)
このどろどろした展開は昼ドラ向きだなと思いながら一気に読んでしまった…。読了後に調べたら、やはり幾度か映像化されていた。近年では2002年の昼ドラ(ただし、原作に忠実ではなく設定やあらすじはアレンジされ特に後半は脚色が強いらしい)。いや~強烈だった…。
物凄く体力使って読みきりました…こんなにも疲れる読書なんて、近年稀にみる珍しさ。昼ドラの展開を期待していたんですが全くもって別物でした。前半の設定だけが一緒で中盤以降全然違うの。瑠璃子さんは真珠のネックレスを大事にしていた訳でもなく、直也さんに「お待ちになって!三年…いえ二年お待ちになって!」「この真珠のように綺麗な体であなたの元へ帰ってきます」と操を守る宣言をするでもなく(宣言してないだけで操は守ってましたが)、片や直也さんはあの燃えるような執念を見せるでもなく、成金のおっさんはあっけなく逝き、残った瑠璃子さんは女郎屋を営むでもなく自宅サロンで取り巻きの男どもを弄び、その様はさながら毒蜘蛛のようで、義理の娘の美奈子さんこそ真珠の如き純真さを持っていました(長) 勿論あの名物、たわしコロッケも出てきませんでした。
はたちの時に読んでこれはと思った本。おそらく菊池寛はフェミニズムという思想は知らなかったであろう。(当時の日本はそんな思想なかった時代ですし)しかし、今の世の中は、国家や法律、社会の組織までもが、女郎屋やお茶屋など、女性を公然と弄ぶ機関を容認しているという瑠璃子の主張は、大正時代に書かれたとは思えないほど現代的。
叶わなかった恋愛、親子ほど年の離れた成金男との結婚と死別、身体と心は誰にも与えず男たちを誘惑し、妖婦と言われながらも復讐をする瑠璃子の姿は気高く美しい。
5月31日読了。困窮する華族の美貌の令嬢・瑠璃子は、父を陥れた成金・勝平に復讐の誓いを立て・・・。未見だがドラマが一時ブームを呼んだ作品、作中で尾崎紅葉を「通俗的か否か」と論ずるシーンがあるが、「通俗的」とはすなわち「滅法面白い」ということなのか!清純な処女の戦いを描く前半は少女漫画のようであり、毒婦と化した彼女に平凡な会社員が挑む中盤は「エクソシスト」顔負けのホラーのようであり、彼女とその娘と学生の三角関係を描く後半はもどかしい恋愛小説のようであり、これは一級のエンターテインメントだ。瑠璃子が勝平に心を開き、勝平が己の恋情を吐露するシーンが実に哀れ・・・。
美貌と才知を武器に、父親と恋人を陥れた男を復讐する華族の娘瑠璃子の物語。
うつくしさって力なんだなあ。ぜんぜん瑠璃子を愛してなかったなり金男が、瑠璃子の美しさに魂を抜かれて、自分の所業を激しく悔いながら死んでいくのが圧巻。
義理の娘美奈子と瑠璃子のやり取りも好き。愛する娘、愛するお母様とお互いを呼び合ってますが、実は20才と17才の若い娘たちなんだよなあ。
華麗で退廃的な世界観が好きです。現代作家にはとても書けない文章だと思います。
☆あらすじ☆
真珠のように美しく気高い、男爵の娘・瑠璃子は、子爵の息子・直也と潔い交際をしていた。が、家の借金と名誉のため、成金である勝平の妻に。体を許さぬうちに勝平も死に、未亡人となった瑠璃子。サロンに集う男たちを弄び、孔雀のように嫣然と微笑む妖婦と化した彼女の心の内とは。話題騒然のTVドラマの原作。
500ページ以上もあるかなりの長編だったけど
すらすら読み進められました。
大正、昭和の時代の女性は初恋を大切にしていたのだと
しみじみ思いました。
当時は初恋の人と結ばれて一生添い遂げることが
一番の幸せだったんですね。
面白かったので、再読したいです。
瑠璃子の心の奥に秘められた思いの強さ、その苦しみからの行動、なんというか非常に切なかった。最初の可憐な瑠璃子が本当に愛していた人と引き裂かれて不本意な結婚を強いられてしまう。借金と名誉のために、ほぼ身売りのような形で。ただ、それは勝ち気な瑠璃子にとっての「負け」ではすまされなかったのだろう。負けてなるものか、見返してみせるっていう強い気持ちで戦いに立ち向かったのだと思う。彼女は「妖婦」となって、社... 続きを読む »
あのドロドロ昼ドラの原作。
実はドラマのほうはあんまり観ていないから
わからないのだけど。
なんだかこの主人公の瑠璃子はすごい。
どんなの男の人も魅了する
生ける復讐の女。
「孔雀のように嫣然と微笑む妖婦」
って表現がすごいよ。。。
弄んでます。
恥ずかしながら菊池寛初体験。 菊池寛といえば「文芸春秋」創設者で、芥川賞・直木賞を設立した人。 また「父帰る」や「藤十郎の恋」等の純文学を生み出してもいる。 大正九年に「真珠夫人」を新聞小説として発表して爆発的ヒットを生んで以来、いわゆる通俗小説を手がけるようにもなった。 「真珠夫人」ってなんだか淫靡な響きじゃありませんか。 林真理子の「白蓮れんれん」を読まなければここにたどり着かなかっ... 続きを読む »
「処女は何事にもかえがたい宝なのです!」
みたいな力強い記述が随所に見受けられ、
汚れた現代人にはゴリゴリの違和感です。
おおげさかつクソ真面目な文体が
笑いを誘いますね。
一昔前のノエビアのCMみたいな表紙の絵がこわいや。
ワタクシこれで卒論書いております。<br>
瑠璃子の人物像、多少不完全なところもあるけれども、大正時代からすればすっごい新しかったんだろうな、と思います。自分を恨んで死んだ男が書いた恨み節をよんでも、「自惚れが強いのね☆」と一蹴してしまうところなんかはかなりカッコヨイ。<br>
ただし、フェミニストとしてのやり方は褒められたものではなく、それによって悲劇的な結末へと導かれていくのではないかと思われます。たわしコロッケはないけどね(笑)
菊池寛二冊目。貞操問答よりも、こっちの方が気に入った。ミステリアスな出だしと、主人公の心理描写が絶品で、(当時としては非常にセンセーショナルであったであろう)社会風刺も効いている。なるほど、これは面白い。
当時の女性観からいえば、かなり新しかったろうと思う。今、読んでもおもしろいし、確かにと思わせるのは、未だ男女平等ではない部分があるからだろうか。特に、恋愛面から言えば、平等になることなんて永遠ないような気がしないでもないけれど。
大正時代の小説ながら、新仮名遣いのためもあり、するすると読めた。いつの時代も男は根本的に純情だね。3つの視点が交錯し、収斂する。最後は少々とっちらかり気味。妖婦と思わせつつ、ほろりとさせた直後に急転直下。アドバイスが裏目に出た・・・というか、よけいなお世話な気がするぞ。エンディングでもその件に関し、何のフォローも無い。ストーリーの宙ぶらりさをあえて狙ったか。

彼女は美しい。その美しさは、外面の流麗さだけではなく、内に秘める想いの強さが、自ずと出ているからこそ。





