午前三時のルースター (文春文庫 か 30-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656683

感想・レビュー・書評

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  • 自分の思い入れの強い土地が舞台となるので、そもそも正当な評価ではないのであしからず。個人的には垣根作品の中でもとりわけ好きな一冊となった。これまでも海外を舞台にした作品は読んで来たが、その信憑性がどの程度のものなのかを図れず、いまいち感情移入が出来ずにいた。しかし本作品は個人的になじみ深い土地が舞台となっていたため、すっと物語の中に入ることが出来た。そして驚かされたのが舞台の忠実性の高さである。ベトナムに行くとそっくりそのままの風景を見ることができるだろう。話の中身に関しては、主要人物の登場シーンがいささか強引な気がしなくもないが、それも決して物語を色褪せさせることはしない。垣根涼介作品ではワイルドソウルもおすすめです。

  • 旅行代理店勤務の長瀬。中西社長に頼まれ、孫の慎一郎のベトナム行きに付き添うことに。実は慎一郎は、かつてベトナムで失踪した父親を探す目的だった。単なる人探しに思えたが、いろいろな事件に出くわして。。。というお話。異国の地で人探しをするだけの、のんびりした話かと思いきや、なかなかドキドキハラハラのサスペンスだった。筆者が車やバイクが好きなんだろうなあ、とおもわせる描写もあり、面白かった。

  • ガチガチじゃなく、程々のハードボイルド感で、どんどんストーリーに引き込まれた。主人公がウルトラスーパーマンじゃなく、拳銃やマシンガンが飛び交わないのがいい。他の作品もぜひ読んでみたい。(^_^)v

  • 旅行代理店勤務の主人公が、ジュエリー会社の社長に孫息子をベトナムに連れていってほしいという依頼を受ける。孫息子の真の目的は行方不明になった父を探すこと。一方、社長は未亡人となった娘を、提携先の会社と子息と政略結婚させようと画策する。父を探す手がかりは、テレビのベトナム特集でチラと映っていた姿のみ。元テレビマンの主人公の友人を加えた3人で行方不明になった父を探す。
    というわけで、なかなか手の込んだ設定になっていて面白かったです。相変わらず著者の好きなバイクと車のディテールの話が盛り込まれていて、この方面に興味のある人にはたまらないかも知れません。
    今はコロナでなかなか海外に行きたくてもいけないので、こういう異国情緒を感じる小説は良いかも知れませんね。ベトナムはなかなか行きたいところじゃないかも知れませんが。
    オチはなんとなく読めてしまったので、ミステリーとしてはふつうかも。

  • 面白いとは思うが何か物足らない所がある。
    話の展開が大きい感じがした割には、結末が小さいというのが感想だ。
    ルースターとは雄鶏の意味なんだ、、、、

  • ベトナムで失踪した父を探す少年の旅の添乗を頼まれた長瀬。悪友源内、現地の頼れるガイドメイとドライバービエン。追ってくる謎の男達と父の行方は如何に。
    一応ミステリということにはなるが、真相事態は予想の範囲内。ベトナムの雰囲気とチームの絆がストーリーの魅力か。家族を捨てた父との邂逅により、少年の時代を捨てたであろう慎一郎が切ない。

  • 垣根さんの時代物が面白かったので、昔の作品を読んでみた。スピード感があって、まるで映画のようなエンターテインメント性が楽しめた。主人公の男の子が格好良すぎ。

  • 垣根さんのデビュー作です。

    約2年ほどかけて書き上げたそうです。

    すさまじい執念ですね。

    作家のデビュー作を読むのはその後の作品にどんな影響をしていくのか興味深いものです。

  • 主人公(長瀬)の頭の切れはふつう旅行会社にはいないと思うが
    素人なりの推理力は素晴らしいものであった。
    ああいう人、モテるんだろうね。

    少年の影が途中薄すぎたけど、やはりこの作品は少年ベースでした。子供は子供らしくいればいいのにね。社会って嫌な世界だね。

    なんとなく私も日本を抜け出したくなった。

  • 面白かったー!
    登場人物が魅力的に描かれてるのがまず良かった。主人公の長瀬は器用で何でもそつ無くこなす感じ。でもそんな自分について理解もしてるからたまにちょっと嫌になるという人間らしさもある。
    もう1人の主人公とも言える少年、慎一郎も16歳とは思えない冷静さで子供ならではのうるささ、青さみたいなのがほとんど感じられず(彼の生まれ育った境遇によるもの)もしかしたら不自然というかこんな子供いないのかもしれんけど…読んでるぶんには無茶なことしたりせんからイラつかされんで良かった。
    ベトナム現地の運転手のビエンや娼婦のメイ、長瀬の友人(と素直に言えるのか分からんくらいには仲良しこよしって感じの関係性ではないけど)の源内…皆それぞれ個性的で好感持てた。

    魅力的なのはキャラクターだけじゃなくて話の内容も。次々先が気になってあっという間に読めた。時間としては3時間近くはかかったけど体感としてはあっという間。
    スリルもあるし長瀬の機転をきかせる場面もあるし、うっすらロマンス的な要素もある。
    長瀬は仕事もできるし人間的に頼りになるところが異性として魅力的やと思うから、最後メイとどうにかなるかな…とちょっと期待したけど実は彼女いましたーって言うのも妙にリアルやった。

    慎一郎の周りの大人たちは皆勝手やな、、
    皆親ではなく「男」であり「女」のままで…慎一郎なら大丈夫やと思って甘えてる。慎一郎だけは自分で自分の人生を選択することもできず雁字搦めになってて。
    最後は父親が彼に逃げ道を多少与えたけどそれだって死ぬ思いでこっちから会いに行ったからこそで本来は息子には一生会うつもりなかったみたいやし。父も母も愛情が薄いというか慎一郎を息子ではなく個々の人間というか守るべき相手としては見てない感じと言うか。
    それは今現在祖父が大きな力を持ってて経済的にも社会的にも十分に彼を守ってあげられると分かってるからこそでもあるんやろうけど…。
    全てを知った慎一郎の胸の内を思うとひたすら切ない。そして最後に父から渡された腕時計を窓から投げ捨てたのはちょっとスカッとした。
    慎一郎の今後の人生が幸多からんことを…と願わずにはおれんかった。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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