午前三時のルースター (文春文庫 か 30-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656683

感想・レビュー・書評

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  • 全てをリセット、ゼロにしたい時ってありますよね。0の先に行くのって勇気が入りますよね。孤独だから、

  • 直木賞受賞で著書を調べたらベトナム(大好き)が舞台の本作を知って早速図書館で借りてみた。

  • こんな完成された処女作あるか?というくらいの、徹底した作り込みによってなりたった深みのある物語。
    小説家・垣根涼介の才能がすでに完成された形で見えていて、「ワイルド・ソウル」と比べると唯一、ひっぱりというか、伏線の絡み合いが多少少ないのかなと思うが、だが「新人っぽさ」を感じさせるのは、それのみだ。驚異的としか言いようがなくて、サントリーミステリー大賞とはかくもレベルの高い賞なのだなあと、嘆息せずにはいられない。

    1966年産まれの、2000年デビュー。
    なので、小説家デビューは35歳くらいだろうか。

    その後、垣根さんは数々の賞を受賞していくわけだけど、それも納得。筆の強さと言うか、物語をぐいぐい読ませる力が、やはり、ある。

    ハードボイルドというジャンルに関しては門外漢で、寡聞にして知らないが、こんなにも確固たる物語と、人生の機微が描かれている小説ばかりなのだろうか。

    今後とも垣根さんは追いかけていくべき作家さんの一人である。

    蛇足だが、プロローグとエピローグ、それからタイトルの付け方がこれほどうまい小説に、久しぶりに出会った。

  • 蒸発した父親を探す息子とそれを手伝うこととなった旅行代理店の営業。
    真相に近づいて行く毎に、ただの失踪ではないことが分かり、、

    垣根涼介作品として、非常に面白かった。
    過去に著者の作品を読んでいれば自然と読み進めてしまう。

  • 本書を読むきっかけは、作者のヒートアイランドシリーズの『ボーダー』に登場人物の一人である『慎一郎』君が本書のストーリーをボロボロ喋るのが気になったから!

    主人公は旅行会社に勤める長瀬!お得意様の孫(慎一郎)の希望で数年前にベトナムで死亡?した父の痕跡を探す旅のお供をする事に!
    長瀬の友人のブラックベルト『源内』
    ベトナムのタクシードライバーでエースドライバーの『ビエン』
    同じくベトナム人で英語が堪能なガイド『メイ』
    これに慎一郎と長瀬を加えた父親探しの旅が始まる!

    最後のエピローグが本書を読んで良かったと思わせてくれる!

    長瀬を主人公にした他作品があれば読みたいと思った!

    それと本書はハードボイルドでミステリーな旅小説です!

  • まぁまぁ。
    細かいところは想像に任せて読みやすい。
    ライトな部類。

    もうちょと海外の喧騒を暗部をディープに感じたかった。

    たびの目的を果たした後もあっさりして、それで終わり?って感じだった。

  • ある程度以上好きになった作家さんの初期作品やデビュー作を読む場合は、いつも身構えてしまう。
    粗削りさ(稚拙さ?)にガッカリしてしまうことが何度かあったから。

    垣根涼介のデビュー作は・・・・

    すっごく面白かった♪
    冒頭の十数ページでぐいっと物語に引きずり込まれたかと思うと、その勢いで最後まで一気に読まされてしまった。
    巻末解説者や、受賞時の選評者が絶賛するわけが、よく解る。

    "垣根節"が効いた登場人物造詣…は、この時点で既に出来上がってたのね。

    ★4つ、8ポイント半。
    2019.11.21.新。

    ※「ボーダー」を読んだ際、、、
    初出のキャラ(しかも主要な役どころではない)のエピソードに随分とページを割くなぁ…と思いつつ読み終えた際の皆のレビューに

    「……ルースター」の彼のその後が見れて嬉しい♪

    的な感想をちらほら見かけた。そっか、あの「慎一郎」が、今作での彼だったのね。と、納得。(読み返したくなってしまったが…既に手放した後(苦笑))



    ※既に多作に友情出演している慎一郎義兄妹はもちろん、長瀬も源内も、十二分にキャラが立っていた。シリーズ化しても良かったんでないかい?

  • 「ワイルドソウル」にスケールは及ばないが、本作も傑作。夢中で読んだ。エピローグ、父から譲り受けた腕時計を川に放り投げ号泣する場面での少年に「君はもう今日から大人になるしかない。泣きたくもなる」とかける一言。矛盾するが「優しいハードボイルド」の傑作と言えるだろう。サイゴンとそこに生きる人々の描写も秀逸。



  • 失踪した父を捜しにベトナムへ。
    青春小説かと思いきや。
    どうしようもない事実を受け入れ成長していく様が、実に巧み。

    主人公が少年かと思いきや、旅行代理店の添乗員の目線で物語は進んで行く。
    ドライな質感が良いね。

    垣根氏って、人間の抗えない現実の描き方が、中々に優れてる。

  • 初めましての作家さん。
    最初からテンポ良く話が進み、ベトナムという汗臭くて
    薄汚れて人に溢れた街中で、情報を引き出し、父親探しを
    妨害しようとする奴らを騙し、真相に近づいていく緊迫感がたまらない。
    途中でなんとなく予想はついてしまうんだけど
    最後の慎一郎の行動でウルっとしてしまって
    読後感はとっても爽やかです。面白かったです。
    これがデビュー作ですか?どうするのよ(^◇^;)
    2作目3作目も面白いらしいので、読むぞ。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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