午前三時のルースター (文春文庫 か 30-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 213
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656683

感想・レビュー・書評

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  • 全てをリセット、ゼロにしたい時ってありますよね。0の先に行くのって勇気が入りますよね。孤独だから、

  • 本書を読むきっかけは、作者のヒートアイランドシリーズの『ボーダー』に登場人物の一人である『慎一郎』君が本書のストーリーをボロボロ喋るのが気になったから!

    主人公は旅行会社に勤める長瀬!お得意様の孫(慎一郎)の希望で数年前にベトナムで死亡?した父の痕跡を探す旅のお供をする事に!
    長瀬の友人のブラックベルト『源内』
    ベトナムのタクシードライバーでエースドライバーの『ビエン』
    同じくベトナム人で英語が堪能なガイド『メイ』
    これに慎一郎と長瀬を加えた父親探しの旅が始まる!

    最後のエピローグが本書を読んで良かったと思わせてくれる!

    長瀬を主人公にした他作品があれば読みたいと思った!

    それと本書はハードボイルドでミステリーな旅小説です!

  • ある程度以上好きになった作家さんの初期作品やデビュー作を読む場合は、いつも身構えてしまう。
    粗削りさ(稚拙さ?)にガッカリしてしまうことが何度かあったから。

    垣根涼介のデビュー作は・・・・

    すっごく面白かった♪
    冒頭の十数ページでぐいっと物語に引きずり込まれたかと思うと、その勢いで最後まで一気に読まされてしまった。
    巻末解説者や、受賞時の選評者が絶賛するわけが、よく解る。

    "垣根節"が効いた登場人物造詣…は、この時点で既に出来上がってたのね。

    ★4つ、8ポイント半。
    2019.11.21.新。

    ※「ボーダー」を読んだ際、、、
    初出のキャラ(しかも主要な役どころではない)のエピソードに随分とページを割くなぁ…と思いつつ読み終えた際の皆のレビューに

    「……ルースター」の彼のその後が見れて嬉しい♪

    的な感想をちらほら見かけた。そっか、あの「慎一郎」が、今作での彼だったのね。と、納得。(読み返したくなってしまったが…既に手放した後(苦笑))



    ※既に多作に友情出演している慎一郎義兄妹はもちろん、長瀬も源内も、十二分にキャラが立っていた。シリーズ化しても良かったんでないかい?

  • 旅行代理店勤務の長瀬。中西社長に頼まれ、孫の慎一郎のベトナム行きに付き添うことに。実は慎一郎は、かつてベトナムで失踪した父親を探す目的だった。単なる人探しに思えたが、いろいろな事件に出くわして。。。というお話。異国の地で人探しをするだけの、のんびりした話かと思いきや、なかなかドキドキハラハラのサスペンスだった。筆者が車やバイクが好きなんだろうなあ、とおもわせる描写もあり、面白かった。

  • ガチガチじゃなく、程々のハードボイルド感で、どんどんストーリーに引き込まれた。主人公がウルトラスーパーマンじゃなく、拳銃やマシンガンが飛び交わないのがいい。他の作品もぜひ読んでみたい。(^_^)v

  • 旅行代理店勤務の主人公が、ジュエリー会社の社長に孫息子をベトナムに連れていってほしいという依頼を受ける。孫息子の真の目的は行方不明になった父を探すこと。一方、社長は未亡人となった娘を、提携先の会社と子息と政略結婚させようと画策する。父を探す手がかりは、テレビのベトナム特集でチラと映っていた姿のみ。元テレビマンの主人公の友人を加えた3人で行方不明になった父を探す。
    というわけで、なかなか手の込んだ設定になっていて面白かったです。相変わらず著者の好きなバイクと車のディテールの話が盛り込まれていて、この方面に興味のある人にはたまらないかも知れません。
    今はコロナでなかなか海外に行きたくてもいけないので、こういう異国情緒を感じる小説は良いかも知れませんね。ベトナムはなかなか行きたいところじゃないかも知れませんが。
    オチはなんとなく読めてしまったので、ミステリーとしてはふつうかも。

