グロテスク〈上〉 (文春文庫)

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著者 : 桐野夏生
  • 文藝春秋 (2006年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167602093

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グロテスク〈上〉 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 上下巻通しての感想。
    「東京電力OL殺人事件」を題材に書かれた物語は多い。
    この「グロテスク」も和恵というキャラクターの設定に事件を反映させている。

    桐野さんの物語には底辺に悪意がずっと流れているものが多い。
    ユリコ、和恵、ミツル、そして「わたし」。
    心の中に 底なしの悪意を抱えている。
    彼女たちの悪意がもたらしたものは、いったい何だったのだろうか。
    「わたし」によって語られるユリコと和恵の人間像。
    すべてではないにしてもある程度は自分というものを理解していたユリコ。
    まったく自分というものを理解していなかった和恵。
    それは第三者に自分がどう見えているのか・・・といった点にもはっきりとした違いを生んでいる。
    破滅していく様を楽しんで傍観している「わたし」も、自分が見えていないといったところでは和恵と似ているのかもしれない。
    気味が悪いほど異様で歪みきった精神。
    多かれ少なかれ、誰の中にもその芽はあるのだろう。
    目を背けたくなるようなものほど凝視してしまう。
    読んでもけっして幸せな気持ちにはなれないのに、それでも読むことを止めることが出来ない。
    悪意という名の強烈な力に引きずられるように読み終えてしまった。
    「わたし」が抱え込んでいる悪意が怖ろしい。
    ユリコも和恵も、その悪意の標的となり被害を被ったこともある。
    事件を起こすわけでもない。
    変人だと思われても、ひっそりと社会の中で生き延びている「わたし」のような存在こそ悪意をまき散らす源になっていくのだろう。
    面白い物語はたくさんある。
    心に残る物語もたくさんある。
    けれど、読み手を圧倒し引きずり込むような物語は少ない。
    読み終わったあとの後味の悪さも含めて強烈な物語だ。

  • タイトルを見てグロい話だと思っていましたが。
    肉体的・猟奇的なグロ話はありません。
    ただ。
    暗いぞ~。
    不快やぞ~。
    僕にピッタリ。
    おもろいわ~。
    アメトークで紹介されていたので読みました。

  • さすが桐野夏生。
    いやー重い。救いがない。
    人の闇って怖い。

  • 個性だの、才能だの、そんなものは、凡庸な種族が何とか競争社会を生き延びるために備えて磨く武器でしかないのです。わたしが悪意、ミツルが頭脳。才能をそれぞれ磨いて、ここで何とかサバイバルしようとしているのも、姿かたちが他を圧倒して、力を封じてしまうほどの怪物ではないからなのです。

  • 「人生は自分の思うようにならない、心の中にしか自由はない。」人はこんなにも誰かを憎んだり、蔑んだり、陥れたりできるものなのか…人間の一番エグい部分だけを拾い集めて凝縮したような一冊。女のヒエラルキーで最強かつ唯一力を持つのが美で、これを持たぬ者は他の才能を磨くしかない。妹ユリコはその美をもち、姉わたしは悪意を、学年一の秀才ミツルは知性を磨いて行く。状況認識に欠ける和恵は他者の価値観を映す鏡となり、やがて鏡はこわれてゆく…。

  • 友人に勧められて。

    誰に共感するかでこれまでの人生がバレてしまいそうだけど、
    自分が、自分だって、和恵になりうる、なってしまう可能性があるかも、って、こわー!って思いながら読んでたらあっという間だった。

  • 面白い。これでもかーって相手に対する嫌悪、執念、欲深さ、そのたもろもろ。
    グロテスクというより、、



    やっぱりグロテスク。

  • (上下の巻感想)

    容姿コンプレックスで、
    一番目指してとにかく勉強がんばって、
    でもそれがいたくて、
    みんなに笑われて、引かれて、
    ひとりぼっちで、
    いい会社に入っていわゆるエリートになるけれど、
    そこでも相手にされなくて、
    誰かに必要とされたくて、
    昼はエリート社員、夜は娼婦となる!

