真鶴 (文春文庫)

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著者 : 川上弘美
  • 文藝春秋 (2009年10月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167631062

真鶴 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • ひらがなが多くて読みにくいが、幻想的な小説。解説も良い。

  • 女性の小説家の本を読むことがあまりない。自分が男性なのでそっちに偏るのと、やっぱり性差みたいなものを最近ものすごく感じるので。
    具体的に言うと、自分はどう頑張っても子どもは埋めないし、日常生活レベルで大きく違うのは生理がないこともそう。当然、社会的な部分でもだいぶ違う。だから女性のことを「わかる」って絶対に言えない。でも少しでもわかりたい、なんとか理解したいという気持ちはある。「わからない」こと前提で。逆に、自分は人として普通に接したいのに、悪い面での女性的なとこがある女性にはイラっとしたりもするけど。
    男性は確かに社会的には恵まれてると思うけど、誰しも好き好んで男に生まれたわけではないのです。

    で、女性作家のことはやはり女性のお薦めを参考にすることが多く、川上弘美は姉が好きと言ってたので読みたかったんだけどきっかけがなく、読書会の課題本だったので読んだ。
    課題本発表された翌日にすぐ買ったんだけど、読書する気が最近全くなくて前日徹夜で一気読みした。初めて一日で本を読んだよ。

    昔付き合ってた子に江國香織の短編を薦められて読んだのだけど、サイコホラー的な部分がある作品で、この『真鶴』も霊的なものだったから、またホラーか!!と。女性的なものや思春期的なものとホラーは結びつきやすいんだろうか?ホラー映画とエロが関係あるように。

    一気読みしたからそんなに精読できてない。内容、途中の思春期の娘との話のとこは面白かった。ラストはそうでもなかった。

    一気読みなので、構造分析はあまりせずに心情描写の方を楽しむことにしたのだけど、文学賞も獲ってる大学の先生(30歳)は逆に構造分析しかせず、恋愛ものとして読んでなかったのは面白かった。
    たぶん細かいとこにテクニックを使ってるはずと思ったけど、「礼」=「霊」=「零」というのはなるほどなー、なんで俺気づかなかったんだろうと。おばあちゃんの名前は那由他とかか?と思ったけど、名前出てこなかった笑。
    バナナとリンゴ、おたまじゃくしとかは性的なメタファーと成長だと思ったけど、そうならわりとストレート。

    お話としてはよくある再生もの。過去のトラウマに決着をつけ手放す。再生というのが、農耕民族の場合一年がめぐるのが大事なんだけど、主人公の再生と共に女三世代の循環、みたいな。

    解説の「時代を代表する作品」ってほんとにそう思うか?ってことを先生と話したんだけど、さすがにそれはないなと思う。感覚で言うと10年ぐらい遅い感じ。90年代の川上弘美を読むとまた違うんだろうか。

  • 現実と幻想のない交ぜさがあえて読みづらい書き方をしてあるような文章で綴られる。著者が女性であるからといってこれを女性性といってしまうのも違うような気がするが、正直な印象はすごく女性っぽい、男からみた理解しにくさが濃縮されているように感じた。、

  • 読み始めて、あれ…これは苦手なタイプの作品かも…
    と、時間をかけて読むことになってしまった。

    しかし、後半からは、一気に引き込まれた。
    それまで皮膜のむこうの世界を、ぼんやり
    眺めているような読書時間だったのが、
    皮膜をやぶり、一気に核心に迫るような。

    誰かを想うこと、失いそうになること、
    失ってしまうこと、失ったあとに焦がれること。
    すべてが、ちりちりと胸を焦がすように
    その熱が痛いほど伝わるような気がした。

    歳を重ねること、時間がゆっくりと積もってゆくこと。
    そうして、やさしい風がふくような
    読後感。

    読み切って、よかった。

  • 川上弘美さん いつも性愛を描くのが素敵すぎる。
    どこまでも憑いてくる女は、もしかして与謝野晶子かもしれないくだりに クスクス笑ってしまった
    しかも憑いてくる女と いい合うシーンで
    ワンタン麺食べたことないくせにって反撃するとこもクスクス笑ってしまった。夜の公園も大好きですが、こちらも大好きな作品です。

  • 2016年1月30日読了。

  • すごく不思議な物語だった。
    ふわふわしてて、痛々しくて、物悲しくて。

    主人公は40代シングルマザーの京。12年前に夫は突然失踪した、“真鶴”という言葉を日記に残して。
    それからは一人娘の百と母親の三人暮らしをしていて、物書きとしてどうにか生計を立てている。
    不在の夫に思いを馳せたまま新しい恋人と逢瀬を重ねる京は、何かに惹かれるように度々真鶴に足を向けるのだが、そこには夢なのか現なのか分からない世界が常に在るのだった。

