壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年9月3日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167646028

感想・レビュー・書評

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  • [再読]
    異色の新選組物語。
    吉村貫一郎の生き様、目に焼き付けろ。
    切なくも、哀しい、産まれる時代を間違えたような人物。
    創造の部分が多分にあると思われるが、新選組物語の中では一番好きな作品。
    涙しか出てこない。

  • 宝塚の演目シリーズ。
    新撰組の意外な一面が描かれている。
    どこまで本当かわからないけど、歴史の教科書より、このような小説になっているほうが真実味を感じてしまう。
    吉村貫一郎という人を通して、当時の世の中がリアルに感じることができる。

  • 感動号泣作品。初めて浅田次郎の作品を読んだが、「平成の泣かせ屋」と呼ばれる理由がわかる。ひたすらまっすぐ生き、愛する者のために生き、戦った男の話。涙が止まらなかった。斎藤一と吉村貫一郎の最後のやり取りは特に泣いた。貫一郎が皆から尊敬され愛されていた理由が人柄や言葉からわかった。早く下が読みたい。

  • 長いが、心にズッシリ響く、切ない物語
    架空の人物を新撰組の中に描いたかたちだけど、自然にハマっている
    二刀流、かっこいい
    映画は全くダメだったけど、小説は素晴らしい

  • 宝塚の壬生義士伝を観劇して、"なんで?"と思った部分があったので読むことに。
    吉村の死ぬ間際の切れ切れとした回想と関係している人が語る吉村と新撰組。幕末の激動で"義"とは何か?、確実に制度も価値観も変わろうとしているなかで本音と建前がある侍として生きるの難しさを感じる。

  • 切なくて心にずっしりとくる読み応えで2回読んでしまいました。主人公、吉村の語る岩手山の情景も妻や子への想い等切なくて何度も泣きました。

  • これは、間違いなく、面白いんだろうなあ、、、と思いつつ、かなり長い間、何故かこう、手を出さなかった本なのですが、遂に読みました。で、で。これは、間違いなく、面白いんだろうなあ、と思っていたのですが、いやもうね、読んでみたら、ホンマに面白い!という素晴らしさよ。大満足の上巻です。いやもう、流石サスガの浅田次郎。お見事です。

    新選組のメンバーの中で、知っていたのは、芹沢鴨、近藤勇、土方歳三、沖田総司、斎藤一、というあたり、という、抜群に薄い知識でゴメンナサイ、、、という、まあ、物凄く詳しくない、という程度の知識の持ち主です。新選組が、具体的に、あの明治維新の時代のあたり?で、どのような役割を果たした組織だったのか?ということも、本当に詳しく知らない、というレベルの、読んでいいのか?ゴメンナサイ、、、という程度の知識で、読み始めました。

    で、当然、この話の主人公である?と思われる、吉村貫一郎、全く知りませんでした。いやもう、全く知りませんでした。まことに申し訳ない、、、というところですね。

    話としては、そらもう、浅田次郎節全開、といいますか、こうね、めちゃくちゃアツいですね。浅田次郎さん、好きなんですよ。人として、どうしても、好きですね。特にエッセイが好きなんですが、勇気凛々ルリの色、とか、もう大好きなんです。

    あと、この小説、読み始めるまでは、「新選組の、凄い有名な王道中の王道の隊士ではない人物が主人公の作品らしい」ということは、ぼんやりと知っていたのです。

    で、読み始めたら、吉村貫一郎、という人が登場するし、彼の人生を彼の目線で述べる?物語なのだろうなあ、と思っていたのですが、いきなり、なんといいますか、吉村貫一郎本人の語り言葉の部分もありつつ。大部分は、当時のリアルタイムの時代から大分時間がたった時に、当時を知る人々が、彼のことを語る、というスタイルの小説、という事がわかって、ビックリしました。

    おお、こういうスタイルの小説なのか、と。驚きました。なんとなく、山田宗樹さんの小説「嫌われ松子の一生」的なスタイル?という感じを受けましたが、あの小説を読んだのが、既に大分昔なので、もしかしたら、違うかもしれない、、、小説のスタイル、違ってたら、すみませんです。

    それにしても、浅田次郎さんは、人を描く!という思い入れの感じ、凄く強いなあ、って思います。漫画家としては、藤田和日郎さんっぽいなあ、とか思ったりもしました。アレですね。何しろ、熱い!という点が。いやあ、もう、好きなんですよねえ。「俺は何としてもこう書きたいの!こう伝えたいの!」ってのが、ヒシヒシとあふれ出ている感じ、と申しましょうか。うーん、いいんだよなあ。

