満月 空に満月 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167414115

感想・レビュー・書評

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  • 背表紙のタイトルに惹かれ手に取ると、
    なんと、大好きな井上陽水の伝記

    なるほど、東へ西へ、の歌詞でしたか

    親世代のアーティストであり
    エピソードなどはほとんど知らなかった
    恥ずかしながら、
    ビートルズが好きであったことすらも
    知らなかった

    私は井上陽水の書く詩がとても好きで
    声もメロディもとてもとても好きで

    だけれどもビートルズはあまり好きではない

    まさかビートルズが
    井上ヨウスイを生み出す重要な存在であったとは……

    何とも言えぬ気持ちで完読したのである

  • 井上陽水の本名は「いのうえあきみ」と呼ぶのを知りました。そして、海老沢さんの文章は読みやすいです。

  • 描く方も描く方なら、描かれる方も描かれる方。えもいわれぬおかしみがあふれている。続きを読みたい、叶わぬことながら。

  • 海老沢泰久さんが手がけた、井上陽水評伝であります。
    タイトルの「満月 空に満月」は、初期の作品「東へ西へ」の歌詞から採られてゐます(たぶん)。
    陽水さんは、元々父親の意向に沿うべく、歯科医を目指してゐたのですが、歯科大学の入試に失敗、結果3浪までしてしまひます。中学三年時に出会つたビートルズ音楽に衝撃を受け、夢中になりすぎてしまつたのであります。
    なので影響を受けた彼は、自分の音楽はフォークではないとし、世間での認識とずれを示してゐるのがをかしいところです。

    結局大学はあきらめて、生活のため音楽で身を立てやうとします。アンドレ・カンドレなんて名前でデビューするのですが売れないので、別のレコード会社へデモ・テープを持ち込むのでした。そこがポリドール・レコードで、多賀英典といふディレクターがゐました。この多賀さんはシンガー・ソングライターを発掘しやうと考へてゐたり、シングル中心のレコード業界に疑問を持つてゐたり、当時の井上陽水にとつてはこれ以上ない人物と申せませう。
    この辺の事情は陽水ファンにとつては有名な話なのでせうね。

    多賀さんと衝突もしながら、陽水は「氷の世界」で一挙にブレイクします。これから華々しい活躍が始まるといふところで本書は終つてゐます。単なるサクセスストオリィではないことがわかります。

    幼時から二面性を持つた井上陽水。お年玉を「いりません」と断つたり、小学生時に「スタンダード・ナンバー」が好きな音楽だと答へてすぐに嘘を見抜かれる自分にショックを受けたり...「子供らしい子供」ではありません。そんな自分を自分で悩んでゐる陽水。社会的成功を得てもそれは変ることはなかつたさうです。海老沢さんはそんな彼に興味を感じたのでせうか。本書での陽水さんはいつも困惑し、悩んでゐます。まあ私なんかは、さういふ悩める陽水さんには茶目気を感じるのですが。
    いはば人間的弱点をさらしながら、魅力を倍増させてゐるところが面白いのでした。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-178.html

  • ええーっ、と叫んだのか、キャーッ、とわめいたのか、自分でもよくわかりませんが、顔面蒼白になってあわてふためき、うろたえたのは確かです。海老沢泰久が、8月13日に亡くなっていたことを全然知りませんでした。何を書かしても抜群にうまい人でした。

