光源 (文春文庫)

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著者 : 桐野夏生
  • 文藝春秋 (2003年10月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167602055

光源 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 大人の事情の範囲内で中途半端にプライドをぶつけ合ったけどみんなで妥協しないと映画なんて作れないという見本?

  • 挫折した。

  • 桐野夏生さんの本は大好きですが、中でもこれはお気に入りです。
    いつもの桐野さんの作品のように、恐い事がある訳でなし、残酷なシーンもなし、あまり話題にもならなかった、どっちかというと地味な作品だと思いますが、読んでいてすごく面白いので惹きつけられました。

    この物語は「ポートレート24」という映画作成に関係する人々、それぞれの目線で描かれている。
    物語の前半の主人公は優れたカメラ技術をもつ撮影監督の有村秀樹。
    有村は金に困っている折、昔の恋人であるプロデューサー、玉置優子の仕事依頼の電話を受ける。
    内容は薮内三蔵という無名の新人が脚本・監督する映画「ポートレート24」の撮影の仕事。
    脚本の内容は、妻を失った細野という男が旅に出て1本のフィルムを撮り終わると同時に自殺するという話で、ストーリーが地味で辛気臭い上に、監督は無名の新人。
    さらに、制作費は優子の個人もちでかなりな低予算というものだった。
    その映画の唯一のウリと言えるのは、今脂の乗った俳優、高見が細野役として主演を演じること。
    やがて始まった撮影では、制作費を度外視して理想を追う監督と技術も経験もある熟練したスタッフの間で齟齬が生まれるが、紆余曲折ありつつも一つの映画作成に向けスタッフは情熱を傾けてゆく。
    しかし、そこに主演、高見の相手役として元アイドルの佐和が加わった事により、撮影不能となる徹底的な出来事が起きてしまう。

    映画撮影というプロとしてのプライドがぶつかり合う現場。
    そこにいるのは映画監督、プロデューサー、カメラマン、俳優といった、自分の仕事や考えにこだわりをもつ一筋縄ではいかない面々。
    一つの素晴らしい作品を力を合わせて作ろうという情熱と個人の打算や我執に揺れる心。
    そんな心情を一人一人の目線を通してしっかりと描かれています。

    この話では、佐和登場前と登場後で話の雰囲気が変わり、描かれる主な登場人物も変わります。
    最初は撮影監督の有村、プロデューサーの優子、監督の三蔵目線で描かれていた話が、中盤以降は俳優の高見、佐和目線で描かれていく。
    結局誰が主人公だったのか分からない話。
    でも、その誰もが自分が光源としてありたい-と思っている。
    そのためには時に他人も犠牲にしなければならない。
    そんな鬩ぎあいが見ていて面白い。
    後半になればなるほど、スピード感を増して楽しめる作品です。

    この話では出資者、俳優、監督、カメラマン、それぞれに権力が分散していて、それがために起きた悲劇のような気がしました。
    高見のとった行動は人間としては間違っていても、俳優としては正しい選択だった・・・それが皮肉だと思います。

  • 誰もが当人にしかわからない事情を抱えている。
    そして、誰もが自分にしか通用しない正義を信じている。
    物語に登場する人物は、何があっても最終的に悪いのは他人だと思っている。
    自分にも悪いところはあっただろう、でも、それ以上に悪いのは他の人間だと・・・。
    吐き気がするほどの身勝手さが、服を着て話し、偉そうに自分の正義を押し通す。
    映画に魅入られ、映画・・・映像と関わることを職業として選んだ人々。
    でも、本当に好きなのは映画ではなく、自分自身。
    名声や人気が何よりも大切で、欲しいものだのだ。
    実力以上に自分を評価し、周囲が認めてくれないと腹を立てる。
    監督としての実績もなく、力量も未知数なのに、我を押し通そうとする三蔵。
    映画製作は道楽ではない。
    それなりに経費もかかれば、大勢の人たちがかかわる力の結晶のようなものだ。
    だが、三蔵にはそれがわからない。
    考えようともしない。
    ただ、その場での自分のプライドを保つことだけに振り回される。
    高見は、自分の限界を知っているがゆえに才能の片鱗を見つけると潰しにかかる。
    「俺以上に目立つな」と。
    もっとも好きになれなかったキャラクターは高見だった。
    破滅への一歩を踏み出した高見だが、何となく先は見えているような気がする。
    実際にずっと傍にいるようになったら、一緒にいることが日常になったら、きっと高見はエリを捨てて日本に戻り俳優を続けようとするに違いない。

    映画とはいったい誰のものだろう?
    監督のものか?
    それとも俳優のものか?
    脚本家のものなのか?
    有村は映画は監督のものだ・・・という。
    けれど、最終的には資金を調達したプロデューサーのものだ、ともいう。
    何かを作り上げる現場には、きっといろいろな人間ドラマがあるのだろう。
    舞台裏を見ているようで、どことなく落ち着かない気持ちになった物語だった。

  • 思ったよりもつまらないと途中までは思っていた。後半、後半になってからのひきずりこまれるパワーはメタボラと同じ。一種のロードノベルだったと思う。疾走感のある読後が思った以上に心地よい。

  • 今まで評価をつけてきたけど、今回が一番難しかった。評価は作品の印象でいつもつけるが、いつも通りの感じで一度4をつけた。しかし、その後の余韻というか、作品のインパクトいうか後からじわじわとくるものがあり、再度評価を考え直し5に評価を変えた。登場人物の視点で書かれた本は数多くあるけど中盤あたりから風向きが変わり、終わりまではあっというまでだった。急に展開が変わると読み手は混乱すると思うが、登場人物の心境についてはそれぞれの事情があることを読み手はちゃんと理解できるように構成されていて、それは序盤までに物語をうまく進めながら各人物の状況、心境について固めているから途中の展開の変化にも納得がいくのだと思う。
    おそらく読み手によって評価はすごく変わる思うが個人的には評価したい作品。

  • 映画制作のスタッフ、俳優それぞれの思惑、実際こんな感じなんだろうなと思わせる、ドキュメンタリーのようにも感じる雰囲気。

    一気読みできたのは、それぞれが野心と思いやりとの間で葛藤している姿がよかったからか。

  • 12/9/14Sold

  • 低予算映画にかける職人たちの、汗と涙の物語......が崩壊していくお話( ´ ▽ ` )ノ。
    解説にある通り、さっぱり先が読めない( ´ ▽ ` )ノ。
    予定調和に飽きた口には最高( ´ ▽ ` )ノ。
    深作欣二?大島渚?木村大作?......その他諸々、モデルのあるようなないようなキャラの渦の中に、しれっとビル・ジグムンド(作中ではスィグムンド)なんて実在の名カメラマンが出てきたり( ´ ▽ ` )ノ。未知との遭遇を撮影した人だよ( ´ ▽ ` )ノ。
    映画は夢( ´ ▽ ` )ノ。情感が剥き出しでとりとめがない( ´ ▽ ` )ノ。それを丸ごと再現したかのような小説( ´ ▽ ` )ノ。
    難を挙げれば「ポートレート24」か? どこどう転んでも、面白い映画にはなりそうもない......

  • 人物描写は面白かったが、作品のテーマが分からない。結局何が言いたかったのか?

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