    吉村貫一郎がしゃべる、盛岡弁?なのですかね?これの再現度とか、かなり、凄く、完璧なのではないでしょうか?自分は、盛岡育ちではないので、どこまでホンマに完璧か?というのは分かりかねるのですが、読んでいて、正直、盛岡弁の意味合いがわからない部分はところどころあれど、それを含めても、とても気持ちよく読むことができました。いわゆる、方言、ですよね。日本語の方言の美しさは、バシバシと感じました。こういうの、凄く好きなんです。

    町田康さんの「告白」も、河内弁、という、いわゆる大阪の方言?で書かれた小説だったのですが、あれも、すっごく読んでいて、しっくりくる、というか、読んでいるだけでこう、グッとくる文章だったんですよね。方言って、凄いなあ、って思う。めちゃくちゃこう、日本語の美しさを、感じさせてくれる、とかね、思うんですよ。

    こういう、標準語でない文章の美しさが満ち満ちている日本語の小説って、他の言語に翻訳して小説化すること、できるんか?って凄く思う。この文章の、なんらかの奇跡的な美しさ。物語の美しさ、ではなく、単純に文章の文体の言語の美しさ。それを多言語に翻訳することは、可能なのや否や?うーむ、、、気になる。言語って、そして言語の壁、って、凄いな、って思いますね。

    あと、この上巻で、一番、印象深かった場面。
    それは、吉村貫一郎が、介錯を務めようとして、そこで本人が切腹から逃げようとして、やむを得ず切り殺してしまった場面。あっこが、ホンマに印象に残りました。切り殺したの身体を、斎藤一が、その切り口を、じっくり観察していたやないですか。あっこがホンマに、なんというか、ゾッとしたし、腑に落ちました。ああ、本当の人斬りの人々は、同じ人斬り仲間の凄腕の人物の腕前を、とくと観察したいのだなあ、、、という。

    それは、とある一流の料理人が、別の一流の料理人の包丁さばきを、しっかと観察するようなものですよね。他の料理人が、どのように魚の、牛の、鶏の肉を切るのか?野菜を切るのか?とある一流の樵が、他の一流の樵の、木の伐り方を、じっくりと観察するようなものですよね?どれほどに見事に、切るのか。斬るのか。伐るのか。それを、しっかりと、観察する。一流の人斬りは、他の一流の人斬りが斬った、人間の死体の斬り口を、しっかりと、観察するのだ、、、という、いわば一流の世界の当然の行為?というものを、まざまざと感じた、この描写。浅田次郎、恐るべし。そして、お見事すぎる、、、と、脱帽しました。この場面で。

    あと、最初の方に登場する、飲み屋の主人。元、新選組の隊士だった人物が、生き延びて、自分の正体を隠して、飲み屋をされてるやないですか。あの親父さんの、明大の野球部が贔屓のくだりの話。すげえグッときました。沖田や斎藤が、生まれ変わって野球部の部員になっている、みたいな話。ああ、これが、どうしても忘れられない、青春、ってヤツなんだなあ。って。あの話が、めちゃんこ好きです。

  • 宝塚見て感動したため借りてきました。
    劇では首を捻った貫一郎の最後の行動にも、納得。
    てーか吉村貫一郎のできたお人っぷりに、こいつはほんと最後の侍だよ、義士だよ!と一人で熱くなってました。

    もっと昔からあるお堅い原作と思っていたら、割りと最近だったのか、とか、一人称で読みやすい、とか驚きでした。

    さて、日本史には疎いもんで、
    これまで新撰組っつーたら、風光ると銀魂と、大河の新撰組と、えーと大河の龍馬伝位しか知らないと思われますが。
    美化された新撰組しか知らないもんで、この作品での、底辺の寄り集まり感に、驚きつつも説得力あるーと目から鱗でした。
    斎藤一だけは、宝塚るろ剣の、あのビジュアルしか思い浮かばないのですが、それに近しい、触れなば切れん、な印象でした。
    そして私の頭のなかでは、土方と永倉はそのままゴールデンカムイに移行しています。

    今風光るが読み返したくて仕方ない。

  • 吉村貫一郎という一人の新選組隊士の死の間際のモノローグと、彼の生涯を取材する人物が様々な関係者から聞き出した吉村の人物像を交互に配し、隊の内部から見た新選組と主人公吉村貫一郎を描く。幕末の政治の下で翻弄される新選組隊士たちと、吉村貫一郎の貫こうとした義の在り様を見て、それは歴史的、社会的な観点からは、否定的にとらえられるものであっても、決して打算的でも利己的でもないことはもちろん、個人的なものですらない、もっと大きな「何か人間にとって大切な物」とつながっている。人としての義とは何か、このテーマを後編でどう深掘りしていくか楽しみ。新選組隊士たちのキャラも、おおむね大多数のイメージを踏襲していて、読んでいて楽しい。

  • 守銭奴と呼ばれた新選組隊士吉村貫一郎。困窮に苦しむ家族を思い、日本人としての美学もあった。本を読んで泣き、映画を観て泣いた。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

浅田次郎の作品

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