  • 垣根さんの時代物が面白かったので、昔の作品を読んでみた。スピード感があって、まるで映画のようなエンターテインメント性が楽しめた。主人公の男の子が格好良すぎ。

  • 垣根さんのデビュー作です。

    約2年ほどかけて書き上げたそうです。

    すさまじい執念ですね。

    作家のデビュー作を読むのはその後の作品にどんな影響をしていくのか興味深いものです。

  • 面白かったー!
    登場人物が魅力的に描かれてるのがまず良かった。主人公の長瀬は器用で何でもそつ無くこなす感じ。でもそんな自分について理解もしてるからたまにちょっと嫌になるという人間らしさもある。
    もう1人の主人公とも言える少年、慎一郎も16歳とは思えない冷静さで子供ならではのうるささ、青さみたいなのがほとんど感じられず(彼の生まれ育った境遇によるもの)もしかしたら不自然というかこんな子供いないのかもしれんけど…読んでるぶんには無茶なことしたりせんからイラつかされんで良かった。
    ベトナム現地の運転手のビエンや娼婦のメイ、長瀬の友人(と素直に言えるのか分からんくらいには仲良しこよしって感じの関係性ではないけど)の源内…皆それぞれ個性的で好感持てた。

    魅力的なのはキャラクターだけじゃなくて話の内容も。次々先が気になってあっという間に読めた。時間としては3時間近くはかかったけど体感としてはあっという間。
    スリルもあるし長瀬の機転をきかせる場面もあるし、うっすらロマンス的な要素もある。
    長瀬は仕事もできるし人間的に頼りになるところが異性として魅力的やと思うから、最後メイとどうにかなるかな…とちょっと期待したけど実は彼女いましたーって言うのも妙にリアルやった。

    慎一郎の周りの大人たちは皆勝手やな、、
    皆親ではなく「男」であり「女」のままで…慎一郎なら大丈夫やと思って甘えてる。慎一郎だけは自分で自分の人生を選択することもできず雁字搦めになってて。
    最後は父親が彼に逃げ道を多少与えたけどそれだって死ぬ思いでこっちから会いに行ったからこそで本来は息子には一生会うつもりなかったみたいやし。父も母も愛情が薄いというか慎一郎を息子ではなく個々の人間というか守るべき相手としては見てない感じと言うか。
    それは今現在祖父が大きな力を持ってて経済的にも社会的にも十分に彼を守ってあげられると分かってるからこそでもあるんやろうけど…。
    全てを知った慎一郎の胸の内を思うとひたすら切ない。そして最後に父から渡された腕時計を窓から投げ捨てたのはちょっとスカッとした。
    慎一郎の今後の人生が幸多からんことを…と願わずにはおれんかった。

  • 本書で特に印象に残ったシーンが三つ。
    一番印象に残ったシーンは、父親を見つけながらも、日本に戻らないとする父親から何かの資金にもなると貰った高級腕時計を成田空港から自宅に帰る車中から息子が投げ捨てるシーン。
    二つ目は、エピローグの最後にある一番鶏ルースターの鳴き声に「この国、日本で鳴き声を聞かなくなってから久しい」と述懐するシーン。主人公の父親が妻子と過去を捨て、「動かせる明日がここにあるから」とベトナムに身を投じたいわくを暗示するシーンでもある。
    最後は、プロローグにある成田空港のパーキングに乗り捨てられた車に駐車場の親父が「日本に戻るより楽しいものを見つけたんだろ」「今の生活を放り出して手に入れたいものなんて想像もつかない」と述懐するシーン。
    混沌とした熱いエネルギー漂うベトナムを舞台とした謎解きの物語りに印象的なシーンを上手く配置した小説だなあと感じ入りました。
    父親がベトナムで描きたい人生は、妻子を捨てなくても出来たはずではないかとも思いつつ⋅⋅⋅⋅⋅

著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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