妊娠カレンダー (文春文庫 お 17-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167557010

感想・レビュー・書評

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  • もう30年も前の小説とは思えませんでした。
    生きるということだけでなく生命そのものもくっきり描かれており大事に大事に拝読しました。

  • 一文一文がとても丁寧で詩を読んでいるような不思議な感覚になりました。作者の才能なんだと思います。
    後味もすっきりしないのですが、なんか満足させられた感がします。
    久しぶりに文学を楽しんだ気持ちになりました。

  • 「妊娠カレンダー」
    「ドミトリィ」
    「夕暮れの給食室と雨のプール」
    の3つからなる短編集。

    個人的には2番目の「ドミトリィ」が好き。
    3番目の話もそうだけど、どことなく村上春樹を思わせる。

  • 3篇収録。
    全体的にとらえどころがない。
    ぼんやりした印象。
    表題作が一番よかったが、もっと悪意を感じたかった。

  • 姉の妊娠期間を妹の目線から書いたお話
    基本的に妊娠中の姉の言うとおりに従い、邪魔にならないよう気を使う妹
    たがなぜか赤ちゃんの染色体を傷つける可能性のある毒薬にまみれた輸入グレープフルーツと知りながら、妊娠中の姉に食べされる行為は、なんともいえない感情になった
    妊娠に対する喜びの描写はなく、不安の方が多く描かれている
    共感する部分もあり、読み終えてなんともすっきりしない変な気持ちも残った
    とにかく産まれた赤ちゃんが元気であることを願う

  • 怖くはないけど少し座りが悪くて、綺麗なんだけど透明ではない、みたいな短編集。ドミトリイは、そっと読みたくなる。好きです。

  • いつの間にか勝手に大きくなっていって生まれてくる子ども。
    自分のお腹を見て、これが自分の赤ん坊だとどうしてもうまく認識できないという姉。肉体的にも精神的にも不安定になっていき、つわりで物を食べられず匂いに過敏に反応する。そして(心配になるほど)どんどん痩せていく。
    そうかと思えば、つわりの時期が終わると今度は今までの巻き返しかのごとく食いまくる姉。あっという間に太っていく。

    姉が産んだ赤ん坊を主人公が会いに行くというところで終わったけど、まるで生まれてくる子どもが未知の生物みたいな表現をしてるのが怖い。もうなんていうか主人公がびっくりするぐらい捻くれてる。
    表現の仕方といい考え方といい、なんじゃそら。でもそんなヤツいそうだから凄い。
    過去の出来事や景色に関することに対してはやたらと瑞々しいというか、爽やかーに表現してるくせに、赤ん坊とか姉の精神や肉体の描写だけ生々しいから不気味。"破壊された姉の赤ん坊"というのは俊逸だと思う。破壊されているのがどちらかあやふやだから、取りようではその意味合いが全然違ってくる。
    「破壊された姉」の赤ん坊なのか、姉の赤ん坊が「破壊」されているのか。
    出産までの道のりで摩耗し精神的にも肉体的にも変化しまくった姉を破壊されたと表現したのか、姉を変えてしまった出産の結果(赤ん坊)を破壊したいという主人公の願望なのか。

    主人公は姉が食べたいと言ったジャムを作る時、"農薬まみれのアメリカ産のグレープフルーツ"は染色体を傷つけるから身体に悪いって話をどこかで聞いていて、それを思い出しながらも姉に言われた通りジャムを作っている。延々と与え続けたジャムで主人公は姉の染色体を傷つけていると想像してもいるから、おそらく両方にかけているんだと思う。モヤモヤ感が最初から最後まで続く本だった。

  • 病は気からというように、毒も気から、といえるかもしれない。プラシーボ効果は時にマイナスに働く。影響するかもわからぬ甘い毒を丹精込めて煮詰めて、食らわす。毎日、少しずつ、少しずつ、蓄積されていく。生まれてきた子は、きっと他と変わらぬ健康な身体を持つのだろう。なんとなく、そう思った。そして、なんとなく、残念な気持ちになってしまった。

  • 小川洋子は、文系出身だが、医大に勤務していたせいか、一貫して、理系に興味を示す。
    『妊娠カレンダー』
    正直、面白くない。

  • 「わたし自身じゃないのよ。わたしの中の『妊娠』が求めてるの」。「妊娠」に浸食される姉の隣で、妹に芽生えた狂気。真綿で首を絞めるように、静かに“事件”は起こります。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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