周公旦 (文春文庫 さ 34-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656560

感想・レビュー・書評

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  • 古典文学のような、独特の揺らぎと括り癖がなんとも渋く味わい深い酒見氏。
    それでいて軽快な足取りの為、読み出すと時間の感覚は遥かあの周へ逆行せざるを得ない。
    終始一貫したのは、専門知識量ではなく、圧巻の情景描写と周公旦への愛そのものだ。
    周公旦と呼ばれた一人の男の人生の、その機微を余すことなく緩急たっぷりに描き上げる。項垂れる武王、演説に立つ姿、高笑いの前軍師。みな周公と共に生きていた。
    柔らかい冬の西日が差す中国茶屋で、読み終えたあの日を忘れないだろう。
    数奇な運命に涙が止まらなかった。

  • 世の中が混迷を極める今のような時代にこそ、周公旦のように落ち着いて「礼」を重んじる政治家が必要である。
    書かれている時代は古代の話ですが、非常に示唆に富んだ物語でした。

  • ゲ―ニウス・ロキの人が、このど毛唐のいろいろへ目をつぶるとか、なので周公旦は外交官として有能ないろいろをやってるらしいとか、主人公が倒れた際、そこの習俗である、薬としての「同胞の肉」が出て、それを喰った処癒されるとか、いい感じ。

  • 3千年以上も昔、紀元前千百年に文化がすでにあり、歴史として記録が残っているのが中国のすごいところ。周公旦は日本においては知らない人の方がはるかに多い気がする。封神演義と比べながら読むと面白かった。

  • 古代中国を舞台にした、伝説めいた歴史物語。

    周の建国に貢献した周公旦って、死者の魂と交信できる能力を持っていた?
    まぁ、諸葛孔明が風向きを変える話もあることだし、お話としては、ありかも。
    って、酒見さんの作品のレビューで諸葛孔明を出すのは、まずいか・・・。

    だけど、大勢の前で読み上げられる文章には、人を動かし、人を変える力があるのかも。ならば、本当は、文字を操ることは、秘術を行うのに等しいのか。

    遠い歴史のかなたにいる周公旦の姿をおぼろげに想像してみるのも、悪くない。

  • 礼楽思想と、言葉としては知っていても、イメージが湧かなかった。
    政治思想でもあり、宗教でもあり、芸能の要素もあり・・・と言われても、それらが渾然一体となってどう働いたのか、さっぱりイメージできなかった。
    さらに言えば、周公旦は伝説的な聖人とされているけれど、何がすごいのか、なぜそんなに尊ばれているのか、ピンと来なかった。
    それが、この小説を読むと、何となく分かったような気になる。
    小説の力だなあ、と感心してしまった。

  • 2014/01/09【古】 80円

  • 周公旦といえば「バナナをお食べ」でお馴染み、封神演義に出てくる生真面目な政治家…なのですが、こちらは多分もっとちゃんと史実の周公旦の話。

    酒見さんといえば、『後宮小説』にて「歴史物だとおもったらファンタジー」という不思議小説を書いていましたが、こちらはどちらかというと「ファンタジックな歴史物」。

    歴史の波を流される周公旦の、政治家・宗教家・巫・叔父・摂関など様々な面を見せつつ、激動の太古中国史を面白く描いています。当時の「礼」や「言葉」や「神」などの物の見方が面白いなぁと思いました。

    言葉が難しいこともあり、後宮小説よりはとっつきにくかったです。なんとなしで読んでしまった感もありつつ。

  • 酒見賢一さんお得意の史実に呪術的要素をうまく融合させた話になっています。周公旦という人をこれまで知らなかったのですが、私利私欲に走らずひたすら国家の安寧のために奔走する姿がとても魅力的です。

  • 印象の薄い本。陋巷に在りや泣き虫弱虫諸葛孔明のような突き抜けている感がしない。
    分かりやすいことは分かりやすい。そうなのだけど、もっと遊んでくれても良かったようには思う。

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