    喪失、というものが強く胸に迫ってくる。この世に存在しているのかしていないのか分からない人に思いを馳せる。江國香織の「神様のボート」のさらに上をゆく“喪失感”。
    いっそ死を確認できた方が前に進める。生死さえ分からないからこそ、いつまで経っても心が囚われ続ける。

    東京と真鶴のエピソードが行ったり来たりするのだけど、東京は現実の生活で、真鶴は夢の中のような幻想めいた場面。そこでの会話も、出てくる人間も、現実のものなのか京の頭の中でのことなのか、よく分からない。
    ただ常にあるのは“喪失感”。
    囚われすぎて頭が少しおかしくなっているのか。でも東京ではきちんと仕事をし、家庭生活も営んでいる。人間は常に、普通と異常の間を行き来しているものなのかもしれない。

    そんな不思議な空気感が終始流れていた。
    ふわふわしてて、痛々しくて、物悲しい。

    川上弘美さんの文章には“和”を感じる。言い回しとか単語の選び方とか平仮名の使い方とか。
    主人公の行きどころの無い感じは、「風花」ののゆりとも共通しているかも。

  • 多くが語られないまま、透明感ある文章が漂う

  • あとがきにもあるが、ストーリーを現代風に言うなら、「夫が失踪して精神的に危うい女性が立ち直る話」なのかもしれない。
    けれど、実際読めば、そんな情緒のない説明がいかに似合わないか、思い知ることになる。
    川上先生の作品を読んだことのある者ならお馴染みの、現実と幻想の境目がにじんでとけてなくなるような、いや、そもそも最初から輪郭があったのかさえ怪しい、決して深くはないが一度浸かれば容易には抜け出せない沼に身を浸すような、そんな感覚を味わうことになる。
    私には、結局ついてくる女がだれなのか、はっきりとしなかった。
    礼をつれていってしまった女にも思えるし、真鶴に生きた女の象徴にも思えるし、時には主人公自身にも思われる。
    あるいは、主人公の昔ーーーーそれも生まれるずっと以前の、いわゆる前世のような(いや、川上先生ならあり得そうだが、むしろ遺伝子に刻まれてきた数多の先祖の記憶でもあるような)ものに感じる時もあった。
    ただ、いずれにせよ長い間女は主人公の一部で、だからこそ、「かえった」のではなく「はなれていった」ことが、何かひどくさびしくてたまらないように思われる。
    幻覚が終わったといえばそれまでで、治ったという意味ではいいのかもしれないけれど。
    でも、それって、本当にしあわせなことなのだろうか。

  • 気になったり、引っかかったりする言葉がいっぱい。
    付箋がどんどん付けられていく。
    ストーリーがどうこうというわけじゃなくて、この言葉を味わいながら酔っていくって感じなのかなぁ。
    嫌いじゃない。

    にじむ…とは。
    考えながら読む。

    感動で泣くとかは良くあるけど、怖くなって泣くとかは初めて。

    最後はきちんと現実に帰ってこれて良かった。
    光が満ちた…で終わって良かった。

  • 夫が失踪してしまって残された妻が、亡霊を見るようになりながら、真鶴に行き来するようななる話。まったく面白くなかった。私、亡霊が出てくる話、いやだ。

  • 最後の「7」だけ、表現も物語の進み方も良かったと思う。
    本当に一人で真鶴に行っているときは、早く終わらないかなぁと思っていました。でも最後まで読めて良かった。
    あんまりこの人の小説を好きになれないのはなんでだろう。

  • 夫の礼が失踪して10年以上がたつ。京は真鶴と、東京を行き来する。東京では、娘の百と母と3人で暮らしている。
    京には、あるものがついてくる。
    前半、川上弘美さん独特の文章で物語が進む。すこしつまづくような、たどたどしいリズムだ。途中、リズムが変わるのでおそらく意識して変えているのだろう。
    話の流れとしては、すでに夫が失踪して年月が経ったところからはじまる。娘との距離、せいじという男性との距離を描きながら流れていく。夫を探す、夫のことに結論を出すのが大筋である。
    途中、夫を自分が殺したのではないか、という謎が持ち上がる。また、夫が浮気をしていたのではないかと思われる。
    謎な部分があり、あの世とこの世、東京と真鶴を行き来している。とても引き込まれた。
    謎が全てすっきり解明するわけではない。しかし、余韻がある。

