新装版 翔ぶが如く (8) (文春文庫)

  • 812人登録
  • 3.84評価
    • (85)
    • (105)
    • (121)
    • (7)
    • (0)
  • 46レビュー
著者 : 司馬遼太郎
  • 文藝春秋 (2002年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167663025

新装版 翔ぶが如く (8) (文春文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 遂に西郷の東上が始まった。東上の途中、熊本で政府軍と激闘を繰り広げることになるが、薩軍の気合頼みの拙劣な戦術が、かの軍を敗北に至らしめる過程が克明に描かれている。得意の白兵戦に持ち込みたいのだが、政府軍の銃撃戦に押されてしまう。各地の不平士族の決起を頼りにしていたところも戦略の甘さを物語っている。

  • 西南戦争がいよいよ始まる巻。文章は戦いの詳細を事細かく綴っていく。ただ、当の西郷隆盛は戦争に乗り気ではなく、周りの桐野や篠原が政府軍との戦闘を進めていく印象でちょっと拍子抜けがする。士族の反乱はやがて国民の政治参加を促す運動へと続いていく過程が読んでいて興味深い。ともかく続けて読み、西南戦争が何をもたらしたのか確認していきたいと思う。

  • 始まりましたね。

  • 今回は大久保利通さんは、まったく出て来ず。
    明治10年2月の西南戦争の状況が描かれていました。

    つまり、青竹1本で落とせると思っていた熊本城を攻めて、高瀬で3回官軍と戦って「あれ?なんだか思っていたよりも苦戦じゃん!味方増えないじゃん!」って薩軍が思うところまで。

    今のところ、官軍側で飛びぬけてダメダメなのが、乃木希典さん。
    長州ってだけで地位を得た人で、やっぱり愚鈍でリーダーには向かない人物として描かれていました。

    この巻の乃木さんは、若いとはいえ、命令されたことしかできない視野狭窄人間で、失敗すると後始末よりも前にすぐに死んでおわびをしようとする使えない困ったタイプね。

    巻末に熊本の詳細な地形図がありました。
    最後まで気がつかなかった!
    最初からこれを見ながら読んでいくと話がわかりやすいよ。

    しかし、西郷軍も無計画極まりないし、官軍は農民さんたちを鎮台兵として徴兵して、費用も結局は人民に全部押し付けだわで、苦しめているだけ。

    今の財政界が明治政府の系統を汲んでいるから間違った歴史観をお役所に植え付けられているけれど、そもそも明治維新は成功していないよねぇ…。

    明治維新後に構築され、内部分裂し、暴走した薩長土肥メンバーによる昭和の大きな敗戦を経て、後に戦勝国が敷いたレールを今は走っているだけなわけで…。

  • 16/1/22読了

  • 西南戦争が始まったが、「太政官軍対反太政官軍」の図式という以外に何もなく、薩軍も本来の目的が何であるのか忘れてしまっているようだ。
    「敵を叩く」ことに終始しており政略も戦略もなく、維新の功高い薩摩壮士とは思えない戦いだ。
    西南戦争については一般的に「明治の初期頃に政府と西郷率いる薩摩を中心とした不平士族の内戦」というくらいの認識しかない。
    この「翔ぶが如く」を読んで、その歴史の前後関係や対外情勢、思想気分などをつぶさに観察してみると維新〜西南戦争の姿がよくわかる。

  • 西南戦争、はじまるよ~~!!いよいよ戦闘が始まるも、盛り上がらない…。大した正義のない戦争のつまらなさよ…。


     とはいえ、日本人の戦争の始め方ってもんがわかる。こういう思考回路に陥った時、戦争は始まる。そして、戦争が始まるように敵に罠をかけられる。
     この巻は戦争のない未来のために、読んで心に刻まないとダメだね。

     日本人が巨大な敵に竹槍で応戦しようとするのはこの頃からあったんだなぁ、いやもっと前からなんだろうなぁ。

    _____
    p24 日本人には
     西南戦争のきっかけは西郷暗殺の疑い、だったが、その本質は違うところにあるとアーネスト=サトウは見抜いていた。
     日本人の戦のやり方は、堂々たる理論を展開するのではなく、不正義な事件を取り上げ大方の人情を刺激して開戦に持ち込む。

    p94 清正城
     熊本の不平士族の一人、池辺吉十郎は薩軍の別府晋介に「熊本城は加藤清正が築いた堅城、いかに攻めるのか」と問うたところ、「別に方略なし。鎮台兵もし、我が行く手を遮らば、これを一蹴して通るのみ」と別府は答えた。

