- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167659035
作品紹介・あらすじ
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは-。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。
感想・レビュー・書評
-
クライマーズ・ハイ…登山者の興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態のこと
オーディブルで読んだ。
かなりの没入感。これだけ小説の世界に引きずり込まれたのはとても久しぶりだ。
主人公は地方の新聞社記者。
登山サークルの仲間の同僚と谷川岳衝立岩の登攀を予定した日の前夜に日航123便墜落事故が起きる。急遽事故の全権担当デスクを命ぜられた主人公・悠木は誌面作りに忙殺される。一方で、一緒に登攀するはずだった同僚は、なぜか繁華街で倒れ昏睡状態になっていた…
同僚・安西が残した登山の理由「下りるために登る」にはどんな意味が込められているのか…
息子との関係、後輩の自殺、昏睡状態の同僚の容態、そして、圧倒的な量の仕事にもがき苦しむ主人公・悠木の姿に共感せずにいられない。
最後の登山のシーンでは号泣してしまった。
誰もいないところで聴いていたから良かったけど…
ブクログ利用者は「必読の小説」と言って過言ではないかな。すごくおもしろい。
♫上を向いて歩こう/RCサクセション(1979)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
渾身の文章って感じがしました。命って平等を突き詰めた話です。谷川岳って綺麗ですよ。
-
惹きこまれる時間だった、一冊。
日航機墜落事故をベースに描かれる物語。
臨場感溢れる描写、緻密に描かれた熱気と緊張感に包まれる報道の世界が頭にスッと浮かぶ。
そして様々な立ち位置での主人公の心の機微に読み手の心も揺さぶられる、そんな瞬間を何度も味わい、涙、苦しさと共に惹きこまれる時間だった。
命の大小を突きつけられた瞬間は確実に心臓がギュッとつかまれた瞬間。言葉よりも涙が…。
山は哀しみを埋もれさせる場所でもあり、希望、再生を与える場所でもある…そんな思いと共に圧巻の筆力で導かれたラスト。
清々しい空が心に焼きつく。-
くるたんさん♪こんばんは。
私も、この本積んでいます(^^;
レビューを拝見したら読んでみたくなりました。
どこに、置いたかな?
...くるたんさん♪こんばんは。
私も、この本積んでいます(^^;
レビューを拝見したら読んでみたくなりました。
どこに、置いたかな?
他にも、この夏くるたんさんの本棚から読みたいと思っている本があります♬
昨年の夏は京極さんのシリーズを確か今ごろ私は読んでたなあとか思い出しました。2020/08/10 -
まことさん♪こんばんは♪
ありがとうございます♡
私も映像で観ただけで、今回やっと小説で味わえました♬
暑いあの日、あの事故のあの裏側とも...まことさん♪こんばんは♪
ありがとうございます♡
私も映像で観ただけで、今回やっと小説で味わえました♬
暑いあの日、あの事故のあの裏側ともいうべき世界、熱気が読み応えありましたよ♬
ぜひぜひ〜♬
私もまことさんの本棚、レビューいつも興味深く拝見してます♡
京極作品、懐かしい〜!1年経つんですね\(´ω` )/2020/08/10
-
-
横山さん読むのは4作目かな。
登場人物が多過ぎて、組織の関係性把握がしっかりわからないまま、読み切りました。
が、初心者の私には難しかったー、、
映画なってるのかな、そち観てみよう。
ちゃんと把握しながら読めば、
大部屋の緊迫感をもっと感じれただろうな。
次は、ほのぼのほっこりを挟もうかな笑
中盤で出てきた、社の近場の韓国の経営者がやってる焼肉屋、ホルモン焼いてくれる店主。
ビール飲みながらの光景は、羨ましく印象に残ってます笑
-
1985年夏、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落し520人という犠牲者を出した。
山も深く傷ついていた。引き受けたのだ。他のどの山でもなく、世界最大の事故を、あの御巣鷹山が引き受けたのだ。
この一文に、テレビで観た御巣鷹山の情景が、生存者の女の子たちがヘリコプターで救出されている様子が、濃い霧の中から現れてくるように記憶の底から浮かび上がってくる。新聞に載っていたのか、亡くなられた乗客の方の遺書に悲しみで心が震えたことも覚えている。
