哲学で何がわかるか? ツチヤ教授の哲学講義 (文春文庫 つ 11-13)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167588137

感想・レビュー・書評

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  • ヴィトゲンシュタインの説明が物凄く解りやすくて、自分は狂ったのかと思い始めている。

  • 講義形式で記載されているので読みやすく理解しやすかった。哲学書を読むといつも思うのですが、いったん理論構築の解説についていけなくなってしまうと読み戻ったりするのですが、この本ではそれが少なくてよかったと思います。

  • 231124-3-2

  • f.2023/4/12
    p.2011/3/15

  •  今まで哲学を大学で学んできたものの、理解しづらい用語も多く、苦慮することもあった。この本はそういった難しい概念をかい摘んで説明し、分かりやすくしてくれた。哲学の用語の解像度を上げてくれた。
     「疑いながら読むように」とされた通り、分からないところは流したが、それでも得るところの多い本でした。

  • ウィトゲンシュタインが論理哲学論考、哲学探究で何を述べているか、非常に分かりやすい例え話で、腑におちる。ウィトゲンシュタインというと言語学というイメージでしたが、要するにこれまで本質的な問いと述べたもうて、深遠ぶってきた哲学者達に一石を投じた、超重要人物なんですね。
    『あたらしい哲学入門』と並んで、土屋氏の作品の中でも傑作だと思います。

  • 解説で哲学の入門書ではない、と書いてあるがわかりやすい解説書として読んでいけないわけがない。
     原書を日本人向けにわかりやすく解説するだけでなく、どこがおかしいのかを説明している部分で理解が進むと思われる。

  • 土屋先生の著作はいままでも読んだことがあります。でも母の書棚からひそりと借りるばかりだったので、自分の所有としてはこれが初の土屋先生著作物となります。購入動機としては単純で「解説が野矢茂樹先生だったから」です。…いや、その…土屋センセイごめんなさい…。

    いつものユーモアエッセイほど、まだるっこしく冗長でしつこい文体ではありません(ちなみに「まだるっこしく冗長でしつこい」というのは貶しているつもりはなく、それがツチヤ先生のユーモアセンスだとわかってますよ!)。…まぁ多少はまだるっこしかったり冗長だったりしつこかったりもするんですが、いつもほどではありません。思っていたより真面目で真摯な哲学書でした。しかもけっこうわかりやすい。「けっこう」をつけたのは、一読ですべて飲み込めたと錯覚するほど当方も世間ずれしてないわけではないからです。哲学に憧れは抱いてても、そんな純情はとうに持ちあわせません。

    読み進めながらツチヤ先生って意外と哲学者なのね! と感想を抱いたのは…事実と照合して真か偽か。
    形而上的に設定された哲学的疑問をばっさばっさと斬り捨てて「私たちが使っている言葉で表現されたもの」を即ち事実として確認していくさまは、求道者のようなひたむきさと頑なさを思わせました。「私たちが使っているこの言葉」に操をたてて添い遂げようとしているようにすら見えました。

    プラトン、ベルクソン、デカルト。先人の打ち立てた哲学的問いと哲学的真理。その正当性をツチヤ先生は次々に否定していきます。先人たちへのリスペクトは手放さず、しかし容赦なく裁きます。そしてウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」へと辿りついて、ツチヤ先生は「論考」をツチヤ流に解釈してみせるのです。ツチヤ流「論考」を語る先生はいつもの口調であっても、いつもの自信なさげな態度ではありませんでした。
    形而上。私たちの言葉が届かぬ世界。言葉が循環関数を形成する世界、言葉が無力になる世界。

    哲学とは、哲学を無意味にする学問なのか。哲学とは、無力なのか。

    最後に顕われ出でた問いにツチヤ先生は答えます…その言葉は穏やかでした。
    講義室を去る先生の背中を幻視しながら私はこの文庫本をいったん閉じました。
    ウィトゲンシュタインの見た世界を、世界の涯てを、ツチヤ先生は見たのでしょうか。
    語りえぬ、沈黙するしかない世界。
    そして、そこを最初の礎として辿りつける地平を、きっと。

  • 著者が大学でおこなった哲学の講義をもとにした本です。ベルクソンの時間論やプラトンのイデア論、デカルトやフッサールの知覚論などを題材に、それらの問題がことばの誤りに基づいて生じていることを指摘しています。後半は、前半の著者の議論のバックボーンとなっていたウィトゲンシュタインの思想について解説がなされています。

    おなじく著者のおこなった講義にもとづく『あたらしい哲学入門―なぜ人間は八本足か』(文春文庫)ともかさなるところがありますが、本書は哲学史上にじっさいに現われた思想を題材にしており、それらの思想についても学ぶことができます。ただし、どちらも著者の思想をつらぬいている根幹的な主張はおなじで、ウィトゲンシュタインの哲学観の実践というべき内容になっています。

  • 歴代の哲学者をざっくりと紹介しながら次々と否定。全ての哲学の問題は、言葉の仕組みによる罠という考え。11回にわたる講義方式で描かれている。

    哲学を否定しているともとれる講義で、あまりスッキリとはしませんでした。でもユニークな考えだと思います。

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著者プロフィール

1944年岡山県玉野市生まれ。玉野市立宇野幼稚園、宇野小学校、宇野中学校と、とんとん拍子に宇野地区きっての名門校を進み、中学2年生のとき岡山市立丸の内中学校に転校。岡山操山高校を経て、官僚を目指して東京大学文科一類に入学。2年後、方針転換して文学部哲学科に進学して大学院博士課程中退。東大助手を務めた後、お茶の水女子大学に着任。35年にわたって哲学を教え、現在、お茶の水女子大学名誉教授。 哲学のかたわら、五十歳のときユーモアエッセイ集『われ笑う、ゆえにわれあり』(文春文庫)を出版したのを皮切りに、『妻と罰』『ツチヤの貧格』(文春文庫)、『ツチヤ学部長の弁明』(講談社文庫)など多数のユーモアエッセイ集と、『ツチヤ教授の哲学講義』『ツチヤ教授の哲学入門――なぜ人間は八本足か』(文春文庫)など少数の哲学書を発表、いずれも好評のうちに絶賛在庫中。他に『幸・不幸の分かれ道――考え違いとユーモア』(東京書籍)、『われ悩む、ゆえにわれあり―― ツチヤ教授の人生相談』(PHP)などを矢継ぎ早に発表し、在庫に花を添えている。週刊文春とPHPに連載中。

「2013年 『哲学者にならない方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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