- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167586058
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
シリーズ1作目の街の灯も良かったが、2作目は言葉では表せないくらい良かった。って言うより、感想を上手に自分の言葉で書き綴ることが出来ない。
いつもだけど、北村薫さんの本を読むともっと勉強したくなる。
枕草子も伊勢物語も、平家物語も…。
そしてこの物語で描かれている時代についても。
ベッキーさんのことが少し判ったけど、これからどうなるんだろう?
さあ、シリーズ最終章を読もう! -
シリーズ一作目よりもその世界観にぐっと引き込まれた。若月さんや綾乃さん、乾原さんと、新たに登場した人物が魅力的だった。情熱と哀しみが入り混じっているようなそれぞれの心に惹きつけられた。
なんとなく、読んでいる間ずっと周囲が夜のような気がした。だんだんと戦争の話になっていくんだろうか...。主人公とベッキーさんとの日常に馴染んできたからこそ、次作を読むのが少し怖い。 -
お嬢様と別宮(ベッキー)さん、どちらもしっかり教養と自分の考えを持っていて素敵だった。
ユーモアもあって面白かった。
ミステリーとしても面白かった -
昭和初期を舞台とした、ベッキーさんシリーズの第2巻。「街の灯」の続編に相当します。
随分昔(調べてみたら3年も前だった!)に前作の感想を書いた際、「時代設定上どんどんつらい話になっていきそうでちょっと不安」と記したのですが、やはりどうしてもトーンは暗くなりがちですね。登場人物たちのきらびやかな暮らしが、あるいは栄華を誇る帝都が、今後どうなるか予測がつくだけに辛いものがあります。芽生えつつある恋のロマンスも、どうも先行き不安です。
北村薫氏の作品に接すると、何気ない一言にドキッとさせられる事が往々にしてあるのですが、今回はこの一言。
「貴女様の役回り」
凛としたベッキーさんの"闇"を垣間見たようで、背筋がぞくりと震えました。この"闇"は、終盤でよりはっきりと、そして思わぬ形でその輪郭をあらわにする訳ですが。
暗澹とした展開が続くものと予想されますが、それでも一筋の光明が灯る事を期待して、次巻を待ちたいと思います…ってもう出てますね(笑)。 -
やっぱり好きだなぁ北村薫さんの描く女性が。上品で教養があってそれでいてい芯のしっかりした自分の意見がちゃんと言えて、茶目っ気もあって。憧れます。それに北村さんの書く文章がまた綺麗なこと!極上!
今作でベッキーさんの素性がはっきりした。やはりタダモノではなかったのですね。でもそんな悲しい過去があったとは!昭和初期が舞台なので時代がだんだん暗く戦争へと向かっていく日本。次で終わりらしいのでどのようになるのか気になる!伏線があって解決していくミステリだけどオチも洒落ててほんっとお素敵! -
北村薫作品で私が一番好きなベッキーさんシリーズ第二弾。今回は謎多きベッキーさんの核心に迫る話。ミステリーとしては勿論私の大好きな昭和初期の華族を中心とした上流階級の世界をこれでもかと描いくれていてとても満足。私たちはこの10年後には日本が焦土と化していることを知っているわけだが、主人公2人の悲痛な想いにどうか救いをと祈らずにはいられない。
-
2022.2.21読了
再読。
社長令嬢の花村英子は華族学校に通う女学生。
好奇心旺盛のお嬢様は運転手のベッキーこと別宮と共に様々な謎に挑んでいきます。
戦争の影がひたひたと忍び寄る昭和初期。
それでも三越、資生堂パーラー、晩餐会、展示会等、女学生を通じて明るく華やかな描写は続く。しかし楽しくも悲しい。あくまでもお嬢様は特権階級だから。
やっぱり北村薫はいいなー -
「ベッキーさんシリーズ」第2弾。
「街の灯」から1年が経ち、時は昭和8年、時代はますますきな臭くなり、戦争の影がひたひたと押し寄せる。そんな暗さを通奏低音のように含みながら進む3つの中編。
「幻の橋」では、明治来犬猿の仲だった両家の手打ちの場で起きた浮世絵喪失の謎を、「想夫恋」では、残された手紙の暗号を解き失踪した学友の行方を、「玻璃の天」では、ステンドグラスの天窓から転落死した男の死の真相を英子とベッキーさんが解き明かす。その過程で明らかになるベッキーさんの正体。
前作では邪気もなく上流階級の生活を謳歌していた英子も、折あるごとに正義とは、国家とは、大義とはということを真剣に考える。
中でもパーティーで知り合った若き少尉とのバルコニーでのやり取りは圧巻。15歳の少女が軍人相手にここまで堂々と自分の考えを展開できることに驚くとともに、若い二人の今後の関係にひそかに胸がときめく。
英子と月岡少尉、ベッキーさんと思想家、終盤での英子、ベッキーさんと乾原のやり取りなど、緊張感あふれる言葉の戦いは、このあと訪れる暗い歴史を知っているからこそ、その一言一言が胸を抉る。
「金魚鉢の中にいる金魚には、鉢の水が見えないものだろう。どのような水の中にいるのか――その判断は、時か所を隔てないと、普通は出来ないし、それ以上に、することを許されない。許されないのが、我々の知る国家というものだ。
百年経ち、千年経った時、人の知恵は、そういう国家のあり方を少しは変えられるのだろうか。」
英子の質問に私たちはどう答えればいいのだろう・・・
次はいよいよ2.26事件の年。クライマックスです。