お言葉ですが… (文春文庫 た 38-2)

著者 :
  • 文藝春秋
3.78
  • (11)
  • (8)
  • (17)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 166
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167598020

作品紹介・あらすじ

ごらんいただけますでしょうか、モロハのヤイバ(両刃の刃)、立ち上げる…何か変だなあ、この言葉。でも、どこがおかしいかお分かりになります?日頃なにげなく使っている言葉を中国文学の蘊蓄を背に徹底吟味。あるときはバッサリ、あるときはチクリ…面白くてためになる、言葉をめぐる痛快エッセイ集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「お言葉ですが…」シリーズの第1作。最初から絶好調だったんですね。目から鱗が落ちまくって、ほう、へえと感心することしきり。ご意見番の老人が、世の中の変な事情・言葉遣い・漢字の使い方に、ズバズバと物申すという感じだが、文章にユーモアがあって、次々にページをめくってしまう。
    ・もともと「です」は上品な言い方ではない。やたらに「です」を付ける言い方の可笑しさ。
    ・新聞の「大学生ら致される」という表現の可笑しさ。拉致は結構新しい和製漢語。
    ・「倫は類なり」なので不倫は類別がなってないという意味になる。倫理は人間関係に筋目、区別があるということだから、民主主義とは折り目がよくない。
    ・肌色という色鉛筆のいい方は人種差別だと言った校長の思い違い。地球上どこの民族も、自分たちの世界を中心に物事を見ているんだから。
    ・「人間到る処青山有り」の人間はジンカンと読み、世の中のこと。
    ・新聞などで「雅子さま」なんて実名を出す無礼さ。人の名を呼ぶことはその人の体に触れること。特に女の人の名は呼ばない。江戸時代の人は家康なんて言わない。言うとしたら大権現様だろうが、それも軽々しく口にしない。
    ・もともと社会に出ない女子には漢字による名前は必要なかった。明治になって、女学校などで名前が必要な時は、音による呼び名さえあれば漢字は何でもよかった。
    ・明治以後日本人の言語感覚が変り、文字がことばの実体であって音は影に過ぎないと見なすようになった。だから同音回避があまりなされなくなった。
    ・十には、ジッとジューという読み方しかない。ジュッというのは東京なまり。
    ・インドの仏様のマンジュシリが、文殊、曼珠になった。清を打ち立てた女真族は、仏教を信仰し、特にマンジュ菩薩を尊崇したので、民族名を満州に変えた。
    ・百円ずつは、本当は百円づつ。
    これ以外にも記録しておきたいことはたんとあるけど、とりあえず打ち止め。

    • goya626さん
      いえ私も、1年生の国語の指導書を見るまでは、てっきり十は、ジュウと思ってました。表記上は「じゅう」でも発音はジューだと知って、何回も口で言っ...
      いえ私も、1年生の国語の指導書を見るまでは、てっきり十は、ジュウと思ってました。表記上は「じゅう」でも発音はジューだと知って、何回も口で言ってみて確かめましたよ。そうなんだと納得させました。
      2020/12/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      goya626さん
      言葉って何気なく使っているけど、奥が深くて面白いですね!
      goya626さん
      言葉って何気なく使っているけど、奥が深くて面白いですね!
      2020/12/06
    • goya626さん
      本当にそうです。
      本当にそうです。
      2020/12/07
  • 再読

    私はいわゆる「戦後新かな略字」世代だが、高島氏の主張には賛成できる。
    また、あとがきで目黒氏も指摘しているが、話の構成も上手いし、文章が分かりやすく、外連味がない。思想的には、自分と違うのかなと思うときもあるが、それは当たり前。文春での連載は終わったらしいが、もっと読みたい。

    とりあえずこのシリーズを再読しよう。

  • このシリーズは、呉智英の「言葉の常備薬」シリーズとともに、本当に知らないことばかりで勉強になります。

    著者の学生時代の回想で、台湾からの留学生・洪順隆のエピソードや、「巨ゴ」をひざに這い回らせながら「おもちゃ」の語源などについての考証をおこなっていた著者の友人のエピソードなど、おもしろく読めます。

