姫君 (文春文庫 や 23-5)

著者 :
  • 文藝春秋
3.42
  • (115)
  • (153)
  • (415)
  • (38)
  • (16)
本棚登録 : 1491
感想 : 199
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167558055

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 地元の古本屋で買った。。

  • 「MENU」はすごく難解な話だと思う。2回目にしてやっとアウトラインがつかめてきた感じはするんだけど、本質的な何かをつかみきれてない。時紀と聖子。それから麻子。時紀は麻子に対してどんな感情をもってたんだろう。

    いちばん印象に残るのは「姫君」。ハーモニカをこっそり練習する姫子を抱きしめたいと思う摩周がすき。ただ姫子が死んでしまう必要性はなかったんじゃないかとも思う。この2人、好きだからそう思ってしまうのかもですが。

  • 山田詠美の短編集。
    「MENU」がおもしろすぎた。
    山田詠美が男の子を主人公にして書く話は間違いなく面白い。
    表題になっている「姫君」は、面白くはあるけれど好きな話ではなかった。

  • 久しぶりに読んだ山田詠美の本。

    一気に読みました。

    ずいぶん前、山田詠美の本が好きでたくさん読んだけれど、その頃と同じような「好き」は感じなかった。。。私自身が歳を取ったせいなのかな?

    この本は私にはまあまあだったけれど、かつてすごく好きだった彼女の別の本をもう一度読んでみようかな、と思った。

  • 重荷を背負わないと生きていけなかったり、人生狂わす人に出会ってみたり・・・人間生きてたらこんな事あるのかなぁ・・・
    と、ちょっぴり考えさせてもらった一冊です。

  • 直後に読んだ葉隠れ入門で、‘昔あんなに輝いていた本が、今読むと死んだようになっている事がある’みたいなことが書かれていて、私にとってそれがそのままこの本に当てはまってしまいました。

    こんな中二病の塊のような内容だったかしら…?

    でも、姫君ではぞっとするほど私の文章に対する感性とぴったり一致するところがあって、私同じこと書いたことあるけど、この本からパクったのか?と思うほどでした。

    13.02.15


    メニューと姫君が好きです。
    山田詠美の作品の中でも特に良い。
    メニューは書き出しがすばらしいですね。

    表紙は・・・これマイナスじゃないですか?

  • 「姫君」が好き。

  • 全5編を収録している。

    【MENU】

    母が首を吊ったのを見つけた時、ぼくが、まだ五歳だったのは幸せなことだ。十歳だったら泣きわめいていただろうし、十五歳だったら心の病気にかかってた。今だったらどうだろう。きっと笑ってた。二十歳。もう、ぼくは、人が、おかしくなくても笑うということを知っている。

    そうか、不幸とは、他の人が決めることなのか。それじゃあ、幸福とは、まるで別物だ。それは、いつだって、自分の言葉でしか姿を現さない。

    ぼくは、母に感謝もしている。彼女は、死ぬことによって、ぼくに、その先の指針のようなものを与えてくれた。人に必要とされてしまったら、死ぬ自由すら手に入れることが出来ないのを教えてくれた。そして、ある人間を必要としてしまったら、その人の自由を奪ってしまうということも。ぼくは、生きるのが楽だと思いたい。記憶は溜まって行くが、そこに何の不純物も付随させたくないのだ。

    「喜劇は作られていくもの。悲劇はアクシデント。でも、おれは、それだけじゃ嫌だ」

    他人の悲劇は、ぼくにとってのそれじゃない。ぼくは、気に入りの悲劇も喜劇も自分で作る。そして、墓の下で、それらをもう一度楽しむ。永遠に飽きることのないように、何度も脚本に手を入れながら。天国でのロングランのために、ぼくは、今、生きている。そこが地獄であったなら?自らをマゾヒストに改良するだけだ。

    やがて担架が運ばれ、彼は退場した。ブラボー。彼の悲劇。そして、僕の喜劇。兄と妹が寝るのは悲劇か。でも、僕と聖子であれば、そうはならない。

    居場所が必要だ、と小さな頃に自覚した人間は、いつでも子供に化けることが出来る。いったい、ぼくが、本当に子供だったことなどあっただろうか。小さな生き物だったことはある。それが、大きな生き物になった。その過程を成長と人は呼ぶ。たとえそれが、すべての人々の気にそむ結果をもたらさなかったとしても。ぼくが成長してしまったのは、はるか昔であったことを、この家の人は知らない。

    「私たちに、夢物語以外の、いったい何が必要だって言うの?」

    このまま死んじゃうと困るなあ。ぼくは、聖子の顔を思い浮かべようとした。けれど、全身に与えられたひどい苦痛がなかなかそうさせてくれない。それでも彼女のことを思い出そうとした。何度も試みた。そうすれば視界が暗くなる前に、ぼくの雑音は、アートに変わる。

  • 従えることと従うこと。
    自由でいることと愛に生きること。

  • とても過激な内容です。
    金原ひとみさんの書いた解説も過激でした。でも日本の文学にこんな作品があるのね・・!という発見だけでも私には勉強になりました。理解できない点などもあって消化不良気味でしたが、解説の金原さんが言うように、成長してまた読んだら腑に落ちることもあるのかもしれません。そういう意味で、また40歳くらいになったら読みたいです(笑)

    本書内容は
    ・MENU
    ・検温
    ・フェイスタ
    ・姫君
    ・シャンプー
    の5つの作品短編小説のです。
    上4作品は恋愛メイン、シャンプーだけ親子の読むとほっこりするお話です。

    むふーんと思った点
    ・主人は、もう男を見詰めてはいないけれども、実際に見ていない今の方が脳裏には明確にその姿が映し出されている。それを思うと、触れない恋において、生身の体というのは単なる情報にしか過ぎないのかもしれない、と思う。
    (フェイスタより)
    →妄想の偉大さを語っています。

    ・言っている意味がわからない。やはり、男には学問はいらん、と思う。
    (姫君より)
    →男には、というか恋愛にはということだと読みました。
    こういう突然現実に引き戻されるような、抽象的な表現を使う作家さん、好きですね。

    ・重荷なしで生きていくなんて、ぼくには出来ない。
    (シャンプーより)
    →「シャンプー」は恋愛の結果としての「子ども」に対する、山田さんの答えとしての作品かもしれせん。ほっこり系です。

全199件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山田詠美の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
山田 詠美
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×