顔のない男 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656812

感想・レビュー・書評

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  • 連作短編集の形をとったような長編小説というのかなぁ~
    それぞれの章で、空木と関係のあった人物が描かれ
    空木の人物像を読み解こうとするんだけど
    これがなかなか見えてこない。
    何かがわかると、謎が増えるって感じで全体像すら
    ぼやけてしまって、やたらと転がされました(^◇^;)
    設定が複雑なので、頭がこんがらがります。

    それでも最後の方では、ヒヤヒヤのドッキドキで
    予想外の結末が待ってました。
    シリーズ物とは違うお話は新鮮で面白かったです。

    本作に出てくる原口&又吉の警察コンビ。
    陶子堂シリーズに出てくる警官コンビですよねぇ~
    そして、三軒茶屋のビアバーも出てきます。
    原口が通っていたのですねぇ~
    マスターはいたけど、会話はしてないっぽいです。
    陶子と鉢合わせになることはなかったのかなぁ~
    こういう楽しさもあったので、得した気分です。

  • 北森さんの本はどれもテイストが違ってて、どれも面白い。


    多摩川沿いの公園で発見された、空木精作の遺体。。
    彼は親の遺産でひっそりと暮らす、近所に知り合いもいない、誰の印象にも残らない顔の無い男だった。。
    しかし、空木には隠された顔があったのだった。。。


    空木の過去を探っていく刑事と、その部下とのだましあいや、上司との確執。 そして最後に現れる黒幕。どれを取っても次はどうなるんだろうと読ませます。 実はこの本、短編だそうだ。それを長編に上手くつなげて書かれてる。 次々起こる事件が上手くつながって、最後にはひとつの結末へと導いてます。


    本当北森さんって文を書くのが上手い。作家さんに対して失礼だが。
    こういう作品がもう読めなくなってしまったことをまた嘆いた読後。

  • 公園で発見された暴行死体。被害者の空木はなぜ、どうやって殺されたのか。いくら調べても生活の痕跡が出てこない被害者。顔のない男。原田と又吉は、彼が残したノートを手がかりに捜査を進めていく。

    話の展開に波があり、長編としての一体感には欠けるなあと思いながら読んでいたのですが、連載中は短編での連作だったようで合点しました。
    もう少しそれぞれの短編の整合性を高めてほしかったと思います。
    真犯人は中盤くらいでわかっちゃいました。

  • 惨殺死体で発見された空木は交友関係が皆無の〈顔のない男〉だった。彼が残したノートを調べる二人の刑事は新たな事件に遭遇する。
    (2000年)

  • この人のは民俗学系のシリーズ以外では初だった。

    著者の経歴を思えば、そうだよなそうだよなという舞台ですんなりと。

    でも正直、ラストに相関図が欲しい笑

  • 殺人事件を追うコンビの若手側の視点を中心に話が進みます。
    被害者が書いた事件の解決に役立ちそうなファイルを見つけて捜査するうちにコンビを組むベテランへ段々と不信感を募らせ、最初の事件に関わる人々が次々と殺害される状況に翻弄される姿が短編の連作仕立てで書かれていました。
    殺害される人々の関係が入り組んでおり少し読みにくかったです。

    三軒茶屋のビア・バーは色々な客が来店するなぁ、と改めて思いました。

  • 先の読めない展開!スピード感はないものの、続きが気になるぅ~~!!!そして、まさか、まさかのっっ!!!

    また、それぞれの題がいい。
    「真実情報」「隠語研究」「堕天使考」「変貌要因」「赤色凶器」「遠景接写」「仮面幻戯」なんて、北森さんらしくてついつい読みたくなっちゃいませんか?w

    北森作品はシリーズが有名すぎて、こちらは地味な存在かもしれませんが侮るなかれ!北森ワールドに迷い込むこと請け合いです♪

  • 刑事が主役の短編連作? というか長編だよね?
    人がバタバタ殺されていく話で、途中から誰が死んでて誰が生きているのかわからなくなる(笑)
    とある男が公園で殺された。その事件を捜査していくうちに、その男と関係のある人間も殺されたり、犯罪を犯していたり、次から次へと事件が絡まり、最後は……

    面白かった

  • 「空木精作」という男が殺害される。「空木」は,親の遺産で生活をしている生活感のない男。動機も,凶器も見つからない。原田と又吉という刑事は,ひょんなことから空木が残したノートを見つける。ノートは,空木が調査していた事件について書いているように思われた。それぞれの短篇の中で少しずつ「空木精作」の正体が描かれる。島海恭司は,「空木」を訪ね,栄光商事が輸入した違法オイルで妹が死亡したとして,「空木」に,「持田」がどこいるか,突き止めるのを手伝ってほしいという。「空木」は,自分こそが持田であり,自分の生活を確するために,「持田」を名乗っている者を殺害する必要があると考え,殺害の計画を立て,進めていく。「持田」を名乗っていた者の正体は,諸岡課長だった。諸岡課長と通じていた高橋は,「空木」を殺害する。なかなか意外性のある真相であり,個々の短篇のデキ,全体の構成も秀逸。なかなかの作品。★4で。

    ○ 真実情報
    付き合っていた女を殺害した男が,嫌疑を免れるために,自分がその女から詐欺にあい,その女性の身元を探そうとしていると見せかけるという話。この話では,「栄光商事」という休眠会社が出てくる。

    ○ 隠語研究
    関口美佐枝というコンピュータ会社に務めるOLが殺害された事件。犯人は妹で,フリーターの妹が姉の保険証でクレジットカードを作り,借金を重ねたため,秘密を守るために姉を殺害したというもの。関口美佐枝は,昔,栄光商事で働いていたことがあったという。

    ○ 堕天使考
    薬物中毒の症状がある如月恵梨香が,「空木」の死体の第一発見者である高橋千太郎を殺害してしまう。天使の絵をめぐる話。如月恵利香は,栄光商事の持田社長の愛人だったという。

    ○ 変貌要因
    栄光商事の事務所に出入りしていた柳田壱輔の母親が,自殺に見える形で死んでいたが,鍵が存在しない。自殺か,他殺か,死因が特定されていないので,保険金が支払われない。柳田が,妻を殺して保険金を得ようとしたという話。

    ○ 赤色凶器
    島海恭司が,バイクを盗もうとした岡本晋を殺害してしまう。岡本晋は,栄光商事の従業員だった。ここで,空木が書いたノートは調査ではなく,殺人の計画なのでは…という疑いが生じる。

    ○ 遠景接写
    恒松という配置薬の営業マンから,持田一家の過去を聞く。持田は,一家心中から逃げ出していたという。又吉は,「空木」が本当に追っていたのは栄光商事ではなく「持田」ではないのかという疑問を抱く。

    ○ 仮面幻戯
    栄光商事の譲渡手続きを行った雪山という行政書士がメインとなる話。原田は,雪山が「持田」と繋がりがあると考えており,雪山を泳がせるが,雪山が殺害される。又吉は,原田の捜査状況を諸岡課長に告げる。又吉は拉致をされるが,拉致をしたのは原田ではなく諸岡。諸岡こそが,「持田」として栄光商事で違法オイルを輸入していた。原田は,諸岡と又吉以外の捜査一課全員に,推理を語っており,捜査一課の協力を得て,諸岡を逮捕する。

  • 連作短編というよりは長編。
    展開は面白いのだが、落ちは若干ややこしい。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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