  • (2003.10.30読了)(2003.10.29購入)
    井上陽水が生まれてから氷の世界で大ブレークするまでのお話です。
    井上陽水は1948年8月30日に福岡県で生まれた。筑豊の炭鉱地帯である。
    父親は、井上若水という高知県出身の歯科医である。陽水は父親から水の一字をもらって名付けられた。父は、わかみと読むので、陽水はあきみという読みだった。学校では先生が変わるたびに、読み方を教えないといけないので、この名前が嫌いだったそうな。
    小学校時代は成績も良く、学級委員をしていたそうな。
    中学時代は、ラジオでアメリカのヒット曲を聞いていた。ラジオの正で成績落ちていった。中学3年のとき、アメリカのキャッシュボックスのランキングで、1位から6位までを独占したビートルズというグループの曲に魅せられた。
    ビートルズのように歌うために、ギターがほしかった。親に頼んでも買ってくれそうになかったが、友達の兄のを借りることができた。レコードを聴きながらギターの練習をした。
    1964年4月高校入学。高校では、弓道部に入ったそうな。部活とは別にバスケットもやってた。高校3年のときにオープンリールのテープレコーダーを手に入れた。
    好きな女の子に曲を作ってプレゼントすることにした。作曲は自分の声で歌いながら作った。ラララララーと歌いながら声でメロディを探す。それからそのメロディに合わせて歌詞をつける。このやり方は今も変わらない。
    作った歌をギターを弾きながら歌いテープレコーダーに吹きこむ。
    譜面は読めないし、作った曲を譜面に記録することもできないけど、テープレコーダーがあれば不便はない。後に、作曲はできるのにそれを譜面に記録できないことにコンプレックスをかんじていたけど、ビートルズも同じだったことを知った。
    1967年。歯科医の父の期待にこたえるべく歯科大学を受験した。勉強はあまりしていなかったので、受験に失敗した。
    小倉の予備校に入り家をでて予備校の遼に入った。予備校へは余り行かず仲間と遊んでばかりいたので、2年目の受験も失敗。遊び仲間も当然失敗したろうと思ったが他の仲間はランクを落とした大学にしっかり合格していた。
    小倉でもう一年暮らすのはいやだったので博多の予備校に移った。博多でも予備校へ行かずにパチンコ屋に通ったので、3年目の受験も失敗。3浪目に突入した。
    1969年4月。音楽番組で、アマチュアの作った曲を流すコーナーが始まり流された曲はへたくそだった。陽水は、俺のほうがもっといいのが作れると思った。
    テープレコーダーはあるけどギターがなかった。友達に相談すると買ってくれたのでそれを使って曲を作り、放送局まで持って行き渡した。
    その曲がラジオで流され、レコーディングを勧められ、デビューした。芸名は、アンドレ、曲名は、「カンドレ・マンドレ」。売れなかった。
    このあとレコード会社を移り、井上陽水として再デビュー。「断絶」「陽水Ⅱセンチメンタル」「もどり道」「氷の世界」へと続く。
    作詞についての大ブレークは、ボブ・ディランの「いかにも女らしく」という曲を聴いて会得した。何行か意味不明の詩を連ねて、最後の一行で決める。という方法だ。この方法で作られた曲が「氷の世界」だ。
    本の題名は、本の中では別の目的で使用されているが、陽水の歌詞から取られている。アルバム「陽水Ⅱ センチメンタル」に収められている「東へ西へ」の中の一節だ。

    個人的なことを少し。ステレオを買ったのは、1982年だったと思う。初めて買った陽水のアルバムは、「ライオンとペリカン」だったと思う。このあとは、新しく出るのを買うとともに、古いほうも買い揃えて聞いた。今でも一番好きなアルバムは、「ライオンとペリカン」だ。LPレコードでそろえたのに、CDに切り替わったので、今はCDでそろえてある。


    「ラインダンス」井上陽水著、新潮文庫、1982年
    「青空ふたり旅」五木寛之・井上陽水著、角川文庫、1985年
    「奇麗ごと」井上陽水著、集英社、1985年
    「媚売る作家」井上陽水著、角川書店、1993年
    「井上陽水全発言」えのきどいちろう編、福武書店、1994年
    「井上陽水 孤独の世界」塩沢茂著、講談社、1975年
    「俺の井上陽水」宮沢一誠著、旺文社文庫、1983年
    「陽水の快楽」竹田青嗣著、河出書房新社、1986年

    (「BOOK」データベースより)amazon
    博多で歯科大学入学を目指していた青年は、3度目の浪人中に、地元ラジオ局が募集していたオリジナル曲のオーディションに応募した。それが歌手・井上陽水の誕生の端緒だった。アルバム『氷の世界』で空前のミリオンセラーを生んだ「ニューミュージック界の帝王」の素顔を鋭い筆致で浮彫りにした話題作。

  • そっけないような文章も良い。

  • 井上陽水の若いころの伝記みたいな本

  • 井上陽水さんのことがわかる本

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