月のしずく (文春文庫 あ 39-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1993
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646011

感想・レビュー・書評

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  • 浅田次郎、男女の哀愁、ノスタルジー、偶然、再会、色んな情景が浮かぶ7編。浅田さんの文章は分かりやすく、登場人物の心情が理解できる。圧倒的に一番よかったのは「花や今宵」。見知らぬ男女2人が酔いつぶれ、中央線で寝過ごし山梨まで来てしまう。2人はお互いに愛するパートナーがいると嘯く。それぞれパートナーとの愛情が切れていた。女性は不倫中、男性は分かれたばかり。2人の微妙な距離感、話すにつれ一定の距離感を保ちながら縮まってくる。この描写がエロティックであり、プラトニックである。最後にはこの2人の距離感が密着する。

    • ポプラ並木さん
      ゆうママさん、おはよう。青山美智子さんは1冊読んだけど(木曜ココア)、ちょっと共感できなかった。次はお探し物は図書館まで、だっけ?これを楽し...
      ゆうママさん、おはよう。青山美智子さんは1冊読んだけど(木曜ココア)、ちょっと共感できなかった。次はお探し物は図書館まで、だっけ?これを楽しみにしています。<まんまるい瞳の所長はアンモナイト>意味があるのですね。これもいずれ読もうと思います。人気作家さんだから図書館待ちがヤバイ(100人)です。がんばります。。。
      2021/10/03
    • アールグレイさん
      こんにちは♪
      お探し物は図書室まで。
      昨日、順番がきて息子に。借りてきてもらいました。先に笑いながら読んでいます。まァ、借りてきてくれたので...
      こんにちは♪
      お探し物は図書室まで。
      昨日、順番がきて息子に。借りてきてもらいました。先に笑いながら読んでいます。まァ、借りてきてくれたので仕方ないと思っています。でも午後は私です。
      月曜日の抹茶カフェ、今まで図書館になかったのですが、月初めだからもし・・・購入予定でした。5番目です!
      ただいま神様当番は4番目だし、他にも何冊かあるので、また図書館の襲撃・・・ウウ~ッ 大変だ~
      \(◎o◎)/!
      2021/10/03
    • ポプラ並木さん
      ゆうママさん、お探し物は図書室まで の奪還が成功したかな?喧嘩をやめて~ っていう歌はあったね。 https://www.youtube.c...
      ゆうママさん、お探し物は図書室まで の奪還が成功したかな?喧嘩をやめて~ っていう歌はあったね。 https://www.youtube.com/watch?v=XaA--_gDLCA  これこれ。。。青山さんの本で共読が増えそうですね。楽しみです!
      2021/10/03
  • 積読してた7篇の短篇集。どれもこれも素直にいいと思います。月のしずく、聖夜の肖像、ピエタの男性は健気だなぁ。

  • 浅田次郎さんの小説を読むのは三冊目くらいだけど、女の人より男の人の支持者が多いような気がしている。少なくとも私の周りで浅田次郎さんが好きだと言っているのは全員男の人。
    というのも、この短編集を読んで少し解った気がする。
    あらゆる意味での“男のロマン”が詰まっているように思えたから。

    表題作はまさに“男のロマン”。
    コンビナートの荷役を30年近くしている冴えない40代の独身男の元に、ある十五夜の晩、ひょんなことから美しい20代の女が転がり込んでくる。
    というプロローグからロマンが溢れているように思えるし、主人公の男はこれでもかというほど純朴で、美しい女は気が強い、というところもまさに。

    その他も、不倫の関係を精算したあと相手の女に少しの執着心を見せる中年男が主人公の「琉璃想」は、切なくて物語自体は好きなのだけど、主人公の行動は女としては理解しきれない部分もあったりする。
    任侠の世界やバイオレンス的な世界に対する憧れが見え隠れする物語もある。
    女性が主人公の物語であっても、どこか思考が男性的であるような気がした。言ってしまえば「女はたぶん、もっとずる賢く立ち振る舞うよ」と思ってしまう感じ。笑
    それだけ美しい結末のお話が多かった。

    映画化に向きそうな物語ばかり、と思っていたら、実際の「銀色の雨」は映画化されているみたい。
    ヤクザに匿われている殺し屋と情婦とその情婦を愛する少年のお話。

    女よりもきっと男のほうが理解して感動もするだろう。と感じた作品群でした。

  • 愛した人が例え自分には決して振り向かず、
    他の人を想い続けているとしても、 愛してきた自分がいるからいい
    という台詞があって、泣きそうになった。
    自分はそこまで好きになれる人に出会えるだろうか。

  • 浅田次郎さんの作品らしい7つの短編集。
    ヤクザ、中国人、不器用な男や女が登場し、男と女の関係がまずある。

    帯の題にもなっている「月のしずく」が一番だったかな。
    美人で次々と男を替えるような女性リエが、金持ちで妻帯者の男性と関係を結び、赤ん坊が出来る。
    当然の展開で、結局ケンカ別れになるが、たまたまその場面に出くわしたのが、中年の労務者辰夫。
    女性を介抱し小汚ない自分の家に泊めてあげるが、それまで彼女と関係を持った男とは異なり、女性のことを考えて手を出さない。
    彼女にとっては新鮮で、心が通うようにもなるが……。
    不器用な男の辰夫は、実にいい味を出している。
    彼女と関係を結ぶ男性とは真逆だ。

    指名手配中のヤクザ岩井章次とその女菊枝、年下だが母親が菊枝のことを可愛がっていた関係で、幼い頃から面識のある和也との、不思議な生活を描く「銀色の雨」も良かった。

  • 浅田次郎の本がとにかく好きだ。
    これも、なぜ見落していたのかと思った一作。
    人間の儚さと強さが静かなトーンで書き綴られている。
    そして、いつものように歴史モノや海外モノは「どこでこの人はこんなに知識を拡げたのか」と唸らせられる。
    面白かったです。

  • 短編集。『銀色の雨』『月のしずく』がよかったです。久しぶりに大人の男と女の物語を読んだような気がします。どれも終わり方に余韻が残って、この後二人はどうなったのか?たぶん幸せになったのだろうと思う。そんな風に思わせる読後感の良い全7編でした。

  • 久しぶりに浅田次郎さんの作品を読んだけれど、時々涙が出そうになり、さすがに上手だな、と。
    特に独白部分がよかったし、ラストが読者がこうなってほしいと思うような展開になり、読後感もよかった。

  • 酒好きの中年おっさん向け良質短篇集。
    どの話を気に入るか、人によって好みが分かれそうですね。
    個人的には「瑠璃想」がお気に入り。

    ★4
    月のしずく、聖夜の肖像、銀色の雨、瑠璃想

    ★3
    花や今宵、ふくちゃんのジャック・ナイフ、ピエタ

  • 「月のしずく」、「聖夜の肖像」、「銀色の雨」、「琉璃想」、「花や今宵」、「ふくちゃんのジャックナイフ」、「ピエタ」の七篇。いずれもロマンチックな作品。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

浅田次郎の作品

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