  • このシリーズは言葉の雑学てんこもりなだけでなく、エッセイ形式だけあって読み物として楽しい。この先生は喧嘩っ早いようで、他の先生と角をよく突付き合わせている様子もエンターテイメントの一環としてみれば面白い。

  • "とても面白く、そして勉強になる。
    正しい日本語と、言葉の成り立ち、その言葉の使い方など、高島さんの視点から鋭く切り込む。

    印象に残っているが、「義捐金」
    「義援金」と書く場合も多いが、本来は「義捐」が正しいとのこと。

    「七」を「なな」と読むか「しち」と読むかの考察も面白い。


    第二巻を購入します。"

  • 「不倫」ではなく「間男」。よい言葉です。

  • 不倫。
    行方不明。
    はだいろ。

    「君」と「さん」。
    人間。
    民。

  • 「ごらんいただけますでしょうか、モロハのヤイバ(両刃の刃)、立ち上げる…何か変だなあ、この言葉。でも、どこがおかしいかお分かりになります?日頃なにげなく使っている言葉を中国文学の蘊蓄を背に徹底吟味。あるときはバッサリ、あるときはチクリ…面白くてためになる、言葉をめぐる痛快エッセイ集。」

  • 「高島俊男」のエッセイ集『お言葉ですが…』を読みました。

    「金田一秀穂」の著書『金田一先生のことば学入門』に続き、日本語に関する作品です。

    -----story-------------
    ごらんいただけますでしょうか、モロハのヤイバ(両刃の刃)、立ち上げる…何か変だなあ、この言葉。
    でも、どこがおかしいかお分かりになります?
    日頃なにげなく使っている言葉を中国文学の蘊蓄を背に徹底吟味。
    あるときはバッサリ、あるときはチクリ…面白くてためになる、言葉をめぐる痛快エッセイ集。
    -----------------------

    文藝春秋の発行する週刊誌『週刊文春』連載されていた、言葉の語源や、本来の正しい使い方等に関する痛快なエッセイを収録した作品です。

     ■ミズもしたたる美女四人
     ■重いコンダラ
     ■トンちゃんも歩けば
     ■ウメボシの天神さま
     ■みづほの国の元号考
     ■もんじゅマンジュ
     ■あの戦争の名前
     ■あとがき
     ■文庫版のためのあとがき
     ■解説 目黒孝二

    「薪」という字は、「まき」か「たきぎ」か、でどう違うの? 等々、日頃、何気なく使っている言葉を吟味し、中国文学のウンチクを背に、あるときはバッサリ、あるときはネチネチと、その用法・ルーツを探る、頭の体操読本でした。

    その中でも特に著者の「戦後新かな略字」嫌いな部分に共感しましたね… そして、印象的だったのは、明治以降に、西洋から、それまでの日本になかった事物や概念が一気に流入したことにより、多くの新語が作られ、漢字の意味は考えたものの、耳で聞いてわかるか、区別がつくかということが考慮されなかったことが、紛らしい多くの同音語を生んでしまった原因だったということ、、、

    面白く、愉しく、日本語の勉強ができました… 拙ブログの日本語の使い方も滅茶苦茶なので、ちょっと気になりましたけどね。

    本シリーズは、別巻も含めると全18作品もあるようです… 機会があったら、別な作品も読んでみたいですね。

  • とても面白かった。
    雑学、語源などからひもとくいろいろ。この本で紹介されていた本も読みたいと思いました。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

高島 俊男(たかしま・としお):1937年生れ、兵庫県相生市出身。東京大学大学院修了。中国文学専攻。『本が好き、悪口言うのはもっと好き』で第11回講談社エッセイ賞受賞。長年にわたり「週刊文春」で「お言葉ですが…」を連載。主な著書に『中国の大盗賊・完全版』『漢字雑談』『漢字と日本語』(講談社現代新書)、『お言葉ですが…』シリーズ(文春文庫、連合出版)、『水滸伝の世界』『三国志きらめく群像』『漱石の夏やすみ』『水滸伝と日本人』『しくじった皇帝たち』(ちくま文庫)等がある。2021年、没。

「2023年 『「最後の」お言葉ですが・・・』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高島俊男の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×