漢字語源の筋ちがい (文春文庫 た 38-8)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167598082

作品紹介・あらすじ

十二月を「師走」というその語源は「年末は忙しく先生までも走る」から、「塩梅(あんばい)」とは昔は塩と梅で味つけしたからとか、尤もらしく言われているけれど…漢字語源の俗説をついた連作をはじめ、名前にちなむ愉快な話、井伏鱒二が『唐詩選』から『臼挽歌』をへて名作『厄除け詩集』を作った経緯など、面白エッセイが満載。

感想・レビュー・書評

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  • 「片頬三年」というタイトルの記事で、「四民平等は四民こぞって百姓町人になったのではなく、その気がまえにおいて、みな武士になった。特に女がなった、とわたしは思う」と著者は述べているのですが、政治的な含意を読みとることを読者にうながすような文章だという印象を受けてしまいました。

    近代以降の日本で「武士道」が国民道徳にまで押しあげられたことへの批判が、主として左派の論客から提出されていますが、そういったコンテクストのなかに著者の発言を引っ張り込むとどのような効果を持つだろうか、といったことも考えさせられました。

    諸田玲子の時代小説に「連絡」ということばが用いられていることをとりあげたエッセイもおもしろかったのですが、諸田も美人だったばかりに、怒りっぽい御隠居の目に止まって叱られる羽目になったのは不運なことでした。「楚々たる美人、とはこういう人のためにあることばではないかと思った」と著者は述べているのですが、たおやかでありつつ芯の強そうな女性が著者の好みなのでしょうか。なんとなく、腑に落ちるような気がしたのですが、上で記した政治向きの話に引っ張られてしまったのかと連想が働きます。

    いつもながらこの「お言葉ですが…」シリーズは勉強になるのですが、どうも今回は雑念が入って余計なことばかり思い浮かんでしまいました。

  • マジレスすると、「めるとも」は「メール友達」の略だから、「めるゆう」ではないと思うよ。
    新聞固有の書き方というのは、字数制限があるからだと思うし。

    読者層が限定された内輪感は否めないかな。

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著者プロフィール

高島 俊男(たかしま・としお):1937年生れ、兵庫県相生市出身。東京大学大学院修了。中国文学専攻。『本が好き、悪口言うのはもっと好き』で第11回講談社エッセイ賞受賞。長年にわたり「週刊文春」で「お言葉ですが…」を連載。主な著書に『中国の大盗賊・完全版』『漢字雑談』『漢字と日本語』(講談社現代新書)、『お言葉ですが…』シリーズ(文春文庫、連合出版)、『水滸伝の世界』『三国志きらめく群像』『漱石の夏やすみ』『水滸伝と日本人』『しくじった皇帝たち』(ちくま文庫)等がある。2021年、没。

「2023年 『「最後の」お言葉ですが・・・』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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