- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167542016
感想・レビュー・書評
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儚い夢のような幻のような、不思議な気持ちになるお話。小池さんの美しい日本語に泣きそうになる。
再々読。 -
どこか切なく狂おしく、誰かを求める気持ち。
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うーん、少し中途半端かな…もっとドロドロかと思って期待しすぎた。
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①夢のかたみ
・夢を見ていた、と春恵は思った。馬鹿げた滑稽な夢。老いてゆく女にふさわしい。
愚かしいほどのおめでたい夢。
②静かな妾宅
・「私は今が幸せなのよ。ここでこうやって、ポンコと一緒にいることが幸せなのよ。どこにも行きたくないし、誰とも会いたくない。どうしてわからないの?」と77歳の橋爪にせまる。
「若いうちは誰でも、そんな気持ちになることがある。」橋爪は乾いた指先で素子の額にかかった髪の毛をそっと払いのけた。
「一種のハシカみたいなものだろうね。自分に酔っているだけなんだ。そのうち、素子はわたしから巣立って行く。巣立たなければいけない。わたしのことを哀れに思わないでほしいんだ、素子。わたしは愛している女性には、決して同情されたくない。いい年をしてカッコつけていたいんだよ」
③秋桜の家
・志保は和馬と並んだまま、この男は嘘をついたかのか、それともあの轢き逃げ話は本当だったのか、と考える。今となっては、嘘のようであり、本当のようでもある。どちらでもいいような気もするし、それでは腹の虫が治まらないようなきもする。
だが、わかっていることが一つある。加地は妻の情事を知らずにいた、ということである。だから、和馬の証拠湮滅を手伝ってくれたのである。それだけは確かなようである。
この世には、知る必要のないことが山ほどある。知ったら最後、自分の人生を変えざるを得なくなるような不愉快な出来事に何ひとつ直面しないまま、幸福に生を終えていく人もいる。裕次郎や加地のように。
⑥シャンプーボーイ
・突然の来客があったので、と嘘をついて断ってしまおうかと思ったものの、それも大人げない。そんなことを考えるのは、桂木に何の思いも寄せていない証拠だったが、かといって、無関心なのかというと嘘になる。会って不愉快な男ではなく、むしろ心がなごむ。誘われれば喜んで応じたいと思うし、長い連絡がないと、ふと、どうしたのか、と気になる相手でもある。
だが桂木は、雨の晩、健介に丁寧にシャンプーをしてもらってまで、いそいそと出掛けていくにふさわしい相手ではなかった。桂木は頼子にとって遠い身内のような、抑制を利かせた交流を心がけている。心やさしい隣人のような男でしかなかった。
・ この人は、嫉妬にかられているだけなのだ、と頼子は思った。
たった一度寝ただけなのに。これからもまた、寝る可能性がある、という、そのおめでたい想像にしがみつき、子供じみた嫉妬心を煽(アオ)られているだけなのだ。
<感想>
小池真理子氏をよんで女性の考え方が少しでも理解出来ないかと思い、上溝公民館図書で借りた。
男も女も人間という生き物は、育った環境や生まれ持った宿命みたいの複雑に絡みあっていると思うので、いちがいにはその人(男・女)と付き合っていく中でその人に合うやり方で、触れ合っていくしかないと思う。 -
ミステリーやよ!