- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167629045
感想・レビュー・書評
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城井一族の殉節では400年守り続けた所領を絶対的権力者秀吉とその軍師官兵衛に謀略によって奪われるが当主鎮房はじめ一族が武士としての最後の誇りを魅せる。大友二階崩れでは父義鑑と子の義鎮との確執を描き唯一信じていた嫡子としての存在が崩れた時父子の関係を超え戦国武将へと変貌する。不識庵謙信の影では不慮の病で亡くなった謙信。養子の景勝は実父を謙信に殺されたと憎しみながら生きてきたが自分の意思とは関係無く権力争いに巻き込まれライバル達を葬り去ると同時に謙信が当主として向き合っていた景色を見る事で当主の覚悟を知る。
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400年にわたり豊前国を平和に治めてきた城井宇都宮氏の鎮房、朝房父子。秀吉の九州征伐には対応できたが、戦後処理の国替を拒み、黒田如水の策謀を知りつつも抗しえず、一度は勝利を収めるも謀殺され、無念の滅亡の道行きを描いた、「城井一族の殉節」。後継者として自負と屈折を抱えつつ、雌伏する弟晴英との謀略戦に打ち勝ち、当主の座についた大友宗麟を描く「大友二階崩れ」。父義鑑の、家臣に無償の奉仕を乞うてはならぬ、けどそのような家臣を持つなら祝着、という言葉、田口蔵人の忠節、そしてその忠義に報いられず、一族を滅ぼす決断を下した宗麟、という図が目に灼き付く。御館の乱を舞台に、謙信に威厳も力量も遠く及ばず、家臣の信頼も薄い中、謙信の影に威圧されながらもその影を意識してまとい、常に冷静沈着な樋口与六(直江兼続)の後押しを受けて、乱を勝ち抜き、当主としても冷徹に完成されいく姿を描いた「不識庵謙信の影」。何度読んだかわからない作品集。何度読んでも苦い後味。
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あー、謙信の重圧があったとは聞いてるけど
ここまでダメオじゃないだろ。。
景勝は。 -
戦国時代の上杉、大友のお家騒動、九州名家の滅亡を描く短編集。渋いけど不思議と引き込まれる作品ばかり。歴史小説好きにはオススメ。
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黒田官兵衛&息子が謀略的な意味で大暴れの第一話。これはむごい。
大友宗麟の若い頃の苦い思い出な第二話。このあと五郎御曹司どうなってしまうん…
愛の人が大変よい性格な第三話。御館の変での景勝の変貌がいたわしい。 -
どの話も面白い。
上杉目的で買ったのですが、冒頭の猿にエサをあげる景勝公が可愛い。猿と別れる場面には大泣きしました。 -
とりあえず上杉目当てで買ったので上杉カテゴリに。
黒田の謀略で滅ぶ宇都宮家を描いた『城井一族の殉節』、大友家の後継者争いを描いた『大友二階崩れ』、上杉の御館の乱を描いた『不識庵謙信の影』の三本。
どれも重く読後感といえば苦いものが残るばかりですが、だがそれがいい。
景勝の覚醒っぷりがすさまじい。乱のはしょりかたがちょっと気になったけどそれを補って余りある独特の世界観と今までにあまりないキャラ付けが光ります。おすすめ。 -
どの作品も、読後感の重さが半端ない。
暗いけども目が離せない。
殴りあう景勝・兼続主従が見られるのはこの本だけ! -
黒田家に誅殺された宇都宮一族の反乱、大友二階崩れ、上杉家の御館の乱を描いた計3作の短編集。どれも反乱へと繋がっていく過程が丁寧に描かれております。僅かな心のズレであったり、小さな歪みであったりが徐々に広がっていく、ジワジワと進む感覚に先が気になってどんどん読み進めました。どれもどこかやり切れない結末なのですが、それすらも作品を際立たせているようです。一読の価値はあるかと思いますので是非。個人的には「大友二階崩れ」がオススメ。あとは皮肉な直江が素直な直江になるのが個人的には微笑ましかったです。
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とりあえず書店でなかなか見つからないので友人に「不識庵謙信の影」を読ませてもらったんですが…。
なんとまぁ後味の悪い…。
なんか主従が殴りあい噛み付きあいの喧嘩をするという噂を聞いてちょっと期待しすぎたようです。
想像と全然違ったわ。
この主従が後に語られるような良好な関係になるとは想像できない。
一分の隙もないパーフェクト主従にはなりそうだけどね。
最後の猿のくだりが切ない。