読者は踊る (文春文庫 さ 36-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656201

作品紹介・あらすじ

なぜ、この本が売れるのだろう。流行りの本は気になるくせに、流行りすぎると文句をつける。そんな立派な「踊る読者」のあなたのために、「ごくごく一般的な、そんじょそこらの読者代表」の斎藤美奈子が、タレント本から聖書まで、売れた本・話題になった本253冊の読み方と読まれ方を、快刀乱麻で読み解いていく。

感想・レビュー・書評

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  • あらゆる文化ジャンルに渡っての批評家の読書指南書。

    カラオケ化する文学…文学書について
    ニッポンという異国…食、地域、地理、建築、グルメ、旅行
    文化遺産のなれのはて…音楽、おとぎばなし、聖書、古書、歴史
    野生の王国…動植物
    科学音頭に浮かれて…マルチメディア、地震、遺伝子、複雑系、環境ホルモン
    おんな子どもの昨日今日…女子高生、高級猥談、アダルトチルドレン、フェミニズム、学校制度、アニメの主人公
    歴史はこうして作られる…全共闘、ひめゆりの塔、神戸震災、オウム、野茂、薬害エイズ、在日
    知ったかぶりたい私たち…哲学、学習まんが、源氏物語のアンチョコ、国語辞典、超勉強法

    ざっと目次にしたがっての内容だが、こ、こんなに沢山の出版物(253冊)を読み解いてくれ、辛口の批評とともに指南してくれて…。ただし1995年から96年の頃のもの、10年ひと昔、時評とて古いはずだが今立派に通用する本もあり。

    のだが、ほとんど文学書しか読んでいない私の姿がくっきりしてしまって、恥ずかしい。のになにやら食傷するくらい。うーん、だめだこんなに本は読めないな~。

    そうそう、老い関係の本は批評していない。10年前はまだ世間は切実ではなかったのだろうか。最新の斎藤美奈子出版本は「お葬式」であった。とほほほ。

  • 活字になると多くの主張が正論のように見えてしまう事がよくある。
    書物に書いてあるものを妄信してしまうのでは多読は毒であろう。
    斉藤さんの書評を読んでいると小気味良く著者が言うところの矛盾を指摘してゆく。
    目からうろこが落ちたようにその本と著者の見方が変わる。
    私のような妄信癖のあるものにとっては大変貴重な本である。
    が、世間に出回っている書物の多くが読むのも馬鹿らしいうわべだけの本に見えてしまうのが難です。
    どなたか斉藤さんの書評を論破してくれないだろうか。

  • 斎藤美奈子「趣味は読書。」で、自分は「読書依存症」だなあと思い、そういう方は「読者は踊る」をどうぞとオススメされていて、それにのってみて、巻頭の診断で10個あてはまって、重度の踊っている読者と診断されてから読み始め。「タレント本=私小説」化傾向から、芥川賞選考委員は会社の人事部、歴史教科書の会、「左翼」の正攻法ばかりで技巧さがないこと、全学連と暴走族の共通性、などなど多岐な話題で俎上の本をバッタバッタと切っていく。なるほど、そういう読み方もあったのか、と。でもあとがきの「本文を読んでもらえばわかることだが、私はごくごく一般的な、そんじょそこらの読者である」はちょっと…かも。そんな鋭く切り込める読者はそんじょそこらにはいないから、この本が成り立ってるのでは、と。◆中谷彰宏「人は誰でも作家になれる」、辺見庸「もの食う人びと」、田川建三「書物としての新約聖書」、嶋津与志「沖縄戦を考える」、野村進「コリアン世界の旅」あたりは読んでみたくなった。

  • 烏兎の庭 第一部 書評 4.4.03
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto01/yoko/odoruy.html

  • 「話題のタレント本を買うのはちょっと抵抗がある」「芥川賞・直木賞の受賞作くらいは読んでおいたほうがいいような気がする」「ブックガイドを読むのが好きだ」「「知の最前線」「時代を読むキーワード」といった言葉に弱い」「人の家に行くと、思わず本棚を見てしまう」など、20個の項目のうち、半分以上に当てはまるのが「踊る読者」と著者はいいます。本書は、そんな小市民的な「踊る読者」に向けて、「ごくごく一般的な、そんじょそこらの読者代表」を標榜する著者が、253冊にわたる本を切れ味の鋭いことばでばっさばっさとなで斬りにしていく本です。

    たとえば、田舎のひとは人情がある、地方都市は住みやすくて食べ物がおいしいといったことばが並ぶ県民性についての本にひそむ、コロニアリズム的な視線があざやかに暴露されます。また、死海文書や現代科学についての啓蒙書のいかがわしさが指摘されます。ひざを打って感心したり、声をあげて笑ったりしながら、それらの本をつい手にとってしまうような「踊る読者」になってしまっている自分に気づかされることになります。

    著者の批評の前には、タブーも聖域も存在しません。なかでも驚いたのは、吉田秀和のクラシック評に「読み物としての水準に呆れちゃったのだ」といいきってしまうところで、なかなかここまでいえる批評家もいないでしょう。

  • 正直であること、背伸びをしないこと。強みであり、同時に弱点でもある。解説で「歯に衣着せぬ」と形容されているが、実際はそうでもない。たとえば、「『政治的に正しいおとぎ話』がうまいのは、PC用語を過剰に使いPC派をからかっているようだが、反PC派に加担しているわけでもなくて、どちらの派閥もニヤッとできるような書き方をしてるとこだ」と彼女は言っているのだけれど、これはまんま彼女自身の文章にも当てはまる。そうした滅私の精神は、ずばりずばりと問題の核心をつく批評を生み出すが、と同時に「じゃああなたはその問題をどうしたいのだ(どう関わりたいのだ)」と彼女に尋ねてみたくもなる。まあ、踊る読者の皮を被った彼女にそんなことを尋ねるのはナンセンスなんだけどね。

  • (^O^)笑

  • 学まんから辞書、聖書まで、手当たり次第に斬りまくり( ´ ▽ ` )ノ。
    ミナコ様の書評はほんと楽しい( ´ ▽ ` )ノ。
    馬鹿だ馬鹿だと自嘲してるけど、叩かれてる著者たちより数段お利口( ´ ▽ ` )ノ。
    本当の馬鹿が真似すると、痛い目に合う(>_<)。
    20年近く前の本だから、さすがにエジキ本は古臭いものばかりだけど、兄弟にせよふたりにせよソフィーの世界にせよ、読んでなくても懐かしい( ´ ▽ ` )ノ。
    解説の米原万里さんの使ってる技は昭和50年代タッチ( ´ ▽ ` )ノ。読んでるこっちが赤面しちゃった( ´ ▽ ` )ノ。
    2014.9.1

  • ベストセラーとは何か。話題書とは何か。
    代読者こと斎藤美奈子さんがしっかりと教えてくれます。

  • 私も踊らされている読者の一人です。

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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