「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2001年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656096

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • Aは自分の息子です。あんな凶悪な事件を起こしても、怖いとも思わないし、憎いとも思えません。見捨てようとも思いません。(115)


    少年Aの両親の悲痛な想い。
    被害者の遺族の方々始め、厳しい世間の目のある中書かれた懺悔の手記なので、始終、申し訳ございませんと綴ってある。
    だが、酒鬼薔薇聖斗を産んだのは、本当にこの両親だけなのか。


    葉書に頭部の絵。「お前たちが交尾してできた化け物の責任を取れ」(94)



    私は25にもなりながら、まだ子を持つ親の気持ちが理解できないでいる。
    だから、子供視点の見解なのかもしれないが。



    交尾して子をつくるのは、とても一般的なこと。
    その子が、人間か、「化け物」か、それは子が選ぶことは出来ないし、親も然り。
    育て方に、正解とか間違いとかが、あるのだろうか。


    少年Aが虐待されたと感じている出来事が、
    他の家庭にもあるような躾程度のものだったのか、それとも本当に虐待といえるものだったのか、真相はこの手記からはわからないが、
    両親の証言の方がより現実に近いとすれば、
    Aの、直観像素質者であるという性質が大きく影響したのではないかと思う。
    その性質を持つか持たないかは、親にも子にも選択出来なかったはずだ。


    この本を読むきっかけになった村上龍氏の『インザ・ミソスープ』の一節が脳裏をよぎる。


    ―…要するに、子どもが犯した殺人の原因を見つけて、みんな、安心したいだけなんだ、子どもの殺人に原因はないよ、幼児が迷子になるのに原因がないのと同じだ、親が目を離したから?それは原因じゃなくて子どもが迷子になる過程の一つに過ぎない―



    他人の命を奪うことは、許されないし、受け入れられない。
    だから、Aの発言や行動も、受け入れられない。
    Aのそれは、すべて開き直りとして解釈されている。

    たぶん、理解出来ないひとたちは、
    受け入れられない、と、一刀両断して
    その原因を育ち方に求めようとする。
    確かにその人格形成に家族は大きくかかわっているが、
    果たしてそれだけなのだろうか?


    「化け物」じみた世界に、たまたまそういった性質に生まれた子どもが生まれたとして、
    自分がその親には絶対ならないと、誰が言い切れるのか。




    私は、私自身が酒鬼薔薇聖斗かもしれないと未だ危惧しているし、
    私が子どもを産んだとき、その子が酒鬼薔薇聖斗かもしれないと憂慮している。
    この手記を書いた両親の悲痛な想いを感じれば感じるほど、
    他人事ではないように怖くなる。





    私が狂っているのか。

  • 以前読んだのだけど、再読。
    最近、佐木さんの本を読んでいるせいか、『勉強なんてできなくてもいい』というのが両親どちらも書いていて、印象にのこっている。

    気づくべきだし、気づけたはず、というのは、当人でないから言えることであって、たとえば病気でやつれたりすることだって一緒に暮らしていたら気づかないこともある。ましてや、自分の子、というフィルターのある目であれば、難しいことなのだと思う。

  • 「あなたの子どもを加害者にしないために」と言う本を以前
    読みました。その本は「「少年A」この子を生んで・・・」を元に、少年Aはどのように育ったのか、どうして酒鬼薔薇聖斗が生まれたのかを分析した内容でした。

    そこでやっぱり気になってこの本を買いました。
    ちなみにこの本の印税は、被害者遺族の方々への賠償にあてられるそうです。

    これを読んでみて思ったのは、この両親は案外普通だなと言う事。
    もちろん全てをありのままに書いているのかどうかは分かりません。あくまでこの手記を読む限りですが。

    時々「ん?」と引っかかる考え方や言動があるにはあるのですが、
    明らかにおかしな考えって言う訳でもないように感じます。

    被害者家族への謝罪の言葉も度々出てきますが、本当の意味で
    謝罪の気持ちがあるのかな?と、文章を読む限り感じました。
    我が子をかばうような書き方も気にはなります。
    でも、実際我が子がこのようなひどい事件を起こしたとしたら
    何を書けるのか、と思うとこういう文章なのも納得と言うか
    しょうがないのかなと思ったり。。。

    母親によると、事件の直前も後も、息子の様子に何も変わった
    所はなかったと。何も気付かなかったと。
    そんなことってあるか?と思いますが、でもまさか自分の息子が
    殺人犯だなどとは考えないだろうなぁ。

    でも少年Aは、事件の前から万引きしたり、同級生を殴ったり
    家に斧を隠していたり、猫の死体が出て来たり、やっぱり
    前兆のようなものはあったんじゃないでしょうか。
    それでも母親は「男の子だからこんなもの」みたいな軽い感じで
    やりすごしているのが、引っかかりました。