その事故の裏で徐々に判明する惨状や真実、原因などをわたしたちに伝えるための『新聞』を作るジャーナリストたちがいた。彼らがそれらの記事を書くために、どれだけの苦悩や諦め、挫折や衝突があったのかということを今初めて知った。
群馬県の地元紙『北関』で日航全権デスクとなった悠木は、当初事故が長野県であってほしいなどと思ってしまう。けれどこの事故と対峙した7日間で、彼は自分が何たるかを知り、仲間の言葉に涙を流し、そしてその先の人生を決定づける結末へと突っ走ることとなる。悠木は器用な男ではないのだろう。ジャーナリズムに対してとことん真っ直ぐでいようとすればするほど、周りとの摩擦は激しくなる。家庭でも息子とうまくいっていない。そして、一緒に衝立山へ登るはずだった安西は倒れ植物状態となる。幹部の思惑に潰される若手記者の記事、各部署との激しいやり取り、そして世紀の大スクープとなるべき確信の持てないネタへの恐れ。それらを全部悠木はひとりで抱える。更にある女性の投書への対応を見れば、彼が本当は優しく繊細な男であり、真のジャーナリストだと分かる。
悠木は自分ではたったひとりで闘っていたと思ってたのかもしれない。家庭でも、仕事場でも孤独だと思っていたのだろう。けれど本当は、仲間たちや息子もちゃんと彼の背中を見て、追い続けていたのだと思う。
「どこへ行ったって、俺たちの日航デスクは悠さんですから」
この言葉以上に彼への仲間たちの信頼の大きさが表れるものはないだろう。
著者の横山秀夫さんはこの当時、地元群馬の新聞記者だったそうであるから、この小説は単なるフィクションではなく、もしかしたら、ほとんどノンフィクションなのではないかとさえ思ってしまう。
それほど、骨太な男たちのこの7日間の物語は熱くひりひりと迫ってくるものがあるのだ。 -
1985年8月に発生した日本航空機墜落事故を題材とした一冊。
著者は当時、まさにその現場で新聞記者をしていたそうで、作品の中にはその場に引き摺りこまれるかのような臨場感が常に感じられた。
物語は、墜落事故をきっかけに40歳の悠木が、仕事に、家庭に、更には友人の安西のことで奮闘するさまを描いている。
私の表現では興味は湧かないかもしれないが、まずは手に取って読んでほしい。
魅力はたくさんあるが、これだというものは登場人物だと思う。
人物描写に臨場感があり、登場人物がすべて魅力的だと思った。主人公の悠木は言うまでもなく、県警キャップの佐山、その部下の神沢。幹部勢の粕谷、追村、等々力、亀嶋。同期の岸、田沢。さらには悪役的なところの白河や飯倉、伊東。 その全てが活き活きとしていて、だからこそ私は悠木がより際立って感じた。
あの時代は仕事は生活・家庭とは切り離せないし、職場が家の延長線上にあった人は多くいたと思う。上司・先輩は親や兄だし、同期はまさに兄弟だ。
悠木が感じたように家族がそこにあって、全員で仕事と向き合っていたのかもしれない。今では考えられないかもしれないが。
そんな時代の仕事をしてきたから悠木は自分がやっていることに信念を持っていたし、現状に不満を持てていた。
まさにカッコいく、かっこ悪い親父だ。
是非、まだ読んでない人に読んでもらいたい。
読み進めながら、一緒に期待して、失望して、同情して、共感して、また期待して。
悠木に声援を送ってあげてほしいなと思う。
個人的には、「そのハーケンは、、、」というシーンと、「同期だろうが!!」というシーンが熱くなりました。 -
JAL御巣鷹山墜落日航機墜落事故を題材とした作品。
ジャーナリズムの在り方に鋭く迫る内容となっている。
悠木をはじめ、登場人物たちの活き活きとした人間味に引き込まれる。 -
1985年の日航機墜落事故の取材の陣頭指揮を取った記者の物語。
新聞社の中の人間関係や駆け引きなどいわゆる仕事ものの小説です。
読むうちにどんどん引き込まれていきます。
オススメ! -
とても良い小説でした。
面白かったです。
十数年前映画を観て感動した記憶があったので、以前から原作小説を読みたいと思っていたのです。
日航機事故の全権デスクとしての決断の苦悩、新聞記者としての意地、男たちの戦い、新聞社内の人間模様などそれぞれが良く描かれていました。
地方紙の役割はなんなのかとの問いかけもありました。
父と従兄弟を亡くした女性からの「重い命と、軽い命、大切な命と、そうでない命。日航機の事故で亡くなった方たち、マスコミの人たちの間では、すごく大切な命だったんですよね」という投稿が非常に心に残りました。
途中、ヒキタテンコーという文字が出てきて昭和生まれとしては、とても嬉しくなりました。
とても感動する小説です。
もう一度映画を観たい気持ちになりました。