風味絶佳 (文春文庫)

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著者 : 山田詠美
  • 文藝春秋 (2008年5月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167558062

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風味絶佳 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 10年くらい前の映画「シュガー&スパイス 風味絶佳」の原作も収録されている短編集。
    この映画当時観たのだけど、ピリッと痛いところが印象的で、それは小説も同様だった。
    (余談:映画の沢尻エリカが超キュートな小悪魔で女の私も惚れそうだった。笑)

    何かレビューが書きづらい短編集だった。好きなのかどうかもよくわからない。けれどガツンと残るものがある感じ。
    共通点は“身体や技術を使った職業”で、全部のお話に何かしらそういう職業についてる男の人が出てくるのだけど(鳶職とか、火葬場職員とか)それらの描写はメインではなくて、あくまで主題は“恋愛”。
    そして色んな意味での“三角関係”も必ず出てくるけどそれもけしてメインではなくて、そういえば三角関係みたいな感じだな、って気づくくらい。
    不思議な余韻があってすぱっとした終わり方のお話はなくて、無理やり王道を挙げるとすれば表題作の「風味絶佳」になるのかもしれないけれど、何か変な気分になるお話揃いだった。いやらしい意味じゃなく。笑

    山田詠美さんの本を読むと、言葉の使い方の天才というか、もやもやと心の中に存在する感覚をシンプルな言葉に換えるのがものすごく巧いと思う。
    ふとある一行や一節にはっとさせられたり。

    「アトリエ」というお話が、妙な感じで心に張りついてる。

    何とも言えない。けれどやたらと残る、というのはきっと、好きってことなんだな。その辺は理屈じゃなく。

  • 料理や食べ物をスパイスのように利かせて登場させる6篇。
    他の女に走った男が年上の女の待つ家に戻ってきたシーンをこんな風に描写されたら、読者はノックアウトされてしまいます。

    「疲れ切った彼の身体の分だけ、いつでもあけられたベッドがある」

    女の待ち方がくっきりと浮かびます。

    こうして具体的に登場人物の気持ちを書かれていないのに
    ひしひしと伝わってくる味わいを、随所で楽しむことができます。

    男を助手席に赤のカマロ(米車)を乗り回す70歳のグランマ。
    味や食に鈍感な男にうまい食事を作り続ける女。
    淡々としながら深く思考し高所で作業する孤高の鳶(とび)職。
    両親が離婚して戻った実家に出入りする母の男幼馴染み。
    息子が思いを寄せていたのに、父親と結婚した同級生の女の子。

    設定が奇抜なようでも、読むと自然。
    女と男の間の思いの形は、人の数だけあるんでしょう。
    そんなさまざまな形をとる女と男を前に、語り手が戸惑う様子がリアル=マジョリティの反応です。

  • 肉体労働に携わる人々と、彼らを取り巻く女たち。

    甘いようで怖い。
    表題作が一番好みかなー。グランマかっこいいし。

  • 初の山田詠美さん。

    実は今まで、作家デビューした頃から、気になるけど経験を積んだ大人になるまでは…と見て見ぬ振りしてきた作家の一人。

    6つの短編に出てくる男性達は、肉体を生業とする職人、いわゆるガテン系の方々。それぞれの恋愛を軸にした話ですが、分かりやすいのに絶妙なさじ加減の言い回し、男女に関わる名言が、時には辛辣に時には甘く散りばめられて魅了されます。

    男性の中では「海の庭」の哲ちゃんが一番好きです♪哲ちゃんともう一度初恋をやり直している母は、掴み所なくて少しイライラするけど。娘の日向子の目線が、大人びてて心地よい。

    キャラメルはあんまり好きじゃないけれど、読んだ後なめたくなりました。

  • 「風味絶佳」山田詠美◆表題作に登場する、孫に「グランマ」と呼ばせるおばあちゃんなど、恋愛小説でありながらもメインの男女以外の人々も絶佳。キャラメルをモチーフにした装幀ですが、そんな甘々なものではなく、どこかいびつな印象の作品が多くて凄みが効いている。『間食』が一番好きでした。

  • 短編集です。
    タイトル作品はずば抜けて面白いですが、最初の話も好きです。
    あんなハイカラで粋な祖母は私も欲しいなぁ。
    私のばぁちゃんも好きだけど、ああいうばぁちゃんも憧れる。
    なら私がいづれああゆう粋なばぁちゃんになればいいかなぁ・・なれるかなぁ・・・。
    私、キモッタマちいせぇしなぁ・・。
    山田先生の書く、男ってゆうより、男の子って子が好きなんです。

  • 揺れて動いて漂って、行き場のない恋心をもつ人たちの1ページを描いています。

    みんな恋をすると自分が知らない間にわがままになり、自分勝手になり、傷ついたような気がして、でもそうじゃなくて…


    成長しきれない主人公たちと時間を共有したような感じかな?


