トラッシュ (文春文庫 や 23-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.54
  • (101)
  • (86)
  • (263)
  • (15)
  • (8)
本棚登録 : 1337
感想 : 83
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167558017

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ココが一緒に暮らしていたリックは年上の男。
    彼はすぐアルコールに逃げるダメな男で、彼の息子のジェシーとココはいい感じの距離感で接していた。

    酒浸りのリックから、自分よりも若いランディに乗り換えることにしたココ。リックはココを手錠で繋いで暴力を振るうが、やがて現状を受け入れる。
    その後、リックは事故で亡くなってしまい、ジェシーは実の母親に引き取られる。

    ゲイの友人の部屋に転がり込んだココは、ランディとの恋愛を熱心に続ける。
    ジェシーがグレそうになっていると聞きつけたココ、ランディ、ゲイの友人は彼を部屋に招いて、熱い交流をする。

    ---------------------------------------

    たしかにジェシーはリックの息子で、ココには何の責任もないかもしれない。でも、ジェシーに対してのココの態度はちょっとどうなのかな、と思わずにはいられなかった。

    バッキーからケイに乗り換えたマリークのように、ココはずるさを人に見せるべきだと思った。
    都合のいいときだけココはジェシーの家族みたいに振る舞ってたけど、もっとジェシーに対して汚い部分を見せるべきだった。大人の男女の関係性を説くよりも何よりも、ココは自分が悪者になる勇気を持つべきだったんじゃないかな。

    酒浸りの男、リック。都合のいい女、ココ。子どもに手を出した無責任な女、スー。
    常識を持った大人はニューヨークにいないのだろうか。まともなのはバッキ―だけじゃないか。

  • 懐かしい。昔の私の恋愛バイブルとも呼べる作品だった。でも、今読むと主人公や彼女を取り巻く人間の価値観がハッキリしすぎていて、押し付けがましく感じてしまった。もう今の私にはしんどいなあ。

  • 婚約までしてる彼と別れ話をしてる期間に読んだもの。
    とりあえず長い。後半すいすい進んだけど、前半つらかったなー。
    あと、登場人物のほとんどが不器用すぎる。
    ココの気持ちと不器用さが自分と重なって、ココ分かるよー!と共感する部分が多かった。

    そして、やっぱり山田詠美さんの描く若者は魅力的だな。ジェシーが、僕は勉強ができないの時田秀美に見えた瞬間もあり。山田詠美さんが若者に希望を見出してるのが伝わってくるような気がした。

  • 多分舞台はNYで、黒人の彼氏リックと、リックの前妻との間の息子ジェシーと住んでるココの物語。

    個人的にはココがいろんな場面で幼稚に思えた。
    なんのかんのと言っても結局子持ち&バツイチ男性と付き合う覚悟が足らなかったのでは?
    私は女だけど、ココのような女性とは仲良くなれないなあと思った次第。

    会話で進むので読みやすかった。

  • まあまあ。

  • 山田詠美さんの文体はほんと独特でたまらなく好きだなぁと改めて感じさせてくれた本。
    ココはきっと山田詠美さんそのものをイメージさせる。そんな女。

    トラッシュを読まれるのでしたら
    絶対にジェシーの背骨を読んでからのがおすすめです。
    成長したジェシーに感動する。
    リックとココ、そしてジェシーの奇妙な生活。

    ココのしおあわせがにじみ出ている
    チューインガムもおすすめです***

  • 恋をしたい、と思わせてくれる作品です。
    山田詠美さんの小説は友人から勧められていてA to Zが気に入ったので開拓しようと思っていました。
    ニューヨークで繰り広げられる恋愛模様を主にココ視点から書かれたものです。
    ココはジャパニーズという風に描写がたまにあるけれど、ココを含めて誰もそのことを気にしていないというのが、実は一番印象的でした。
    彼女がアルコールに溺れるリックとの終わりからランディと新しく始めるまでを描いていて、そのなかに何人もの人の葛藤、心情の揺れがみずみずしく描かれています。特にジェシーの成長ぶりに心打たれました。最初はぎすぎすしていたココとの関係が最後「家族だ」と言い切ってしまうまでに関係を変えた二人。ココは素直に受け入れられなかったみたいなのはなぜだったんだろう。

    実をいうとあまり彼らのしゃべり方が好きではなかったです。会話は特に英語で読んでみたいと思ってしまった。「君が恋しいよ」が私はやっぱり"I miss you" の方がしっくりくる。直訳するとそうなのはよくわかってるけど、多分"恋しい"には違う意味が含まれている気がする。



    一番心に残ったのは実はリックの言葉でビーズの件です。人間ってそうやって大事な記憶を反芻することで、一粒一粒の(ビーズより私は)真珠にして首にかけておく様子が目に浮かびます。年月が経つにつれて、それは長くなっていくし、多分だから二重にも三重にもしなくてはならなくなるのかもしれない。それが辛い記憶でできた真珠でも人生の経験を吸い込んだそれは美しいんじゃないだろうか。そしてその首飾りが長ければ長いだけ、それは人を内側から輝かせるのではないだろうか。この本で誰かが言っていたように、人は不幸があって初めて幸せを感じるから。きっと幸せだけの首飾りは光らないのかもしれない。そんなことを感じました。

    その他にも、「愛の言葉を言い出した方が、その重みの分だけ不幸になる」というのも印象的でした。そうなのかな。未だ信じたくないな。

  • 恋をした時、こんなに何かを
    考えていたのだろうか。
    衝動だけで、動いていたと思ってたけど、
    もしかしたら、こんなに理由があったかのかもしれない。
    思い出に理由はいくらでもつけれるのだけど。

  • 『私は彼が死んだことは、どうも思わないの。だって会ったこともない他人だもの。私が泣いているのは、貴方が彼が死んで、傷ついて悲しんでいるからよ。あなたが大事だから泣いてるの』がすごく印象に残ってる。

  • 読んだのはずいぶん前・・・うーん独身のときだったような。
    さんざんイライラしながら読み進めて、最後めっちゃ泣いたような記憶がありますが・・・もう内容ほとんど覚えていない・・・

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山田詠美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×