街の灯 (文春文庫)

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著者 : 北村薫
  • 文藝春秋 (2006年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167586041

街の灯 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読み始め…17.4.27
    読み終わり…17.4.28

    昭和初期の華族・士族のお嬢さまたちのお話ですが
    身分でこその品格のある世界観ではありながら
    才覚も持ち合わせたお嬢さまの好奇心が炸裂する探偵もの。
    「円紫さんと私」を思わせてくれるような軽快で微笑ましい謎解きを楽しみました。

    主人公・士族上流家庭の御令嬢は花村英子。
    明確ではありませんがたぶん14-5才でしょうか。
    こちらのお嬢さまがなんてったって好奇心旺盛の才女で、不思議と感じたこと
    疑問に思ったことはなんでも調べてみたくなる...というイメージの
    とても大人びた印象の少女です。
    そして相棒役となるのがお抱えの女運転手ベッキーさん。
    このベッキーさんこそが優れた才覚の持ち主で、ただの女運転手なかれ。
    なかなか侮れない頼もしい相棒なのです。

    そして時々にしか登場しないのですが、英子のお父さまが素敵すぎて...!
    娘を思う親心がなんとも紳士的で素晴らしすぎです♪

    そこかしこに散りばめられているユーモアや笑いには品格があってとても美しい。
    殺人事件が絡んでいてもどこかしら微笑ましくて爽やかです。

    北村さんの著作はこれで三作品目になりますが、いずれにも
    文学・芸術・芸能...それも伝統的古典的なものが必ず織り交ぜてあり
    恥ずかしながら知らぬものが多くて、このたびもしっかりと
    私に課題を与えてくださいました。
    「虚栄の市」....知りませんでした...。

    「虚栄の市」....サッカレーの文学より
    映画「悪女」をぜひ観てみたいと思います。

    「銀座八丁」....森鴎外「即興詩人」を絡めて
    時計台の中に入ってみたいな。

    「街の灯」....チャップリンの映画にちなんで
    映画をまたもう一度観てみよう。

  •  昭和七年、上流家庭の令嬢、英子とその運転手のベッキーさんこと別宮(べっく)くみこが様々な謎を解く連作短編。

     昭和モダンの雰囲気が漂う短編集。北村さんはよく女性の一人称で物語を展開させますが、その一人称がこれほどまでぴたりとハマった時代設定はなかなかないのではないでしょうか。

     魅力的ながらも世間ずれしてなくて、どこか浮世離れした印象の強い女性主人公が北村作品には多かったのですが、今回主人公を昭和の令嬢という設定にすることでその世間ずれしていない天真爛漫さがとてもその時代感を表しているように思いました。

     そしてベッキーさんもかなり魅力的なキャラ。頭の良さや冷静な性格面だけでなく、武芸にも秀でていて女性ながらそのカッコよさには何度も惚れそうになります(笑)。

     そして、二人が単なるホームズとワトソンではなく、ベッキーさんのさりげないヒントから英子が謎の真相に迫っていき、それによって世間ずれしていない英子が様々なことを知っていく、という構成になっているのも魅力的です。この二人の関係性は決して変わってほしくないなあ、と読んでいて強く思いました。

  • 2009.11.20 読了

    初めてこの作家さんの本を読んだけどおもしろかった。
    この世界観くせになる。

    ベッキーさんは何者なんだ。
    英子とはずっと一緒にいられるのか。

    あー早く続きを読まなくちゃ気になってしょうがない。

  • 昭和初期の上流階級の世界を描くシリーズの一冊目。2002年に書かれた作品「虚栄の市」「銀座八丁」「街の灯」3作収録。
    女子学習院に通う花村英子は社長令嬢。
    本好きで好奇心が強く頭の回転が速い。
    華族令嬢にも友達はいるが、それよりはだいぶ気楽な暮らしぶり〜といっても当然のように振袖を着て「ごきげんよう」と挨拶しあい、お供がいなければ外出はままならない。
    送り迎えをする運転手に女性の別宮みつ子が雇われ、仲良くなって、小さな事件を解決していきます。
    世間を知るクールなベッキーさんがやたらカッコイイ!優雅さ漂う暮らしぶりとちょっと懐かしいような銀座の風景などが楽しい。
    2作目を先に読んでピンと来なかったんですが、こっちが先の方が良いですね。

