- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167587062
感想・レビュー・書評
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昨年末に亡くなつた(元)女優・高峰秀子さんのエッセイ集であります。
池部良さんの時も感じましたが、これだけの人物が亡くなつたといふのに、通り一遍の報道しかされてゐないやうです。悲しい。
本書は何となく本屋で逍遥してゐたところ見かけて、購買した次第であります。
知人のお嬢さんにウェディングドレスを貸す話の「四十三年目のウェディングドレス」。貸衣装で100万円とはべらぼうな話であります。既にスタアだつた高峰秀子が、結婚当時貧乏だつたといふ。なぜ?と思つてゐたら後の「ひとこと多い」で明らかになりました。
「オッパイ賛歌」は、ある医者の誤診で危ふく乳房を片方失ふところを、石井ふく子プロデューサーのおかげで救はれた話。セカンドオピニオンは大事だな、といふ方向へは行かず、誤診をした医者に思ひを馳せるのでした。
「おへそ」は映画界の職人の良い話。「ひとこと多い」では、養母との確執が語られる。スタアなのに貧乏だつたのは、この養母にすべて吸い取られてゐたからなんですね。
「ただ今自分と出会い中」は、自らに忍び寄る老いがテエマ。しかし全く深刻さがなくユウモワで包まれた文章なので、読む方としても辛くないのが良い。
勇気をもらへる1冊と申せませう。
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すごく文才のある人。
昭和を代表する大女優であるにもかかわらず、全く違和感なく親しみやすい文で一気に読んだ。
高峰さんの著作、他にも読んでみたい。 -
「高峰秀子」のエッセイ集『にんげんのおへそ』を読みました。
「高峰秀子」作品は3年前に読んだ『巴里ひとりある記』以来ですね。
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晩年の暮らしと感慨を達意の筆で掬った名随筆集。
「高峰秀子」が大切にした「日常という宝物」。
撮影所の魑魅魍魎たちが持つ「おへそ」とは何か?
そして、四十代から考え始めた「人生の店じまい」の心得とは?
肉親との永年の苦闘の果てに手に入れた夫「松山善三」との穏やかな暮らしを守る中で、女優にして名文筆家の「高峰秀子」が自らの歩んだ道を振り返りつつ示した矜持と鋭い人間観察眼。
人生を味わい尽くす達人による、ユーモアとペーソスあふれる珠玉のエッセイ集。
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醒めた目をした人気子役時代、撮影所のヘンで素敵な人々、人生の店じまいの仕方…… 心に残る事々が爽やかな筆で綴られているエッセイ集です、、、
1988年(昭和63年)から、1998年(平成10年)に書かれたエッセイが収録された作品です。
■四十三年目のウェディングドレス
■オッパイ讃歌
■おへそ
■ひとこと多い
■馬よ
■梅原龍三郎と周恩来
■風の出会い
■午前十時三十分
■ウー、うまい
■きのうの「人間」きょうの「人」
■アコヤ貝の涙
■ただ今自分と出会い中
■死んでたまるか
■ピエロのおへそ――文庫版のためのあとがき
元銀幕の女王が、イチ女性として、気取らずに日々の暮らしや、思い出を綴っているので、好感が持てるというか… 親近感を感じることができて、「高峰秀子」という女性の魅力を、さらに感じることができた作品でしたね、、、
風のように爽やかな「幸田文」、魅力の英雄「周恩来」、ぼけた妻に悩まされる「谷川徹三」、超変人の「木下恵介」、「黒沢明」、漬物と味噌のない夫「松山善三」との食生活、画家「梅原龍三郎」や作家「谷崎潤一郎」とのお付き合いや別れ、そして無名の素晴らしい人たち等々… 一歩退いた場所から周囲を観察して、何気ない日常にキラリと光る部分を見つけだし、人間模様の数々にスポットを当てて、柔らかでユーモア溢れる無駄のない文章で生き生きと描かれています。
淡々と批評する部分もあるけど、それが嫌味にならないところが、本人の魅力であったり、文章を描く才能だったりするんでしょうねぇ、、、
読書好きな「高峰秀子」が、帝国ホテルのグリルでのランチ後にラウンジに席を移してカプチーノをすすりながら「沢木耕太郎」の短篇集を読むシーンが、妙に印象に残りました… 個人的には大好きな「高峰秀子」と「沢木耕太郎」ですが、二人には接点がないと思っていたから、何気ないシーンでもインパクトがあったんでしょうね。
新しい発見もあり、愉しく読めた一冊でした。 -
さらっと読める洒脱なエッセイ。 でも養母とこんなに複雑なことになっていたとは知らなかった
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読み始め…12.2.23
読み終わり…12.2.24
高峰 秀子 さんいいですね ! 一目ぼれならぬ一読みぼれ ? です。(笑)北海道のお生まれだそうですが、幼少のころから東京(育ち)にお住まいだからなのか江戸っ子気風たっぷりです。( と 私は思います。)
それに少しお茶目で可愛らしい所なんかはなんとも私の母そっくりで♪と、そう思ってみれば高峰さんがこちらのエッセイを書かれた頃のお歳と私の母の今の歳がちょうど同じくらいのようでした。これは母にも読むようにすすめたらきっと喜びそう...♪ -
高峰秀子さんが養女にはいって、養母に苦しめられたり、親類縁者が金を無心に来たりという話を読んで、夏目漱石と境遇が似ているなと思いました。 このエッセイを書かれたのは御年70歳頃でしょう。なんと瑞々しいこと。それにまず、徒な文が一行も無い。けれんみがない。わたしもこのような文章が書けたならと思いますが、生きざまは違いすぎるは、感性はとてもとても及ばないはで、とても無理な話ですね。