保科正之の生涯 名君の碑 (文春文庫 な 29-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (698ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167567057

作品紹介・あらすじ

江戸時代初期、二代将軍秀忠のご落胤として生まれた幸松は、信州高遠の保科家を継ぐ。やがて異母兄である三代将軍家光に引き立てられ、幕閣に於いて重きをなすに至る。会津へ転封となった後も、名利を求めず、傲ることなく、「足るを知る」こそ君主の道とした清しい生涯を、時に熱く、時に冷静に描く著者渾身の書。

感想・レビュー・書評

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  • NHKの番組「BS歴史館 今いてほしい!?日本を変えたリーダーたち(2)保科正之」2012.4.27を見て感動し、すぐに本屋に飛んで行きました。

    本著の著者中村彰彦氏も出演されておりました。懇切に保科正之の業績を説明する一方、朝敵として認知された会津藩の祖というフィルターを通してしか昨今は語られないことに静かに憤慨しておられる姿が鬼気迫っていました。

    同じ出演者の黒鉄ヒロシ氏は「名君中の名君」と絶賛。

    そこまで人にして言わしめる人物を丁寧に書ききった名小説です。

    正之の出生こそが正之を運命付けたのであり、生涯その則を越えることなく卓越した業績を残したことがよく分かります。

    会津藩主として副将軍ということは、現在に直すと福島県知事兼内閣総理大臣のようなものでしょうか。

    名君中の名君、リーダー中のリーダーとは正之のほか確かに思い浮かびません。

    スーパーマンと番組で誰かが言っており、まさにそのとおり。あの時代に正之なかりせば、徳川体制の崩壊はもっと早かっただろうと確信させます。

    経営の一助にと思って軽く読みすすめましたが、この本は深く感銘を受けました。

    会津藩の歴史をもっと深く知りたくなる出会いの本でした。

  • 知られざる素晴らしい功績を残した人がまだまだいるんだろうな。徳川家光の異母兄弟として生まれた保科正之の一生を追う一冊。特に民を第一考えて発令する施策が素晴らしい。

  • 4-16-756705-9 698p 2012.1.5 6刷

  • 死せる保科正之、会津藩の運命を変える
    会津藩家訓の事です
    既視感しかないのは「将軍の子」を読んだから
    でも昔死ぬ前に自分の業績を全て焼き尽くした
    ため事績を示す古文書が少ないと読んだ気が?

    母親の生き様から丁寧に書く事で、小説家らし
    く「あの制度」を作った動機「あの判断」を下
    す基になる経験・感情を描き、腑に落ちた感を
    読者に与えてくれる(偉大な作家さん)

    700ページ近い分厚さで背広に入りません(笑)
    通勤本にしたけど話は頭に入りました♪
    山崎闇斎とのくだりは参考になった
    どうしても思想史は遠ざけてしまうので、この
    ような物語の断片に出て来ただけで興味湧くし

  • 少し長かったけど、保科正之は気になる存在。
    『天地明察』にも登場する賢者。
    文中ところどころ、現代に通じる蘊蓄があり、
    勉強になりました。

  • 長編だけど分かりやすく読みやすくもあると思う。ただ、登場人物のセリフが少ないぶん感情面とか平坦に感じ、司馬遼太郎みたいな小説的読み応えは無いかも。

  • 挫折

  • 清流を泳ぐ鮎のように、始めから終わりまで清涼のなかを泳ぐように読めます。
    江戸の名君と言えば、真っ先に米沢・上杉鷹山公を想い出しますが、その100年以上も前に、徳川方にこれほどの名君がいたとは知りませんでした。三代・徳川家光の腹違いの兄弟で、会津藩初代藩主。
    時代考証は細部に至るまで丹念に調べられており、何より著者の保科正之に対する愛情がひしひしと感じられます。会津藩の家訓15カ条を制定し、「大君の儀、一心大切に忠勤」を第1条に定めたことから、会津藩は佐幕派となって保科正之ともども歴史から遠ざけられたようですが、足るを知り、私心なくことにあたる保科正之像はもっと知られてよいと思いました。読後は、心洗われる気分です。

  • 各人物の事績が簡潔に纏められており一気に読み通せた。

  • そこそこページ数がありますが、読みにくさは感じません。
    会津で「負わせ高」の廃止や江戸城天守閣再建に異議申し立てるところなど、ぐっときます。

    保科正之公は、清廉を体で表すような偉人だと思います。
    会津藩家訓十五か条も、私はその一に非常に感銘を受けるのですが、一方で、この類稀なる名君を藩祖とした会津藩の末路を思うと、無念というか、物悲しい気持ちになります。

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著者プロフィール

中村彰彦

1949年、栃木県栃木市生まれ。東北大学文学部卒業後、文藝春秋に勤務。87年に『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。91年より執筆活動に専念し、93年に『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年に『二つの山河』で第111回直木賞、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞。また2015年には第4回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞を受賞。小説に『鬼官兵衛烈風録』『名君の碑』『戦国はるかなれど』『疾風に折れぬ花あり』、評伝・歴史エッセイに『保科正之』『なぜ会津は希代の雄藩になったか』など多数。

「2020年 『その日なぜ信長は本能寺に泊まっていたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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