    p125 清正信仰
     地方のあらゆる階層の土着民に信仰されるほど愛好を受けたのは、加藤清正と西郷隆盛くらいである。
     清正は戦国時代にこの土地を封じられて、勇猛な性格と秀でた土木技術から人々の人気を集めた。

    p157 反官感情
     当時さつまで流行した数え歌に「盗みは官員、咎は民」という物があった。それほど当時の新政府は反感を持たれていた。 
     これは西郷が一番敏感だったことで、維新を好機とみて下級士族が成り上がり贅沢に溺れるようになっている様子を誰よりも嘆いている。

    p218 緒戦
     「戦い全体においても緒戦が大事である。小さな隊ことにあっても同じことだ。最初に士気を挙げてしまうだけでなく、味方の士気が低下し、敵を怖れるようになる。そのひらきは埋めがたいほどに大きい。また最初の戦闘に負けた指揮官は、、次の戦闘で名誉を回復しようとし、つい無用の無理をし、また負けたりする。いかに次の機会に苦闘をし、その次の機械に苦闘をしても、人は、あれは名誉回復のためにあせっているのだとしかみず、正当な評価をしてくれない。戦闘は最初において勝たねばならない。」

     薩摩人において歴史的に濃厚な思想である。たしかにわかる。緒戦に勝ったものほど冷静に次の戦いに臨める。
     戦で一番大事なのは冷静なことである。

    p261 戦略ではなく戦術
     薩摩軍は戦術的戦闘にこだわってしまった。目指すべきは東京の新政府であるはずが、目の前の熊本城を完璧に落とすことにこだわった。それゆえ、長い目で見た戦略のない戦い方が目立った。
     
     薩摩の戦の仕方は、個々の部隊長に作戦は一任するというやり方だった。それゆえ、一つ一つの戦闘に行き当たりばったりで臨んだのである。
     正義である自分たちに酔っていて、信じる者は救われる、正義は必ず勝つ、という根拠のない自信だけで動いていたんだなぁ。コワイコワイ。ISISかよ。

    p332 金による納税
     日本の農本主義では国際経済に参加できない。そのため、新政府は明治六年から農民にも納税を金銭で納めるよう定めた。
     農民は動揺、混乱、反発したが施行された。多くの農民が金納できず苦しみ、土地を売り小作農に没落する者も多かった。地主は資本家化し、旧来の封建的隷属関係から資本主義的格差関係の社会に人々は困惑した。

    _______

     薩摩士族が新政府の軍人になった。やはりその雰囲気が残っていたのだろう。昭和でも同じような戦術と戦略の認識違いを犯してしまった。

     日本人の戦争が人々の感情を利用して始めるというのも、すごく大事な観点である。
     これから政治家が国民の感情に訴えるようなことをしてきたら危機感を持って、それに否と唱えよう。




     戦が始まると、とたんに話のふくらみ方が狭窄してしまい、面白くなくなってきた。もっと広い視野で物語が進まないかな。
     大久保利通どこいった。

  • 薩軍出撃
    無策の突撃

  • この巻から、いよいよ西南戦争の戦いの様子が描かれることになります。西郷という「人」を擁していることを重く見て、現実的な戦略を練ることを怠った薩摩軍の愚かさに、焦点が当てられている印象です。

    他方、政府軍の方では、谷干城や樺山資紀、乃木希典などの姿が描かれます。著者は『坂の上の雲』で、武士の道徳を体現しているような乃木の人物像に対して、やや辛辣な見解を示していますが、本書に登場する若き日の乃木に対する著者の評価はあまり明示的には語られておらず、もう少し著者自身の見方を語ってほしかったという不満が残ります。

  • 熊本城に籠る政府軍(熊本軍)+博多から上陸する政府軍vs薩軍
    政府軍は農民の寄せ集めと言われ、弱く、薩軍は士気高し、高瀬で会戦。

全46件中 1 - 10件を表示

司馬遼太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
司馬 遼太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

新装版 翔ぶが如く (8) (文春文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

新装版 翔ぶが如く (8) (文春文庫)の作品紹介

明治十年二月十七日、薩軍は鹿児島を出発、熊本城めざして進軍する。西郷隆盛にとって妻子との永別の日であった。迎える熊本鎮台司令長官谷干城は篭城を決意、援軍到着を待った。戦闘は開始された。「熊本城など青竹一本でたたき割る」勢いの薩軍に、綿密な作戦など存在しなかった。圧倒的な士気で城を攻めたてた。

新装版 翔ぶが如く (8) (文春文庫)のKindle版

ツイートする