    それなりに本人に聞いたり、謝罪に行ったり、叱ったりはして
    いるのですが、どうも軽い印象。

    子育てって本当に難しいし、本当に一人一人その子によって
    愛情の受け止め方も違うんですよね。
    そういう事を痛感しました。

  • この本の印税が、被害者の方々への償いとなるということで購入。
    しばらくは読めずに本棚に在りました。

    いつも読了したあとは、清涼感や達成感があり、気分がよいものですが、そういったものは感じられませんでした。

    両親の育て方に問題があるようには感じませんでしたし、手記にはごく普通の家族の様子しか覗えない。
    だが、少年Aは殺人を犯してしまったのだから、何かが過ちに繋がってしまったのだろう。

    被害者のご冥福をお祈りいたします。

  • 何気なく手に取った本だったのに、予想以上に重くて頭にこびりついてしまった。
    テスト中も別の本を読んでいるときも、読み終わってからはずっと、気がついたら手記の内容や事件のことを考えている。
    自分に少年Aのような、殺人に興味のある子どもが産まれたら、少年の母と同じように見過ごしてしまうかもしれないと思ったけど、その一方で、家から凶器や猫の死体が出てきた時点で、どうしてもっと子どもを疑わなかったのだろうと不思議に思った。
    でも、やっぱりわたしがこの母親だったとしても見過ごしてしまうか、気がついたとしても止めるのは無理だろうな。まさか、自分の子どもがゲームのように殺人をするだなんて思わないから。
    殺害のきっかけとなった要因もなんだか腑に落ちないままです。

  • 少年Aに近い世代です。事件から時間が経過し、父母の手記を読みました。確かに、実際の少年Aと両親のとらえていた少年との間に大きな隔たりがあったようです。私には、少年の母が相当「お人よし」に映りました。物事を良くとらえる、性善説に近い印象です。それが、少年の残虐的な側面を察知できなかった一要因とも感じます。しかし、人は、母親だけに育てられるわけではなく、多くの人とのかかわりの中で、成長・発達していくはずです。事件に至る原因は、両親に限定したものではないというのが実感です。私は、子育ての経験がありませんが、人に継続的なかかわりを生業としています。私が母親の立場だったり、仕事上で少年Aに関わっていたとしても、この事件を予測できる自信がありません。秋葉原事件の犯人も同世代で、彼の生い立ちや事件に至る状況は、理解できる部分もあります。(だからといって、殺人の発想には至りませんが)一方で、少年Aの思考は、どの側面も理解に苦しみます。理解できないこの事件を防ぎえる何かを、やはり見出せないというのが感想です。この事件の少年事件は、裁判情報は公開されていないため、両親が手記を記し、勇気をもって社会に伝えたことに意義はあると思います。

  • 神戸連続児童殺傷事件の犯人、「酒鬼薔薇聖斗」こと少年Aの両親による、Aとの14年の暮らしと彼に対する想いを綴った手記です。やはり、印象に残ったのは父親よりも少年Aと一緒に過ごした時間が長かった母親の手記でした。長男だったこともあり、望まれて生まれてきたことが分かり、育児日記は愛情に溢れていたように思えました。それが、事件後に出た精神鑑定の結果、「母親に虐待を受けた」と判定されたことで、全否定されたわけですから、母親からしてみたら大変辛かったことと思います。かなり、両親の哀しい思いを感じた一冊でした。

  • 加害者少年Aの母親の手記ですが、読みながら違和感を感じました。改めて少年Aの残忍さに衝撃を受けました。

  • どうしたら防げたのか、どうすれば未然に防げるのか、正しい答えのない問いについて考え続けたい。

  • 最初は、あんな事件を起こす子どもの親の育て方ってどんなんだったんだろう、とあら探しするつもりで読んだが、読めば読むほど普通の、というよりむしろ愛情のある家庭で、正直驚いた。

    おかしいなと思った所といえば、あまりに早期からオムツをやめさせなければと思っていた所ぐらいで、あとは本当に普通の良い親といった印象。

    あと、あまりにも非の打ち所がない内容も、違和感があった。そこは悪い内容を書けば世の中の非難を受けることになるし、仕方のない所かもしれないが。

    これだけでは真相はわからないということはもちろん差し引いて考えなければいけないだろうが、私には問題が見えてこなかった。

    そこで、人には、愛情を感じ取る能力にも個人差があるのではないか、という仮説が浮かんだ。

    また、普通の家庭からも、このような事件を起こす子どもを生む可能性が十分にあるのだということを、みんなが肝に命じて、より一層誠実に子育てに向かわねばならないと感じた。

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