赤ちゃん取り違え事件の十七年 ねじれた絆 (文春文庫 お 28-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656416

感想・レビュー・書評

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  • 「そして父になる」の映画を見た後だったので、読んでみました。
    少し…かなり重い。現実はたやすくない。

  • 子ども取り違えの本。
    取り違えられた子は今40代。そんなに昔のことじゃないということが怖い。

    だいじに、だいじに育てよう。

  • 「そして父になった」の福山さんの映画の原作の原作と聞いている。
    本当に沖縄で起きた赤ちゃん取り違え事件を取材したノンフィクション。
    6歳になった少女二人とその家族は、病院の取り違えから大きく揺らいでいく。ごく普通の家族に起きた事件は、全員に、これからの生き方と、家族のありかたをつきつける。途中読んでいてつらいことが多かったが、乗り越えていく人間の強さ、弱さに引き付けられた。特に智子さんというお母さんの娘たちへの思い、それを受け止めて成長した美津子さんには本当に感動させられた。柳田さんもあとがきで書いているが、程よい距離で、冷静に書かれた内容に、最後にはすがすがしさが残って良かった。

  • 「そして父になる」の参考書籍。
    親子の絆とは法で括ることのできないものだと感じた。
    今、親子というもの、配偶者というものについての裁判が多々起こっている。結論を急ぐことはできない。

  • S46沖縄の女児取り違え、6歳で交換、その後17年24歳までのドキュメンタリー。

    生まれて6年間を育てる重み。沖縄の血縁優先社会。嫁にでる女の子。育て方の違い。家風の違い。夫婦の事情。

  • 産みの親と育ての親は、どちらがいいのか?


    この問いに答えはないことを、実際に沖縄で起きた「赤ちゃん取り違え事件」は教えてくれます。


    両親の生まれ育った環境も、
    現在の生活水準も、
    住んでいる場所も、
    両親の年齢も、
    子供に対する愛情の大きさもほぼ同一条件だとしたら、子どもはどちらを選んだ方が幸せなのか?



    一方の子どもは、「産みの親」といい、もう一方は「育ての親」だという。

    つまり、この事件で、取り違えられた二人は、同じ両親を選んだのだ。


    二人に選ばれた伊佐家は、
    選ばれなかった城間家と比較して、何が違ったのか?


    それは、伊佐家が、
    健全な家庭であったこと(家族にアル中や浮気、子育てを放棄するような人間がいない)と、
    教養があったこと(円形脱毛症の始まりなど、子供の変化にすぐ気付く)、
    適切な愛情表現とは何かを常に考えていたことである。


    結局、どんな子どもも、大きな愛で安全に包まれることを本能的に求めているのである。


    あー私も怒ってばっかりいないで、根気良く息子に付き合ってあげて、敏感に気持ちを汲み取ってあげないといけないな。

  • まだ公開はされていませんが、気になっている映画『そして父になる』の参考図書ということで購入。
    実際にあった取り違え事件を数十年にわたり追っていて、まるで週刊誌を読んでいるような出だしから始まりとても重いテーマではあったけれど、それぞれの想いや情景が見事にかかれていました。
    親子って不思議です。
    やはり血のつながりだけではない、今までの育った愛情や環境がまた人を育てていくんですね。
    考えさせられる内容ではありましたが、映画の題名では父という言葉が使われていますが、本書では母娘の絆に主に触れていることから、映画ではどのような展開になっているのか気になります。

  • 2013.7.28読了。

    こんなことが現実に起こっているなんて信じられないことだけど、実際にあること。
    親も子供たちも、また兄弟や親戚たちも、誰もが苦しい。ましてや6歳はしっかりと意識もある。子供たちが小さな身体で苦しんでいると思うとやりきれない。
    近くに住むのも、いつまでも行き来するのもどうなのかと考えもしたけど、この場合は一方の家族が崩壊していたから結果的にこうなって、彼女には救いがあったから良かったのだと思いたい。

  • 第二次ベビーブーム時に頻発していた「赤ちゃん取り違え事件」。1970年代、それぞれの子どもが6歳の時に「取り違え」が発覚した2つの家族を17年間追ったルポタージュ。
    いわずもがな、是枝監督の映画賞受賞がきっかけで読んだ1冊。題材が題材なだけに気合を入れて読みました。そうでもしないと、飲み込まれてしまいそうだったから。
    序盤は家族全体について書かれてましたが、途中から交換された子どもの1人にフォーカスして話が進んでゆきました。あとがきを読むと、著者は彼女の生き方に関心を持ったことも筆をとった理由の一つだったとか。
    2つの家族のうち、1つは既に家族として破綻していたので、こちらに引き取られた彼女の生き方に関心を持つのは必然的だったのでしょう。産みの親は夜遊びで家におらず、実質叔母(親の姉)に育てられていた環境に突然放り込まれたら…数年後その叔母と実父が不倫関係になり子どもまで出来てしまったら…。産みの親と育ての親、どちらを本当の親と捉えるようになるか。答えは見えていたけれど、心理的葛藤が細かに書かれていて、気持ちが手に取るように伝わってきました。
    「三つ子の魂 百まで」「親の心 子知らず」とはこれまさに。
    家族とは、親子とは。血と情のせめぎ合う様が丹念に描かれており、読んだ後にしっかり考察することができた良い読書体験でした。

  • 赤ちゃん取り違えを6歳のときに知り、
    それから実の親に引き取られた2人の少女。

    一方の家庭は元々崩壊状態で
    最終的にはもう一方の家庭で2人は育っていく。

    親の存在の大きさ、家庭環境の大切さ、を
    嫌というほど感じさせてくれる。

    子供を持つ親としては
    感情移入するところが多い

    心臓をぎゅっとつかまれたように
    「いてててて・・・」
    と心が締め付けられるような描写が
    育っていく過程に散りばめられている。

    最後は2人の少女とも立派に成人しており
    親もそれほど後悔していないため
    後味は悪くない。

    一時は迷いに迷った智子さんが時折見せる
    腹をくくった覚悟に尊敬の念を抱く。

    面白い話ではないが
    心をえぐるような思いをさせてくれるこのような本は好きだ。

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著者プロフィール

奥野 修司(おくの しゅうじ)
大阪府出身。立命館大学経済学部卒業。
1978年より移民史研究者で評論家の藤崎康夫に師事して南米で日系移民調査を行う。
帰国後、フリージャーナリストとして女性誌などに執筆。
1998年「28年前の『酒鬼薔薇』は今」(文藝春秋1997年12月号)で、第4回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
2006年『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で、第27回講談社ノンフィクション賞・第37回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
同年発行の『心にナイフをしのばせて』は高校生首切り殺人事件を取り上げ、8万部を超えるベストセラーとなった。
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」は25年、「ナツコ 沖縄密貿易の女王」は12年と、長期間取材を行った作品が多い。
2011年3月11日の東北太平洋沖地震の取材過程で、被災児童のメンタルケアの必要性を感じ取り、支援金を募って、児童達の学期休みに
沖縄のホームステイへ招くティーダキッズプロジェクトを推進している。
2014年度より大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(雑誌部門)。

「2023年 『102歳の医師が教えてくれた満足な生と死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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