    ゆらゆらゆらゆら…でも生きるって、こんなことの繰返したよねぇ。

  • すごいな、なんだ、山田詠美。
    こんなところまで来ていたなんてびっくりだ。
    美しいというと少し違うかもしれない。私の中での美しいは江國香織だから。こんなに生々しい、つまりみっともなく、愛おしい、そういうものを書き上げることができるなんて。
    『ご飯ものを上手に書く描写には強く惹かれるなあ』読み始めはそんな感じ。でも、気がつかない間に人物が立ってきて、心にとどまる。山田詠美の文章は、主人公の気持ちがストレートに表現されるので読み易い。その実、完璧に主人公の目線で書かれているので、他の登場人物については、主人公との関わり合いで読むしかない。相手が何を考えているかは主人公が聞いた、見た、彼らの言葉と動きでしかわからない。故にとてもリアルな描写になる。読み手が目を見開けば、主人公と自分の境目がわからなくなるくらいに。
    Twitterで詠美ファン勧められて、短編だとも知らずに読み始めた。私は例え名手と言われる山田詠美でも、やっぱり長編が好きだ。書き下ろしだろうが、なるほど名手とはこういうことなんだとやられた感に腹立たしくさえ思った。

  • キャラメルのあじは、あまくてすこしほろにがい。
    そして、なめるととろりとして、かむとねっとりまとわりつく。
    そのくせ、あっというまにとけてしまって、それでもあとあじはしっかりのこる。

    この短編集にでてくる恋愛はそんな感じなのかなと思いました。
    あまく浸ってみたり、それと背中合わせの狂気にヒヤッとしたり…
    そんな恋愛を経験したことがないからこそ、ハラハラドキドキしながら読めました

  • 収録されている 夕餉 という短編がとても好きだ。
    おなかも満たされる気がするからなのか。
    紘みたいに優しい男の人は良いなあ。

  • 恋は盲目。それでいい

  • ミユナさんからのオススメ2
    山田詠美の作品はティーンネイジャーが主人公のお話の方が好きだと思い込んできたけれど、面白かった。勿体無いことしてた!
    アトリエという作品だけはどうしても受け入れられなかったけれど、久しぶりに読んだ山田詠美の文章に、やっぱりこれだ〜〜!と声を出して叫びたくなった。
    まさに絶佳。あらすじまで面白いです、山田詠美先生、どうもありがとうございます。

  • 恋はいつでも甘い。

    いくつであっても、
    記憶のなかでも。

    失われた恋の、舌に残る苦味の中にさえ、
    どこさに甘さを残している。

    ねっとり絡む大人の恋。

  • あまり「美味しそう!食べたい!!」という感想には至らない。人々の日常

  • 男と女はかくもままならぬものかな。ままならぬものだ、というのは話に出てきた女の子が言ってたんだけどもね、男女関係、あらゆる小説においてこれが語られることはほとんどなく、太古の昔から語らるにも関わらず、いつまでも誰もが学ばずに、そしてままならない。いやはや。
    でもそんなままならない話ばっかりだから読んでてはうあーってなるかと思いきや、そうでもない。分かる、というのでもなく、かといってあり得ないほど自分とかけ離れているわけでもないんだけど。
    でもこの空気感は大好き。としか言いようがない。

  • 山田詠美をまた読むことがあるとは。頂きものの本。さくっと一日で読んだ。山田詠美はどちらかというと苦手だった。男性がいつも主役で、女性の扱われ方がなんだか納得いかないことが多くて。いつも女性は、ふにゃふにゃしてたり、右脳人間過ぎたり、あとは逆に強すぎたり。今回も然り、と思ったけど「夕餉」はよかった。

    「土鍋が音を立てている。私は、床に座り込んだ。紘に食べさせることに情熱を傾ける意味をようやく考えた。証明したかったのだ、と思った。使い終わったそれまでの人生が無駄ではなかったことを。もう一度生き直すには、あやふやな観念なんてお呼びじゃない。食べること。セックスをすること。眠ること。彼のそれらの行為に、自分が、どの女よりも有効であるのを確認したかった。空腹を満たすことから、すべては始まる。私は、彼の始まりを独占しようとしていたのだ。そして、彼の始まりに、私も便乗する。そうすれば、抱き合うことが出来る。同じ夢を見ようと約束出来る。二人にしか意味のないものが、次々と生まれ続けて、彼は手入れせずにはいられなくなる。その時こそ私は息を吹き返す。」

  • 山田詠美らしいギュッとタイトに日常かつオトナの世界が詰まってたと思う。タイトルにもなっている「風味絶佳」が一番すきだった。次点で「間食」。わたしは好みがややお子ちゃまなので星は4。

