壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

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著者 : 浅田次郎
  • 文藝春秋 (2002年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646028

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壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)の感想・レビュー・書評

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  • 最近になって、人生は一般的に良し悪しを決められるものじゃなく、自身が設定した判断基準で決めるものである、ということが遅まきながら分かってきた。そしてその判断基準は、自分の人生を何に捧げるかをきちんと決めることが出来た人のみが持っている。
    判断基準があった人はそれに向かってひた走ることで、何らかの結果が出る。対して判断基準がなかった人は、晩年になって「私の人生これでよかったのかなぁ?」と思うのではないだろうか。

    本書の吉村貫一郎は、妻子の幸せこそ自身の幸せと思い定めており、全ての行動の裏にはそれがある。
    また、子の吉村貫一郎も、難しい環境にも適応し豊富な実りをつける稲を開発することで故郷の人を幸せにすることが自身の幸せだとしている。
    この2人の境遇は天と地ほどの差があるが、最期に人生を総括する時には、私は幸福だったと思うのだろう。

    そういう風に私もありたい。

  • 新選組隊士、吉村貫一郎の話なのだがそこに描かれる思いに、それに関わる色々な思いが凄いです。

    生きることこそが武士、生きて忠孝の限りを尽くし、畳の上に死するが武士の誉…義を通すため生きなければならない為に切る貫一郎、それができるのは強いからなのではあるが。
    そして強さと優しさがあるからこその「おもさげなござんす、お許しえって下んせ。」

    義を通して守ろうとした息子嘉一郎は自らも父と同じく義を通して…、何ともせつない。
    義とは何だろうか、不変のものではあるはずだが時が違えばもう少し…と。

    上巻だけで入りこみクタクタになる。
    下巻へ続くであんす。

  • 「死にたくないから、人を斬ります。」

    痩身の浪人が、貧困、武士の身分制度、時代の渦巻く流れに翻弄され、人を斬らなければならなかった。
    きっといつも「オモサゲナガンス」と心に泪して斬っていたのであろう。

    吉村貫一郎の妻子への愛情に心打たれ、笑顔と優しさに隠された剣の強さに惹かれるも、時代の不条理に胸を締め付けられる。

    切腹を言い渡された吉村貫一郎には、なんとしても生き延びてほしい。

  •  毛嫌いしていた新撰組。なんのなんの、これには引き込まれました。
     南部藩を脱藩して新撰組に加わった吉村貫一郎の人生を、吉村の息子、新撰組の隊士などが語っていく・・・そこには、ただひたすらに義を通した侍の様々な顔が。
     初めはそれぞれのパーツがバラバラな感じがしてすんなり入ってこなかったけれど、それが一本の線につながってくる頃には、うなってました(笑)

     本筋の感想は下巻を読んでから・・ということで、まず、この時代の背景。
     江戸城大奥では篤姫が徳川のお家を守ろうとしているその頃、こんな時代だったんだ・・というのが大きな驚きでした。
     飢饉が続き、このままでは冬を越せないという現実を前に、身重の妻は口減らしのために自ら命を絶とうとします。助けられてもなお「この体をば、食ろうてくらんせ」。
     それを見ていた数えで九つの息子は「わしは兄者ゆえ、腹などへりはせん。飯なぞ食わねでも良がんす」と・・・・。
     もちろん小説です。ですが、こんなドラマとともに日本の歴史を学べたら
    もっともっと、社会の授業は面白く、濃いものになるのにな~と。

     出自で人生が決められていた時代。それでも、その定めをただ真っ直ぐに歩いていく、その生き様が素敵・・なんて思っていたけれど、それはそれは凄まじいことなのだ・・と、これまでの軽い考えを打ち消しました。

     これからどんな展開になるのか・・下巻、期待大です。

  • 「死にたぐねえから人を斬るのす」新選組で、ただひとり庶民の心を失わなかった吉村貫一郎の非業の生涯を描く浅田次郎版「新選組」

    引用終わり。

    いやはや、これは凄い。

    私は日本史などまともに学ぶべくもなくファミコンに夢中だったので年をとってから『竜馬がゆく』などを読んで明治~幕末の知識を学んだ口です笑。

    もちろん竜馬がゆくも素晴らしい小説ですが、長編であり史実に沿って物語りが進むため若干退屈に感じてしまう部分もありましたが、
    壬生義士伝は巧みな構成で飽きることなく一気に読み進めることができました。
    文庫本上下巻。二冊に魅力的な登場人物、歴史、ドラマがこれでもかと詰め込まれています。

