父と母 悔恨の手記 「少年A」 この子を生んで…… (文春文庫 し 37-1)

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  • / ISBN・EAN: 9784167656096

感想・レビュー・書評

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  • こういう本も賛否両論あるだろうけど
    他人事ではないので読んどいた方が良いですね

    【まさか】は存在するし
    【まさか】がおきない保証はないのと
    子育てにも正解はないですからね…

  • 神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗、少年Aのご両親が綴った手記。この本ではご両親は、少年Aの育て方につき、間違っていたのか?と苦悩していると語っているが、読んでみて本当に普通の育てかたをしていたのではないかと感じた。親としては当たり前のしつけ、助言、全てが普通ではないかと私は思った。少年Aは性的サディズムが原因だったから、育て方に関しては間違っていなかったと私は解釈している。どうか苦悩のない日々を暮らしていることを願う。

  • 一週間前に、三年前出版された少年Aの『絶歌』を読んで、いろいろ気になったので、
    ご両親が19年前に書いた手記であるこの本を読みました。

    思ったことを二つ書きます。
    ・Aは本当に立ち直ったのか
    ・何がAのような人格をつくったのか

    『絶歌』は悪評の的になっているようですが、
    私の感想は「良い方向に向かっている。頑張ってほしい」というものでした。

    でもこの本を読んで「彼は本当に立ち直ったのかしら?」と思い始めました。
    というのは、事件前後、両親への騙し方が実に巧みだったから。
    ここで半信半疑になってしまった私です。

    もう一つ、「事件前、彼はたくさんサインを送っていたのではないか。両親は鈍感すぎないか」と思っていました。
    この本を読んで、サインどころか、問題行動をたくさんおこし、両親が奔走していたのがよくわかりました。
    もうすでに、両親には彼の暴走を止める力はなかったのです。

    ではなぜ、彼はあんな風になってしまったのか?
    お父さんもお母さんも普通で、愛情あふれる温かい家庭のように思えます。
    私のまわりに男の子3人4人の家庭がありますが、
    そこと比較しても特別厳しい非常識な親とは思えません。

    でもその中でひっかかったことがあります。
    お母さんは育児日記をつけていました。
    それによるとAが生後一か月のとき
    「今日初めてトイレでウンチさせた。なるべく早く、そういう習慣をつけよう」

    え??なにそれ?!

    「一歳九か月 おむつをすべて取る。昼のおむつはもっと早く取ったのですが、夜になるとなかなか取れなかった。でもそれ以降、お漏らしは大丈夫だった」

    私のまわりの子育てしている人たちは2歳すぎても平気でおむつさせていました。
    しかもAは7月生まれだから、寒い時にトイレトレーニングさせられていたのでしょう。
    年子の弟がいるから、早く自立させたかったのかもしれません。

    また、Aが二歳のとき、食べ終わった食器を流しにもっていくようにしつけています。
    でも「これは無理だ」と三歳すぎてからにしました。
    「長男のAをある程度キチンと躾けていれば、後に続く子も上を見て育つ。
    そういう意識が私の中にあったことは確かです」

    ブログ『保育士おとーちゃんの子育て日記』に次のような事が書かれています。

    「(前略)一方で「トイレトレーニング」に一生懸命な人もいます。

    これをされると子供はつらいね。
    どうしてもその子の持っている能力では出来ないことを要求されるわけです。
    (略)
    それがさらに親が確立を望む年齢をすぎて、あせってきたりしてピリピリ・イライラした対応になってくると、子供はさまざまな問題を抱えることになりかねません。

    自己肯定感の欠如、無気力、殻に閉じこもる、大人に対する不信、情緒不安定、イライラから暴力的になる、ストレスからくる指しゃぶり、チックなどなど・・・。」

    「僕はトイレで排泄させようさせようと努力する代わりに、
    普段の生活習慣や遊び、会話、スキンシップなどをしっかりとやります」

    Aのお母さんは、長男であるAをしっかり躾けるため、まだ能力的に無理なことをさせようとし、その結果Aのような性格の少年がつくられていったのではないか。

    昔はインターネットが無かったから、いまのように情報がなかったのかもしれません。
    親が良かれと思ってやったことが大変な事態を招く。
    子育てにはー子育てに限りませんがー正しい知識が必要なんだなあと思いました。

  • これを読んで得られるものは特にない。
    ここに書いてあるAの行動も全てが本当かは分からない。
    それでもこの事件に興味を持つ僕としては価値のある内容だった。

  • 子供を持つ親として、加害者、被害者どちらも地獄
    親が一生懸命育てているつもりでも、受け取る側の子供の気持ちがそうでなければ愛情は届かないのでしょうか

    本当に亡くなった方達のご冥福をお祈りいたします

  • 自分か生まれる前の事件なので、関東大震災とか阪神淡路大震災とかと同じくらい昔のことだと思っていたが、手記の内容が現代社会にも通じるほどリアル。
    特定の要因がこの事件を起こしたのではなく、様々な複雑な要因か絡み合った結果、起こってしまった事件なのだろうなと思う。

