日本の「敵」 (文春文庫)

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著者 : 中西輝政
  • 文藝春秋 (2003年10月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167656829

日本の「敵」 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 小泉政権下で書かれた、いくぶん時評的な性格のエッセイを収録しています。ただし時評的といっても、著者の議論はつねに百年、二百年を単位とする文明史的な観点が取られており、小手先の「改革」によっては達成することのできない、文明史上の危機への対処がどのようにしてなされるべきかという課題に答えるものになっています。

    著者が日本の「敵」と目しているのは、もちろん中国など「外」なる敵でもあるのですが、それ以上に、「親中反米」を策動する「内」なる敵に対処しなければならないという主張が掲げられています。そして、「内」なる敵であるような日本人が生まれる精神的・社会的背景への取り組みが緊要の課題だと指摘します。

    ただ、こうした点へ注目しているのは、著者とは異なる政治的立場に立つ内田樹も同様ではないかと思います。うろ覚えなのですが、尖閣諸島などで日本と中国の軍事的な衝突が起こった場合、日本では軍を出すことについて賛否が割れるのに対し、中国は軍を出すことに対する分裂はないだろうと内田が指摘していたと記憶しています。著者の言う「内」なる敵を叩いて、日本国民が一致団結して戦うというのは不可能であり、そのことを前提に日本の外交と安全保障を組み立てていく方が、現実的というのであればより現実的だと思うのですが。

    そもそも「内」なる敵というレッテル貼りは、悪質なプロパガンダに類する言い方です。彼らに誤りがあるというのであれば、それを冷静に指摘することで要は足ります。

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