    吉村貫一郎を中心とした物語ですが、周りの人物たちにもほどよくスポットライトを当て、激動の時代を生きた傑物達の魅力が伝わると同時に当時の生活がどのようなものだったか目の前に浮かんできます。

    幕末~尊皇攘夷、倒幕派と佐幕派の対立などを知ってるとより一層と物語りを深く理解することができます。
    たとえ知らなくてもさりげなく解説してくれるのが心憎い。

    一級のエンターテイメントであり素晴らしい歴史小説です。

  • 僕が読んだ新選組小説の中では一番好きな作品です。
    涙無しには読めないので、通勤中に読む際には注意が必要かもしれません。
    話的には、余り資料が残っていないとされている隊士、吉村貫一郎の人生を追う人物(学生?)が、関係者から話を聞いていく…という構成になっており、話す人物が様々な事件を織り交ぜて回想しつつ話していきます。
    話の中で、鳥羽伏見以降の戊辰戦争の主だった内容は網羅されている感じでしょうか。

    細やかな描写が美しく、とても読みやすい物語でした。
    他の新選組関連の作品はもちろん、それ以外のお話も読んでみたいと思える、素敵な作家さんに出会えたと思いました。

  • 私が1番好きな本。

  •  登場人物それぞれが家族への想いを内に秘め、見栄や名誉よりも大切なそのために、時代の変わり目を必死に生きる。
     そして、身体は朽ちても、その想いだけがまるで生命の本体かのように、誰かの身体にまた宿り、時代を超えて生き続ける。

     巧みな構成に感心しながら読みふけり、後半は涙なみだ。

  •  多くの方々が指摘していますが、この物語は百田尚樹氏の「永遠の0」とよく似ています。ストーリーも、登場人物の性格も、主人公の姿をいろんな人の目を通して描くことで多面的に浮き彫りにしていくという手法まで、何もかも。

     「壬生義士伝」も「永遠の0」もどちらも男の壮絶な生き方を描いています。カッコよくて悲しいです。二つの中では、私は壬生義士伝の方が好みです。話の進め方(取り回し)が洗練されていて厭味がないから。

     ところで、武士というのはどうしてこんな不自由な生き方から抜け出せなかったんでしょうか? 腹を切らされることは今のサラリーマンでもあることかもしれませんが、それでも本当に刀で切って死ぬほどのことはありません。そんなことしたら痛い! 武士に生まれなくてよかった……。

  • 主人公は南部藩の脱藩浪人、吉村貫一郎。司馬遼太郎の「燃えよ剣」で新撰組の主要メンバー達の生き様に触れたが、この人の事は知らなかった。名前くらい出てきたのかも知れないけど覚えてない。

    この作品の魅力は、職人 浅田次郎の手で練り上げられた貫一郎の重層的な人物像に尽きる。

    剣の達人である彼は、この時代の若者達を熱狂させた幕末思想にも自分を見失わない、孤高のリアリスト。一途で愚直、人に優しく面倒見が良い。そして郷に残した妻子へ仕送りするため、周りの嘲笑にも頓着せず倹約を重ね、仕事と割り切って人を斬る。想像する絵としては西島秀俊かな。

    この主人公とダブるのは「永遠の0」の宮部久蔵。時代の空気に染まらず、自分を貫く二人の姿には心が熱くなる。しかし結局は両者とも日本人としての美学を貫き、悲劇的な結末を選択してしまう。

    近藤勇、土方歳三、沖田総司ら新撰組の華々しい主役達の影で、こんなに人間臭くて味わい深い人生を背負った人物がいたのか...
    素晴らしい作品と出会った。やはり浅田次郎は間違いなし。

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壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)の作品紹介

小雪舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、満身創痍の侍がたどり着いた。貧しさから南部藩を脱藩し、壬生浪と呼ばれた新選組に入隊した吉村貫一郎であった。"人斬り貫一"と恐れられ、妻子への仕送りのため守銭奴と蔑まれても、飢えた者には握り飯を施す男。元新選組隊士や教え子が語る非業の隊士の生涯。浅田文学の金字塔。

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