  • 「あなたの子どもを加害者にしないために」と言う本を以前
    読みました。その本は「「少年A」この子を生んで・・・」を元に、少年Aはどのように育ったのか、どうして酒鬼薔薇聖斗が生まれたのかを分析した内容でした。

    そこでやっぱり気になってこの本を買いました。
    ちなみにこの本の印税は、被害者遺族の方々への賠償にあてられるそうです。

    これを読んでみて思ったのは、この両親は案外普通だなと言う事。
    もちろん全てをありのままに書いているのかどうかは分かりません。あくまでこの手記を読む限りですが。

    時々「ん?」と引っかかる考え方や言動があるにはあるのですが、
    明らかにおかしな考えって言う訳でもないように感じます。

    被害者家族への謝罪の言葉も度々出てきますが、本当の意味で
    謝罪の気持ちがあるのかな?と、文章を読む限り感じました。
    我が子をかばうような書き方も気にはなります。
    でも、実際我が子がこのようなひどい事件を起こしたとしたら
    何を書けるのか、と思うとこういう文章なのも納得と言うか
    しょうがないのかなと思ったり。。。

    母親によると、事件の直前も後も、息子の様子に何も変わった
    所はなかったと。何も気付かなかったと。
    そんなことってあるか?と思いますが、でもまさか自分の息子が
    殺人犯だなどとは考えないだろうなぁ。

    でも少年Aは、事件の前から万引きしたり、同級生を殴ったり
    家に斧を隠していたり、猫の死体が出て来たり、やっぱり
    前兆のようなものはあったんじゃないでしょうか。
    それでも母親は「男の子だからこんなもの」みたいな軽い感じで
    やりすごしているのが、引っかかりました。

    それなりに本人に聞いたり、謝罪に行ったり、叱ったりはして
    いるのですが、どうも軽い印象。

    子育てって本当に難しいし、本当に一人一人その子によって
    愛情の受け止め方も違うんですよね。
    そういう事を痛感しました。

  • Aは自分の息子です。あんな凶悪な事件を起こしても、怖いとも思わないし、憎いとも思えません。見捨てようとも思いません。(115)


    少年Aの両親の悲痛な想い。
    被害者の遺族の方々始め、厳しい世間の目のある中書かれた懺悔の手記なので、始終、申し訳ございませんと綴ってある。
    だが、酒鬼薔薇聖斗を産んだのは、本当にこの両親だけなのか。


    葉書に頭部の絵。「お前たちが交尾してできた化け物の責任を取れ」(94)



    私は25にもなりながら、まだ子を持つ親の気持ちが理解できないでいる。
    だから、子供視点の見解なのかもしれないが。



    交尾して子をつくるのは、とても一般的なこと。
    その子が、人間か、「化け物」か、それは子が選ぶことは出来ないし、親も然り。
    育て方に、正解とか間違いとかが、あるのだろうか。


    少年Aが虐待されたと感じている出来事が、
    他の家庭にもあるような躾程度のものだったのか、それとも本当に虐待といえるものだったのか、真相はこの手記からはわからないが、
    両親の証言の方がより現実に近いとすれば、
    Aの、直観像素質者であるという性質が大きく影響したのではないかと思う。
    その性質を持つか持たないかは、親にも子にも選択出来なかったはずだ。


    この本を読むきっかけになった村上龍氏の『インザ・ミソスープ』の一節が脳裏をよぎる。


    ―…要するに、子どもが犯した殺人の原因を見つけて、みんな、安心したいだけなんだ、子どもの殺人に原因はないよ、幼児が迷子になるのに原因がないのと同じだ、親が目を離したから?それは原因じゃなくて子どもが迷子になる過程の一つに過ぎない―



    他人の命を奪うことは、許されないし、受け入れられない。
    だから、Aの発言や行動も、受け入れられない。
    Aのそれは、すべて開き直りとして解釈されている。

    たぶん、理解出来ないひとたちは、
    受け入れられない、と、一刀両断して
    その原因を育ち方に求めようとする。
    確かにその人格形成に家族は大きくかかわっているが、
    果たしてそれだけなのだろうか?