    97年におこった「東電OL殺人事件」がモチーフだそうです。

    「平等」なんてないのさ!
    容姿が優れている、
    頭脳明晰、
    お金持ち、
    は一目置かれるのさ!というメッセージが、ここにはありました。つらみ。

    そしてそれらがどれも普通な凡人が圧倒的に多くて、
    人はみな、大小問わず何かしらのコンプレックスをかかえて生きている。つらみ。

    そういったことを、4人の女性を通して描いています。
    女のドロドロがどろどろどろ~っと描かれている作品。

    「柔らかな頬」「OUT」「グロテスク」と3つ立て続けに桐野作品を読みましたが、
    「OUT」
    「柔らかな頬」
    「グロテスク」の順番かなあ。

    静かに怖い小説でした。

  • すごーーーい嫌な気分になる。
    著者にその意図があってこそなら、きっととても良い作品。

  •  ユリコの手記を境に、「わたし」に対する感じ方が逆転する。「わたし」の言葉が真実だと思いながら読んでいたのに、ユリコの手記によって「わたし」に対する疑いが深まる。再び「わたし」が語り始めても、一言ずつに”悪意”が込められていると感じられるようになった。
     「わたし」はおそらくユリコを恐れていたのだろう。”美”という絶対的な価値を持つユリコには敵わないため、常に冷静に頭を働かせてユリコよりも上に立っていた。ユリコをコントロールしてきた。そう思ってきた。しかし、実際は常にユリコの存在を恐れていたはず。それがわかるのは、ユリコの手記のあとの、祖父やミツルに対する気持ちの変化や、自分の「本当の」父親についての話だ。ユリコが日本に来たことで、祖父やミツルの気持ちが離れていったと思っているが、よく考えればユリコは無関係な話だ。「わたし」はユリコのせいにすることで、自分の正しさを守っている。父親の話は、「わたし」はユリコとは遠い存在だとすることで、自分を守ろうとしていたのではないだろうか。
     下巻でなにが起きるのか、さっぱり見当がつかないが…「わたし」の”悪意”の暴走を楽しみにしている。

  • 『グロテスク』というより『エグインシツ』。
    女のドロドロもすごいし、誰の言ってることが本当なのか解らん・・・下巻で解るのかな。

  • Q女子校の描き方が、なんだかリアルだけど、実際はこんなのではないらしい。

    美しさに化け物をつけ加えると、恐ろしさが増す。

    各登場人物の視点から、嘘と真実を描いていて面白い。

  • なんだか読んでると気分が悪い…
    語り口調もいらいらする。
    下巻はやめよーかな。

  • レビューは下巻の方に。

  • 妹のユリコと高校時代のクラスメイト和恵が恐らく同一人物に殺害された"わたし"の独白で物語が構成されています。

    "わたし"が語る幼い頃のこと、名門Q女子高にいた当時のこと。

    途中で妹のユリコの手記が挟まれるのですが、"わたし"が語っていることと微妙に差異があり、"わたし"をそのまんま信じていいのか、疑心暗鬼になったりもします。

    とにかく、女子の感情の変化と"わたし"がなんだかんだいいながらも美しい妹のユリコに囚われていて、嫉妬しているのに、そうじゃないとずっと否定して自分は高見から見物しているってスタンスを貫くのがなんともグロテスク。

    結局、ユリコと和恵が同一人物に殺されたのか。
    そして真面目だった和恵が昼は固い会社に勤めながらも夜は売春をしていたという経緯はまだ明らかにされていない。

    下巻で解明されるのかな?

    でも、和恵が徐々に壊れていく片鱗は高校時代にすでにあって、その過程もなんだか怖かった。
    こうも盲目になれるってなんだろう。

    怖いもの見たさで読んでしまう。

  • 久しぶりの再読。

    ユリコの美しさが想像できなくて、この目で見たくて。

    再読だけどかなり忘れてるので、新鮮に読めた。

    どうしてこのような語り口なのか、
    それが知りたくて仕方なかったなーそういえば。

  • 登場人物に全く共感できなかった。

  • 題名の通りグロテスクそのもの。下巻より上巻の方が面白い。ユリコの美しさを、化け物と言っているが、実在していたらどれくらい綺麗なんだろう〜。語り口もおもしろい。

  • すごい、何か見てはいけないものを見てしまったような読了感

  • なんかザッパの詩「What's the ugliestPart of your body?What's the ugliestPart of your body?Some say your noseSome say your toesBut I think it'sYOUR MIND」を思い出す。

  • 平成28年4月29日
    東電OL殺人事件をモチーフに女性の奥深い、他人に対すれる嫉妬深さを描いた作品。描かれた女性4人、主人公の私、美貌の妹ユリコ、なんでもそつなくこなす天才ミツル、いじめられっこ和恵
    興味深くよんだが、それぞれ、自分の立場から他者を描いた手記のどれが真実かが、最後までわからず、読後感は、あまり良くなかった。(2001年から2002年にかけて週刊文春に連載)

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グロテスク〈上〉 (文春文庫)の作品紹介

名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。ユリコの姉である"わたし"は二人を激しく憎み、陥れようとする。圧倒的な筆致で現代女性の生を描ききった、桐野文学の金字塔。

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