箱崎ジャンクション (文春文庫 ふ 19-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167458027

作品紹介・あらすじ

コンクリートの壁に囲まれた渋滞の名所、箱崎ジャンクション。パニック性障害を隠しながら勤務するタクシードライバーは、ここに車を停め、精神安定剤を飲んでルームミラーに消えていく自分の後ろ姿を見つめる…。おそるべきスピードで壊れていく男が、胸苦しいほどリアルに描かれる。藤沢周の最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 渋滞の名所、箱崎ジャンクション。

    タクシードライバーを勤めながらも、パニック性障害を抱え、ひた隠しにしている主人公。
    精神安定剤を服用しながら業務するが、徐々に人格は壊れ、加速してゆく。

    こんなタクシーに乗るのは絶対ごめんだ。

    負の要素が充満した一冊。
    悲哀と嘆きと虚無が流れてはルームミラーに消えてゆく。


  • 出口の全く見えない生活、どんどん追い詰められて呼吸ができなくなっていく感じがグッとくる本です。年に一回読みたくなる本です

  • とにかく人間の心理が丁寧に書かれていて迫ってくるようなリアリティがあった。よくわからない、ショッキングな、混乱するような出来事があって、それに心を乱される、その感じが特に生々しい。人の心はわからない。ひと言では言い表せないし、矛盾も多い、それに苛立ったりもがいたりする。

  • 悪くはないと思うのですが、これだけ絞られた展開で多くページを使った割にはなんだか浅かった感が残りました。文章そのものを楽しむタイプでもなかったし、うーん。。。

  • う〜ん。
    読んでても文字の上を滑って全然入ってこないところもあったし、またこの人の別の作品でおもしろいところを探すよ。

  • 病みすぎてて最後まで読めなかった

  • 題材は良いがタクシードライバーが主人公で運転描写が多いのに文章や物語の流れにスピード感がないのが致命的。物語の「転」「結」をいじればもっとスリリングな良小説になりそう。

  • 小説ってのが結構自由なようでいて世の中からあまり自由ではなくて世の中と似たようなものであるというような気になる本だった。川上弘美ではこのような感想はおこらない。読み切らせるドライブ力がこの物語にあるというのがすごい。ものすごくニッチな領域を攻めてる。

  • 室田と川上という二人のタクシードライバーが、それぞれの苦悩の中でもがき壊れていく。そうはならないだろうと思いつつも首都高速を突っ走るところは緊張感があるが、リアルな表現が薄気味悪さを増していくだけ。こんなタクシーには乗りたくないし、小説を読み進めたくもなくなってきた。1冊で判断は難しいが背表紙にあるように最高傑作というなら私には次はない。

  • 夢野久作の『ドグラ・マグラ』は作品の怪しくおかしな世界に
    引き込まれ、読んでいる私の方がおかしくなっているんじゃな
    いかと錯覚させられた。

    本書の主人公はタクシー・ドライバー。それもパニック障害を
    会社に隠して乗務している危険な奴。

    別会社の、これも訳ありなタクシー・ドライバーが絡んで来る。
    ふたりの接点は渋滞の名所・首都高の箱崎ジャンクション。
    このふたりの人生が交差しながら陰々滅滅として話は進んで行く。

    もうひたすら暗い。暗くて、辛い。読了するのが辛かった。途中で
    何度、放り出そうとしたことか。

    『蜘蛛女のキス』もラストは滅亡なのだが、本書は『蜘蛛女…』と
    違って物語に入り込めなかった。

    この著者の作品は初めてだったのだが、どうも文体が私に合ってない
    のか、文字がすんなりと読み下せなかった。私の小説離れにも原因が
    あるのかもしれないけれど。

    首都高を走る描写が結構あるんだが、「そのルート、どうやって行く
    んだ?」と思う不自然なルート設定がある。

    著者はここに書いたルートを本当に走ったことがあるのだろうか?

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著者プロフィール

1959年新潟生まれ
書評紙編集者を経て93年「ゾーンを左に曲がれ」で作家デビュー。98年「ブエノスアイレス午前零時」で119回芥川賞受賞。著書『サイゴン・ピックアップ』『オレンジ・アンド・タール』『箱崎ジャンクション』『雨月』『さだめ』『幻夢』『心中抄』『キルリアン』『波羅蜜』『武曲』『武蔵無常』『サラバンド・サラバンダ』小説以外に『安吾のことば』など

「2020年 『言葉である。人間である。 読書術極意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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