    「化け物」じみた世界に、たまたまそういった性質に生まれた子どもが生まれたとして、
    自分がその親には絶対ならないと、誰が言い切れるのか。




    私は、私自身が酒鬼薔薇聖斗かもしれないと未だ危惧しているし、
    私が子どもを産んだとき、その子が酒鬼薔薇聖斗かもしれないと憂慮している。
    この手記を書いた両親の悲痛な想いを感じれば感じるほど、
    他人事ではないように怖くなる。





    私が狂っているのか。

  • 「少年A」この子を生んで・・・・・・
    ~父と母 悔恨の手記~

    著者:「少年A」の父母
    構成:森下香枝(ジャーナリスト)
    発行:1999年4月10日
    文藝春秋

    どうしてこの本を読もうとしたのか、忘れてしまった。「少年A」自身が書いた「絶歌」を以前に読んでいて、あまりのレベルの低さにあきれかえったが、恐らく両親の書いたものも同じだろうと思ったのかもしれない。
    読後感としては、絶歌ほどレベルは低くない、という感じ。自己主張することもなく、言葉遣いなども当たり障りがない、毒にも薬にもならない謝罪本だった。事件前後の経過報告や、子育て記録などを通じて、謝罪を行っているわけだが、プロの手によって(構成の森下&エディター)まとめられた、プロフェショナルな出来だともいえる。読者は、もう少し毒気があるものを期待したのだろうと思う。謝りつつも身勝手なことをいいやがる!と多少の憤りを覚えるぐらいがちょうどいいのだろうけど、さすがにそれは遠慮したのかも。

    絶歌は、本人は少年院から出て何年かした2015年に出版された。この本は、事件から2年後、本人は17歳で府中の関東医療少年院にいたころに出版された。両親は、鑑定書は読んでいるが、少年院に入ってからは2回しか本人と会っていない。取り調べや家裁の段階から、本人が両親に会うことをほとんど拒否し続け、両親にとってはどうして我が子がそんなことをしてしまったのか分からない状態だったともいえる。

    終始言っているのは、報道されているような、厳しくした、スパルタ教育だった、というようなことはない。〝茶髪やピアス〟など、あんなことをするような雰囲気は微塵も感じなかった、という点。自分たちは他の2人の息子と同様、ごく普通に育てたと思っているようだ。もちろん、反省点はあるとしつつ。本に書かれているように、本当にそんな素振りを全く見せない息子だったのか、実は息子の変化に気づかないほど愚鈍で息子への愛着などがない両親だったのか、よく分からない。

    本人は兄弟に比べて勉強が出来ず、小学校のころから問題を起こし、学校を休ませた時期もあった。中学に入っても同じで、問題を繰り返し、ナイフなどで人を傷つけることもあったため、やはり学校に行かせず、休ませている間に件の犯罪を行った。このあたりは、本当に両親の対応が適切だったのか、本気だったのか、極めて怪しい印象を受けた。
    中学生なら煙草も酒もしたくなるのは当たり前だから、飲みたくなったら言え、家族と飲め、などという教育をしている。

    彼は「直観像素質者」だった。ぱっと見た映像がまるで目の前にあるかのように鮮明に思い出せる。当時、酒鬼薔薇聖斗などの名義で書かれた文章が話題となり、かなり頭がいいやつが書いているなどという人がいた。芥川賞作家の柳美里ですら「不謹慎を覚悟で言えば・・・」として絶賛していた。僕は知性のかけらも感じなかった。宮崎勤の今田勇子も同じだった。反対に、グリコ森永事件の脅迫状などは、知的な人間が書いていると感じた。
    酒鬼薔薇が書いた文章は、直観像素質者の能力を生かし、立ち読みなどをして印象に残った下りのオールぱくりだったことを、この本でも絶歌でもばらしている。

    少年Aは、殺した子供を「野菜」に例えて、次の野菜も狙うというような書簡を書いている。人間は野菜と同じ、だから切っても潰してもかまわない、と精神鑑定で答えている。人を野菜と思えというのは、実は母親が舞台の上で緊張をほぐすために教えたことだったそうだ。この本に書かれている。
    誰でも言いがちな、軽い一言が、重大な犯罪につながる可能性があるということを、我々は忘れていけないのだと戦慄が走った。

  • 酒鬼薔薇聖斗こと少年Aの両親が記した手記。

    この本によれば少年Aは事件前から猫を解剖したり度々学校でも問題を起こしていた。両親は猫のことは知らなかったが学校からは呼び出され、息子に注意もしていた。だけど両親は息子の異常性には気づけなかった。そして逮捕後も息子が犯人だと信じきれない気持ちがぬぐい切れていない。

    両親が甘くてけしからん、と見ることもできるし、息子だからって全部が分かるかというとそりゃ難しいだろうなとも思う。猫の解剖しながら勃起して射精までするとか、ちょっと想像できない。いわゆる普通の親にはどうにもできないんじゃないかという気はする。

    外野が軽率に口を挟むべきじゃないと思うけど、「勉強はできなくてもいい」みたいな記述が割と簡単に出てくるあたりとか、ヒトラーの『わが闘争』を簡単に渡すあたりはとりあえず自分の価値観からは賛同できない。

    あとは、マスコミによる加害者家族への迷惑行為は本当にお気の毒で規制されるべきだと思う。

    東野圭吾の『手紙』は少し前に読んだ。小説では当然ながら一定の結末があるわけだけど、この手記だけでは解決していないしモヤモヤした感じが残る。
    ただ、『絶歌』なる本は読む気にはなれない。

    誰にでもお勧めできるという本ではないけど、社会の一面、人間の一面を知るという点で意味のある本だと思う。

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