悉皆屋康吉 (文春文庫 ふ 11-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167536022

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  • <b>■悉皆の誇りと着物への愛情に満ちた男の半生</b><br>大正時代の東京の悉皆屋の手代、康吉。生まれも育ちも、なぜそこで働いているのかも描かれいません。物語は始まりは、ただ、日々一所懸命に、主従関係をわきまえ、悉皆屋で一人前になることを目指す康吉の姿から。悉皆屋は、今風に言い換えれば、着物のプロデューサー兼、作り手のコーディネーターのこと。理由(わけ)あって結婚、我侭ながらも、康吉を支える妻、お喜多と康吉の前の主人である、お喜多の父、番頭の伊助らと人間模様、職人と商人のあり様を、大正末期から昭和初期の政治、文化、風俗を背景に物語が紡ぎだされます。仕事一筋、真面目で骨のある男の姿、夫婦の奇妙な愛情と絆。着物の流行、悉皆屋としての呉服産業への関わり方を、関東大震災、満州事変と時代が刻々と変化する中、康吉の常に、己の、人として、職業人として、夫としての生き方を見つ直す姿が、読後にささやかな感動を残す所以なのかもしれません。【着物好き一般向き】(と)

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著者プロフィール

舟橋聖一(1904.12.25~1976.1.13)小説家、劇作家。1928年、東大国文科卒。大学在学中の26年、戯曲「白い腕」で注目され文壇に登場。32年から33年「都新聞」に連載した「白い蛇赤い蛇」で劇作家から小説家への転身をはたす。戦後は風俗小説の代表作家と目されるが、官能表現を耽美主義へと高めた純文学の佳作も多い。主な著書に『悉皆屋康吉』『雪夫人絵図』『芸者小夏』『ある女の遠景』『好きな女の胸飾り』等。

「2013年 『芸者小夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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