赤ちゃん取り違え事件の十七年 ねじれた絆 (文春文庫 お 28-1)
- 文藝春秋 (2002年10月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167656416
感想・レビュー・書評
-
「そして父になる」の映画を見た後だったので、読んでみました。
少し…かなり重い。現実はたやすくない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子ども取り違えの本。
取り違えられた子は今40代。そんなに昔のことじゃないということが怖い。
だいじに、だいじに育てよう。 -
「そして父になる」の参考書籍。
親子の絆とは法で括ることのできないものだと感じた。
今、親子というもの、配偶者というものについての裁判が多々起こっている。結論を急ぐことはできない。 -
S46沖縄の女児取り違え、6歳で交換、その後17年24歳までのドキュメンタリー。
生まれて6年間を育てる重み。沖縄の血縁優先社会。嫁にでる女の子。育て方の違い。家風の違い。夫婦の事情。 -
産みの親と育ての親は、どちらがいいのか?
この問いに答えはないことを、実際に沖縄で起きた「赤ちゃん取り違え事件」は教えてくれます。
両親の生まれ育った環境も、
現在の生活水準も、
住んでいる場所も、
両親の年齢も、
子供に対する愛情の大きさもほぼ同一条件だとしたら、子どもはどちらを選んだ方が幸せなのか?
一方の子どもは、「産みの親」といい、もう一方は「育ての親」だという。
つまり、この事件で、取り違えられた二人は、同じ両親を選んだのだ。
二人に選ばれた伊佐家は、
選ばれなかった城間家と比較して、何が違ったのか?
それは、伊佐家が、
健全な家庭であったこと(家族にアル中や浮気、子育てを放棄するような人間がいない)と、
教養があったこと(円形脱毛症の始まりなど、子供の変化にすぐ気付く)、
適切な愛情表現とは何かを常に考えていたことである。
結局、どんな子どもも、大きな愛で安全に包まれることを本能的に求めているのである。
あー私も怒ってばっかりいないで、根気良く息子に付き合ってあげて、敏感に気持ちを汲み取ってあげないといけないな。 -
まだ公開はされていませんが、気になっている映画『そして父になる』の参考図書ということで購入。
実際にあった取り違え事件を数十年にわたり追っていて、まるで週刊誌を読んでいるような出だしから始まりとても重いテーマではあったけれど、それぞれの想いや情景が見事にかかれていました。
親子って不思議です。
やはり血のつながりだけではない、今までの育った愛情や環境がまた人を育てていくんですね。
考えさせられる内容ではありましたが、映画の題名では父という言葉が使われていますが、本書では母娘の絆に主に触れていることから、映画ではどのような展開になっているのか気になります。 -
2013.7.28読了。
こんなことが現実に起こっているなんて信じられないことだけど、実際にあること。
親も子供たちも、また兄弟や親戚たちも、誰もが苦しい。ましてや6歳はしっかりと意識もある。子供たちが小さな身体で苦しんでいると思うとやりきれない。
近くに住むのも、いつまでも行き来するのもどうなのかと考えもしたけど、この場合は一方の家族が崩壊していたから結果的にこうなって、彼女には救いがあったから良かったのだと思いたい。 -
第二次ベビーブーム時に頻発していた「赤ちゃん取り違え事件」。1970年代、それぞれの子どもが6歳の時に「取り違え」が発覚した2つの家族を17年間追ったルポタージュ。
いわずもがな、是枝監督の映画賞受賞がきっかけで読んだ1冊。題材が題材なだけに気合を入れて読みました。そうでもしないと、飲み込まれてしまいそうだったから。
序盤は家族全体について書かれてましたが、途中から交換された子どもの1人にフォーカスして話が進んでゆきました。あとがきを読むと、著者は彼女の生き方に関心を持ったことも筆をとった理由の一つだったとか。
2つの家族のうち、1つは既に家族として破綻していたので、こちらに引き取られた彼女の生き方に関心を持つのは必然的だったのでしょう。産みの親は夜遊びで家におらず、実質叔母(親の姉)に育てられていた環境に突然放り込まれたら…数年後その叔母と実父が不倫関係になり子どもまで出来てしまったら…。産みの親と育ての親、どちらを本当の親と捉えるようになるか。答えは見えていたけれど、心理的葛藤が細かに書かれていて、気持ちが手に取るように伝わってきました。
「三つ子の魂 百まで」「親の心 子知らず」とはこれまさに。
家族とは、親子とは。血と情のせめぎ合う様が丹念に描かれており、読んだ後にしっかり考察することができた良い読書体験でした。