  • ミステリーではあるものの、戦前という時代の空気感を楽しむ小説だと思う。シリーズものなので今後の展開に期待。

  • 昭和初期、まだ、明治維新前の大名家や華族家、などの出自の家柄が、上流階級だったんですね。
    別世界のお大尽の暮らしを読むのは楽しい。
    暗い時代とは言うけれど、ここに描かれる銀座も軽井沢も、溢れかえる平民に蹂躙される前の“古き良き佇まい”に思える。
    作品の種類はミステリーですが、そういう舞台を読むのが好きです。

  • 「街の灯」 北村薫 昭和初期を舞台に社長令嬢とお付の運転手ベッキーさんが日常に潜む事件を解き明かしていくシリーズ。こちらが一番最初のもので、花村家のことや、上流社会における華族の序列や新興企業家との関係などが明かされている。士族出身で軍人であった祖父の代から財をなし、財閥系の商社の社長として手腕をふるう英子の父親は、先進的な考えの持ち主であったのか、当時行動を制限されることの多かった上流社会の令嬢である英子に、別宮という新たな女性運転手をつけた。英子の学友である有名大名華族の令嬢に比べれば、英子は随分と自由な身であったと思うが、これについては、英子の父親の(はっきりとした記述は無いものの)、英子の聡明さを認め、女であっても見聞を広め、能力を生かせる生き方を歩ませようとしている意志を感じさせる。経済界の一雄である父が軍国化に異論を唱える首相を擁護する発言をして云々、この時代の大きな流れとそれに戸惑う人々、自由の無い時代に向かって暗雲立ち込める時代背景を感じることが出来る。

  • 柔らかく、優しいミステリーです。

     FANである「DIRTCOOL」誌に連載を持つ、絵描き屋たまさん。
    ブクログでのたまさんのレビューが気になり、初めて北村さんの著書を読んでみました。

     舞台は昭和7年。暗い時代と言われますが、物語は緩やかな上流階級で進んで行きます。ミステリーではあるんですが、穏やかな流れに少しホットします。

    全3部作の構成と伺っておりますので、花村英子様と別宮(ベッキーさん)が、どのように関わって行くのか。別宮は一体何者なのか。とても楽しみでございます。ホホホ・・・

  • こういう心持ちの良い登場人物たちが多く出てくる小説というのは、読んでいると心が洗われる気がする。格式高い、矜持を持ち合わせた、なんといったらいいのか…こういう時代があったんだなあ。
    多くを分かっていながら決して前に出ないベッキーさん、令嬢としての立場と責任を理解しつつ、戦争に向かう時代に疑問を抱く主人公。
    カバーイラストも上品かつ優美で内容に合っている。
    華族制度の廃止後、英子嬢はどのように生きていったのだろう。

  • 昭和七年の東京が舞台。
    時代の空気・東京の空気・上流階級の空気。
    そういうものを味わうのに最適な一作。

    個人的には昭和七年という時代設定から、この後主人公英子はどのように生きていくのかが気になるところ。もっとも、作者がその時代まで描くのかという疑問はありますが。

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街の灯 (文春文庫)の作品紹介

昭和七年、士族出身の上流家庭・花村家にやってきた女性運転手別宮みつ子。令嬢の英子はサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなみ、彼女をベッキーさんと呼ぶ。新聞に載った変死事件の謎を解く「虚栄の市」、英子の兄を悩ませる暗号の謎「銀座八丁」、映写会上映中の同席者の死を推理する「街の灯」の三篇を収録。

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