  • わたしの中に渦巻くことばにしがたい想い。
    ことばという輪郭に収めがたい感覚・感情。
    それを原型に近づくように切り取るにはわたしには度量が圧倒的に足りない。

    小説家はそれをやってのける。

    山田詠美さんはこの短編集でそれを華麗にやってのけるのである。

    作家生活20周年に書かれた作品集というけれど、どれも安定感があり安心して読める。どの短編も味わい深い。
    まさに風味絶佳。

    「夕餉」と「アトリエ」が印象的。
    幸せの形はひとそれぞれだけど、そしてそれは確実に刹那的だけれど、確かに泣きたいほどの「幸せ」がそこにあった2編。

    ラストの高橋源一郎さんの解説がまたよい。
    (2016.6.26)

  • 「夕餉」の美しく流れゆく料理と物語に惚れ込んでしまった。おいしく完成していく料理に対して、崩れていく人間関係からの再生。とても美しく、おいしい。

  • 2016/5/5読了。
    間食:15歳年上の女性と暮らしながらも、年下の子豚のような子を可愛がり恍惚を得ている鳶職の男。15歳年上の女性もただ彼を愛しているというより食事を作ったり彼の世話を自己満足で行っているような感じでお互いのいびつさがぞっとした。読み終わってタイトルの意味がわかりそういうことかと。

    夕餉:ごみ収集の乗務員である不倫している男のために手の凝った料理を作る美々。料理やごみの分別をする描写が独特な怖さを感じ、文書が滑らかですらすら読めた。女性はいつまでも、褒めてほしいし女の子として見てて欲しいんだよなと思った。

    風味絶佳:70歳を過ぎても現役のグランマ
    。ガスステーションで働く孫の志郎の恋の話。志郎はとっても優しいけれど、それだけじゃやっぱり女性は物足りないものだなと思う。

    海の庭:年頃の娘からみた離婚をした母親と同級生の関係を描いた話。30年ぶりの再開でぎこちない雰囲気の二人やそれをみている娘の状況がうまく表現されている。

    アトリエ:汚水槽の清掃作業員の夫と暗く何をするのも不器用な妻の話。妻が弱ると元気にさせる夫は、自分が元気にさせられることに喜び、快感を得ている。妻を愛しているのではなく、そういう自分に酔っている。妻も不気味だが、夫が妻に注ぐ愛情が歪んでいて不気味で怖い。

    春眠:葬儀屋の父と息子の同級生で片思いの相手である女が結婚してしまう。亡くなった母の気持ちを考えず、若い女との生活で変わった父の姿に息子は苛立つ。 母の拾骨が終った時に、炉前にいる作業員に深々と頭を下げてお礼をいう姿、泣かずに礼儀正しく降るまう姿に父の母への愛を感じた。 女は息子に言う"死ぬ時に、一番幸せなのが勝ち"と。

    汗と臭いが伝わってくるような労働者の生活の中での様々な恋愛模様が上手く描かれていた。不気味で共感できない人ばかり出てくるが、考えさせられる本だった。

  • 孫に自分の事をグランマと呼ばせるおばあさんは読み手が若ければ反感を買うだろうし、読み手がおばあさん世代に近ければちょっと羨ましいと思うだろうな。 
    友達から勧められて、書店で装丁買いした本。

  • 読書録「風味絶佳」2

    著者 山田詠美
    出版 文藝春秋

    p76より引用
    “レードルやスクレイパーや菜箸、まな板や
    トングに至るまで、台所用具は、いつだって、
    私を快楽に導いてくれる。”

    目次から抜粋引用
    “間食
     夕餉
     風味絶佳
     海の庭
     春眠”

     恋愛をテーマにした、短編小説集。
    全六編。
     建設会社で働く雄太、イマイチ職場に寂し
    さを感じる彼にとって、職場で少し浮いた存
    在の寺内は気になる存在で…。(間食)

     上記の引用は、料理好きの女性の心の中。
    使い慣れて手に馴染んだ道具は、それを使う
    事自体が快感なのかもしれませんね。
    買って来た新品の道具を、自分の手に馴染む
    まで育て上げると、より一層仕事の能率が上
    がるものなのではないでしょうか。
     甘くて渋くて、少し苦い。そんな短編が集
    められています。私にはあまり合いませんで
    した。

    ーーーーー

  • 「女の良いところがあれば、それを事実のままに伝える、それが褒めるってことなんだよ。男に対したって同じだ。それを信条にすると、世の中はなついてくる。」
    「1日に1度は寂しいと思うことって、人を愛するこつだろう?」

  • 歪んだ愛の形
    アトリエがやばいぐらいにいいです。きれい

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風味絶佳 (文春文庫)の作品紹介

70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。谷崎賞受賞。

風味絶佳 (文春文庫)の単行本

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