陰陽師 瀧夜叉姫 上 (文春文庫 ゆ 2-17)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167528171

作品紹介・あらすじ

平安の都では、奇妙な出来事が次々と起きていた。巨大な蜘蛛の牽く車が姿を現わし、孕み女が、たてつづけに腹を裂かれ殺された。そんななか、顔にできた瘡が突然しゃべりだした平貞盛に晴明と博雅が呼び出される。それらは、やがて都を滅ぼす恐ろしい陰謀へと繋がって行く…。陰陽師シリーズ待望の傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 本作は「陰陽師」というシリーズの中の1作である。「陰陽師」とは、実在した安倍晴明(921-1005)という陰陽師をモデルとしているという主人公が活躍するシリーズで、長く書き継がれていて多くの小説作品が在り、それらを原案とする映像作品も多く制作されている。
    “呪”(しゅ)というような事は、現代の目線では酷く判り悪いが、平安時代に在っては誰かが書き綴った日記等にも言及が在って、数々の説話文学にも材料を供している、「確りした“歴史”」という側面も在る、大きな存在感を示しているモノだ。この「陰陽師」というシリーズは、そういう辺りに題材を求めたファンタジーで、なかなかに愉しい。怪異な事件が在って、優れた陰陽師である安倍晴明が、色々な話しを聞き付けて伝えると同時にそして行動を共にすることも多い源博雅と共に解決に向けて奮闘し、周辺に色々な人達の物語が在るというような展開が基本だ。長短様々な作品が在るのだが、本作は「少し長いモノ」ということで構想され、足掛け3年、正味丸2年の雑誌連載を経て纏まった作品であるという。
    上巻では、序章で何やら怪異な出来事が起こっているが、ここに未だ少年という極若い年齢だった安倍晴明が居合わせたという様子が描かれる。そして長じてシリーズのよく在る雰囲気で話しが始まる。表立った公な感じの場では、より高い地位なので丁寧に話す源博雅が、個人的な友人として安倍清明の所を訪ねて、酒を呑みながら談笑する訳だが、博雅は清明に酷く気になる出来事の話しが拡がっていると伝える。或いはシリーズの物語の最初の方の「パターン」なのだが、こういうのが何となく好い…
    博雅が清明に伝えるのは、孕んだ女が惨殺され、腹を裂いて胎児が引出されたという惨い事件の散発が話題になっているという事と、実際に金品を奪うのでもない、不思議な強盗が現れているという件だった。その不思議な強盗に関しては、少し名前が知れた年配の人達の屋敷に現れているということであったが、清明はその被害に遭った人達の名を観て気になることが在った。

  • 最近、ドラマになった。
    滝夜叉姫。

  • 陰陽師シリーズの長編。都で次々と怪異が起き、それらがとある人物の復活に繋がる。

    ポイントポイントの良いとこで道満(晴明のライバル)が出てくるのがちょっと笑ってしまう。

    ストーリー内のエピソードも凄まじく、読み応えがありました。

  • 恐ろしい。不穏な空気が都を覆い始めて。ばらばらに思われた奇妙な現象がひとりの男将門へ繋がっていく。幼い頃から知っている昔話の俵藤太のむかで退治が出てきたので、藤太目線での将門像が印象に残る。藤太と将門の戦の後の会話、どうみても怪しすぎる興世王の存在、祥仙って一体何者なのか?道満はどう出るのか。謎が深まる上巻。このまま下巻に直行。

  • 京都では将門ゆかりの人物に次々と事件が起こるようになっていた。将門が謀反したのが20年前

    p344 女に釘を打たれる夢をなん度も見て苦しむ平経基。晴明は女の生き霊(隠態)だという。
    p360、平将門登場!!

    まさか陰陽師に出てくると思わず、びっくり

    将門は俵藤太が、久々に会いにいくと顔が変わって、性格も荒々しくなって(興世王の影響?)、戦いでは分身6つを使ってくる。

    児干?

  • 今度見る歌舞伎の原作なので予習のために読んだ。
    最初は新鮮な世界(日本の昔のホラーテイスト)で楽しかったけど下巻を読むのは少し辛いかも。すごく続きが気になる!ほどではなかった
    シリーズものだから順番に読めば違ってくるかも

  • 眼に痛いほどの柔らかな緑って不思議な表現だな。

    昔読んでいた小説が原因で
    平氏といえば平将門という印象を持っているけれど
    興世王は知らなかったな。打てば変換されるほど有名とは。

    薄紅天女の藤太は、ここに出てくる藤太から字をとったり
    しているのんだろうか?大分キャラクターは異なっているが。

    桜が桜であるごとくに、博雅は博雅のごとくにありたい
    確かにそういう物言いをする人をあまり知らないかもしれない。

  • 過去分

  • 晴明は、都に大きな異変の前兆があると感じた加茂保憲から、顔にできた瘡に苦しむ平貞盛を救ってほしいという依頼を受けますが、貞盛のもとを訪れた晴明は、蘆屋道満がこの件かかわっていることを知ります。その後も、都にいくつもの異変がつづけて起こり、それらはすべてちょうど二十年前の事件の関係者たちをめぐるものであることが明らかになっていきます。

    将門伝説を題材にとった長編で、かなりおおがかりなストーリーとなっています。飄々とした態度で事件のなりゆきを見つめる道満はもちろん、将門の首級を上げた俵藤太やとらえどころのない浄蔵など、登場人物たちもそれぞれが独特なキャラクターの持ち主で、これらの仕掛けを著者がどのようにまとめて一つの物語へとかたちづくっていくのか、たのしみです。

  • 現在の話は地味だが、将門生存当時の話は良い。熟練のゲリラ戦士のような俵藤太が出色。将門との葛藤を孕んだ関係とかも良いのだが、描ききれていない感じ。清明が主役の陰陽師シリーズで有ることが枷になってる気が。後編に期待。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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