- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167528140
感想・レビュー・書評
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釣り小説である。ターゲットは60cmにもおよぶ巨鮎である。年魚のはずの鮎が、何らかの原因で何年にも渡って生き続けたらしい。仕事も投げ出して巨鮎に望む男の話である。
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自身も釣りキチである筆者が釣りをテーマに書くとこうなるのだ。
「怖い」顔しながら鮎釣りに命や生活をかける男たち。
ここまで釣りにのめり込めるのは良いことなのか?
釣りにはギャンブルに似た依存性があるのだ。 -
将棋の話とか、格闘技の話の場合は、目に見える相手がいのですが、「釣り」は、孤独です。
もちろん、仮想敵は、「鮎」ということになるのかもしれないし、人と人とのドラマが中心なのですが、それでも、それにとりつかれていく姿は、孤独で、しかも虚しい。
それでも、とりつかれちゃうのは、なんでなんでしょうねぇ。
わたしは、釣りはやらないので、わからないです。 -
この作品のすぐれているのは、
自然の描写にある。
風の中に 鮎のにおいが まざる・・・
河川の修繕 色気のある川 自然の猛威 そして
ふたたび 川が 川となる。
人間の営みのおろかさが 鮎を通して かたる。
重複的な説明が多いが
展開力は すぐれている。
そして 期待どうりの 終わり方に ほっとする。
釣り師の サガ と 宿命。 -
鮎釣りが好きな人の話。狂う人もいたり、趣味として楽しむ人もいたりで面白かった。酒でもはまりすぎてしまう人もいたり、楽しくやってたりする人もいますからなんとも人それぞれですね。
なんとなく大変だし、はまる人ははまる吊りだとかは聞いたことがあったけど、やってみたら大変そう。
最後のところで目的を果たすが、想像と結果のギャップ(?)みたいなところに違和感を持った登場人物の想いがなんとなくわかる気がした。 -
夢枕獏って感じの小説。
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一言でこの作品を表す言葉は『ロマン』ですね。
私は男性ではないので感じた事を表現する言葉があっているか判別しかねますが、男性が掲げる夢や思想の気高さを圧倒的な表現力で書ききっている作品だと思います。
読了後には感激で心が震えた事を今も時折振り返ります。
夢枕獏さんの作品はどれも独特で世界観もSFから現代と幅広いジャンルをこなしている方ですが、書き方がそれぞれに異なりますので癖によっては読み難さを感じる方もいると思います。
ですが、この一冊は本当に読んで欲しいと思う一冊ですので興味がありましたら図書館でお借りになって頂けたらと思います。
私はこの方の本でしたら他に陰陽師シリーズがとても気に入っています。
それはまたきちん紹介させて頂きます。
※★の評価は他の方が読み易いかを考慮した上でつけています。
釣りがメインのお話なので、ジャンル片寄り具合により今回は★をあえての4つに。
私的には大絶賛しておりますので★は5つです。 -
もう、まんま獏ワールドですわ。派手なシーンこそないけれどそれが故に
シンプルなストーリと相変わらずの人物描写にクイクイと引き込まれますな。
今作でも出て来るオッさんや爺さん達がカッコよすぎます。
たかだか鮎釣りのストーリーをここまで読ませるには、こういった人物達に
想い入れが出来ないと読ませる事ができないでしょう。
餓狼伝やキマイラの様に無限に原稿を与えるとこの人は
話の着地ができないのですが(笑)原稿制限あるとこんなにシンプルに
まとめる事できるんですねー。
文学者としての評価はあんまりないのかもしれないですが、
表現者としてはピカいちですよ。 -
巨大な鮎を釣る。命をかけて渓流釣へ、猛然とのめりこむ主人公。鮎を追い続ける初老の男に濃密な共感を持ち、気が付くと常人と違う立ち位置で釣りへのめりこんでいる。なぜ釣りたいのか。その熱意は自明としつつ、着地点は常軌を逸している。凄みある"釣り"への熱意を描いた連作集。
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鮎(しかもただの鮎じゃない)を獲る男の話。
「白鯨」のエイハブ船長のような執念を感じました。