  • 背景としての海だけではなく、物語の必然としての海を堪能。読んでいるこちらさえ「輪郭がにじむ」ような小説。海水、それも生温い海水に浸かっているような心地。(読友さんが羊水と表現していた)生まれる前の彼岸と此岸が交じり合った(滲みあった)空間である真鶴と「ついてくるもの」の濃厚な存在感に圧倒される。「ついてくるもの」が彼女のたくさんの係累をぶら下げてくる描写には、怖ろしくて鳥肌が立つ。けれど、原生林を走るバスのなかで「ついてくるもの」が人生の節々を過ごした彼方此方を晴れやかに指さすシーンは美しく、心震えた。
    終盤、寒天を煮溶かすシーンがとても印象的。寒天は海藻という海のものであるからは、固めて食べてしまえば安心? 杏仁豆腐をつくる三人の女達が、自宅の台所に「ゆたゆたしたもの」を持ち込む、共犯関係のように思えて怖く感じてしまうのは、わたしだけだろうか。

  • 読み込みが足りず自分では解釈しきれませんでした。ふわふわでついていくのがやっと。出直してきます…。

  • まぁまぁ面白かった。本当に面白く感じる作品は一気に読んでしまうのだが、これは時々ページをめくる感じで読み進めていった。最初はファンタジーか?と思うけれど、こういうことって自分にも起こるかもしれないな、というリアルさがある。

  • うーん、「センセイの鞄」も挫折したけど、今回もダメでした。
    川上さんはやっぱり出産育児をされた経験があるのでしょうか。百が生まれたばかりの頃の描写は、リアルなのはもちろんいいのですが、この浮遊感のある作品の中で妙に生々しく、まるで水彩画のキャンバスに重油を垂らしてしまったようで残念でした。他のテーマでも、同じことが散見されます。
    今活躍中の作家で読める作品を探しているんですが、なかなかうまくいかない…

  • 絵画に色をつけていくように、言葉を連ねているような感じがした。
    ただ「真鶴」という文字だけがくっきりと浮かび上がっていた。
    読んでいる間中恐くて不安だったけど、最後、現実の人たちの温かさに触れて、ほっとすることができた。

  • 川上弘美の初期作品は好きなのだが、この作品にはあまり入り込めなかった。幻影につきまとわれながら真鶴という異界と現実世界を行き来するという設定はおもしろい。しかし、初期に比べて文体の癖が強くなっており、また主観的な描写が多いため、どうも読みづらかった。読みづらい作品であるということを念頭に置いた上で読み直してみると、もっとちゃんと味わえるかもしれない。

  • 川上弘美の小説を始めて読んだ。
    歩いているとついてくるものがあった。幻覚か真実か、時間と場所との関係がわからなくなるのは、独特の表現、用語の使い方など。そんなことを気にしていては川上文学は味わえないのか。どこまでいってもどこにいくのかわからないようなお話。いなくなったのは礼なのか誰なんだろう。

  • 初・川上弘美作品。
    滲んでる…。
    輪郭(境界線でもいいかも)が、滲んでる。青のような、緑のような、群青のような…なんとも言えない色を見ている感覚に似ている。

    ふと目の前から消えて居なくなった礼を想い続ける京は、真鶴に降り立つ。背後からに、男か女かが着いてくる気配を感じながら。次第に、その気配は濃くなっていき、触れることさえ出来るようになる。
    礼はどこに行ってしまったのか

    輪郭が滲んでるので、あっちに行ったりこっちに帰ってきたりして、京が不明な迷子になる。
    そう!夢から覚める、眠る瞬間にすっごく似てるっ‼︎
    京の場合、東京での生活が現実で、真鶴での旅が夢世界になるのかな…
    愛とか、近いけど遠い、とか分かるようでサッパリ分からない。

    愛してる、とかよく分かんないなぁ
    私には、窮屈な話でした。
    まだまだ子供なんです…。知らない子供なんです。

  • 川上弘美さんの小説を読んだのは今作が始めて。失踪した夫を思う女性を描いた作品。主人公の分身との駆け引きが繊細に描かれています。

  • 今まで読んだ川上弘美の作品の中で一番言葉に富んだお話だった。

    女性の内面を描いていくことは、たくさんの新しい知らないけど分かる言葉が必要なんだなーと。

    感覚でわかって、頭でははっきり説明できないお話。

    でもまた読みたいかも。

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