もう鳴らない“ゴット・フォン” 後藤田正晴と十二人の総理たち (文春文庫 さ 22-14)

著者 :
  • 文藝春秋
3.63
  • (14)
  • (14)
  • (16)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 188
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167560157

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (ご存命だし失礼だろうけど)昔の人ってやっぱりパワーが違う。佐々さんや後藤田さんは東大行くほど頭がよかったから、頭脳もあるし、でもそれだけじゃなくって行動力が備わってるんだ。二人とも戦争を経験したし、佐々さんの場合は学生運動全盛期に東大に通っていてそこで巻き込まれたことも影響してるんだろうな。今ののほほんとした環境とは大違いで、食うか食われるかという状況で感覚が磨かれて、警察行った後もあさま山荘事件(佐々さんの著書を過去読了)みたいな、歴史に名を残すような凶悪事件も経験してるから。
    だから今の人たちとはやっぱり違う。頭脳優先で、考えに考えを重ねて、でも煩雑な手続きや縦割り社会のせいで機動力が弱く、後手に回る。
    後藤田さんと佐々さんのやり取りは、だから読んでいて気持ちいい。ゴット・フォンによる命をいやいやながら受けて、現場主義を貫く、機動性のある政治を進めてしまうのなんて、戦争なんておこらないよ、と間違った見解を抱いていている政治家に対し、独自の外交ルート(交友関係)を頼って、アメリカの動向を探る。つっついても出てこないような官僚組織の中でははあっぱれじゃない。縄張り意識が強い官僚社会の中で嫌われるって思ってても、型破りな方法を取るのは私益のためにやっているんじゃなくて後藤田さんの言葉を借りたとおり「国益」のためなんだから。
    政治家ってこうあるべきじゃないのか、と思ってしまった。そんな一般人から見たらちっぽけな縄張り意識とか慣例とかを時には超えて、国の取るべき道を提示する。
    後藤田さんが眼をかけていたらしい政治家が数人出てくるけれど、何よりも佐々さんを信頼していたに違いない。後藤田さんの名が冠されている本だ。後藤田さんの命令によって、佐々さんが実行したいろんな業績が詰まっている。それだけじゃなくて過去の上下関係、組織外でも続くその関係、そして友情まで感じ取れる、いい本だ。

  • 佐々さんの書く後藤田さんはやっぱり好きですw

  • 後藤田五訓 省益を忘れ、国益を想え 嫌な事実、悪い情報を報告せよ 勇気を以て、意見具申せよ 自分の仕事に非ずというなかれ。自分の仕事であるといって争え 決定が下ったら従い、命令は直ちに実行せよ

    カーネギー ここに己より賢き人々を周囲に集める術を知りたるもの眠る

    ウエリントンブーツ ワーテルローの戦いの時、陸軍歩兵は貧しくて、腹べこでボロ靴を履いていた。ウエリントンは空腹とはだしではフランス軍に勝てない。兵士に食物を与え、靴を履かせろと大号令をくだして、待遇改善を急がせ、ワーテルローで勝った。地雷英陸軍では長距離の行軍の前には必ずフットインスペクションといって兵士の靴をみるのが習わしとなった。これから将校になるものは下士官の胃袋と靴の心配をしろ


    菊造り、菊見るときは、蔭の人

  • 佐々さんの事件簿という感じだが、時の総理のときにどのようなことが起こり政府がどのように対応したのかが内側から描かれており面白い

  • 後藤田さん逝去に伴い、歴代首相と佐々さん、後藤田さんの関係が築かれている。どちらかといえば佐々さんの自伝的要素が強いが、後藤田さんの意外な茶目っ気のあるエピソードも盛り込まれていて、面白い。

  • 東北東日本大地震の対応について考えさせられて読んだ
    現役官僚にこんな人いるのだろうか?もっと、佐々氏を活用してほしい

  • 後藤田さんが生きていたら、危機管理のトップとして日本を立て直してくれたと思う。ここまでひどくなる前に。

  • 今までの著書と被る部分もあるが、重大事件は、時間を経ないと書けないモノばかりなので、こういった本はとても貴重だし、また面白い!
    また、著者と後藤田さんの関係も、ジーンとくるものがあった。

  • 危機管理とは?を理解したくて買った本。浅間山荘事件に対する指針が印象深い。

  • 2010.3.18 了/後藤田さんを紹介する話はほとんどなくて,ほぼすべて自分のしたことの自慢・・・

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等に警備幕僚長として危機管理に携わる。86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、89年昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。2000年、第四八回菊池寛賞を受賞。2001年、勲二等旭日重光章受章。著書に『東大落城』(文藝春秋読者賞受賞)等がある

「2016年 『重要事件で振り返る戦後日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐々淳行の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×