デッドエンドの思い出 (文春文庫)

  • 6092人登録
  • 3.75評価
    • (636)
    • (738)
    • (1063)
    • (85)
    • (13)
  • 683レビュー
  • 文藝春秋 (2006年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167667023

デッドエンドの思い出 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • すごく辛いことがあって、もう二度と立ち上がれないかもしれない。そう思っても、悲しみが永遠に思えても、生きている限りいつかは乗り越えていけるんだろう。未来の自分から「絶対大丈夫だから」って励ましてもらえるような、そんな優しい本。

  • 人の縁って、出会いって、いいなぁ。
    夫婦になれたとか、家族になれたとかじゃなくて、自分の心の中の宝箱にそっとしまってある温かいもの。

    温かさという目に見えないものを、うまーく表現して、ほろっとさせてくれる素敵な本でした。
    そういう想い出を、いつまでも大事にしたいです。

  •  すごく大変なことが起きて、毎日寝る暇も惜しんで仕事をして。本なんて読む時間がないよ、でも短編なら合間に読めるかな、と思って。ずっとアマゾンの欲しい物リストに入れておいたこの本を買った。結局、たまたま時間ができて、すぐに最後まで読んでしまった。
     どの短編の登場人物も、つらい思いをして、普通ならとても耐えきれないと思うほどなのに、逃げながら、流されながら、受け止めていく。「俺や君の、不幸なんて、比べ物にならないものがこの世にはたくさんあるし、そんなの味わったら俺たちなんてぺしゃんこになって、すぐに死んでしまう。けっこう甘くて幸せなところにいるんだから。それは恥ずかしいことじゃないから(デッドエンドの思い出)」
     私はよしもとばななさんの作品は数える程しか読んでいないし、代表作もまったく手つかずなので、こういう言い方はおこがましいのかもしれないけれど、このかたの作品は、悲しみの深層をえぐりながら、それをいつも柔らかく救ってくれる。淡々を悲しい事実を綴る小説はある、いくらでもある。私が読んだよしもとさんの作品は、悲しみ、つらさを心の奥底からすべて引っ張り出しているのに、それを入れた器は透明であたたかく愛に満ちている。そういう文章にいつも、私は穏やかな息を吐いて最後の頁を閉じる。こういう小説が世の中にあるというのは、ありがたいことだ、と思うのである。

  • 本を読んだあと心に残るもの、とか言えば何とも小学生の感想文のようだけど、それこそが甘い甘い読書の「蜜」だと僕は思う。それは小説によって色も触感も匂いも温度も違うし、僕なんかはこうして何とか文章に残したいと思うけど、言葉で表現することが何よりもむずかしい抽象的なものであって、でもそのあいまいさこそが、読書の普遍的なよさでもある、というのは僕の勝手な思想であります。
    でもだからこそ(いつも)不思議に思うのは、ある小説を読むと言うこと、それはその小説の舞台、主人公の性格、状況はいつも決まっていて、読みはじめたら(というか作品が読まれる状態で存在する時点で)揺らぐことがない、どこまでも具体性に満ちた世界に飛びこんでいくことであるのに、その世界を突きぬけた僕の心には、あいまいで抽象的、かつ普遍的な「蜜」の味が残っているということだ(一つの小説を読み終わって、別のを読むとき、何となくそれを億劫に感じる理由の一つかもしれない)。
    そんなことを、この本を読んでまた強く感じた。
    ……短編集だからなおさらかなあ。
    それぞれ違う話で、それぞれ違う「蜜」なんだけど、ぜんぶが最後の「デッドエンドの思い出」のいちょう並木につながっていくような。不思議な感覚なんだけど、それがまたばななマジックっていうか。女性的というか、母性的?みたいな(もはや自分でも何言ってるかわからん)。とにもかくにも、最終的に短編集としてのこの作品の「蜜」に、物語の展開や、描写や、言葉選びに、読む人の心をまるごと包み込むような優しさを感じるのです。それで僕は、昼休みの社員食堂にも関わらず、目を赤くしちゃったんだろうなあと思います。

    「みんな、とりあえず形のとおりにふるまっているだけで、本当はそこの奥にあるすてきなものをお互いに交換しあっているのかもしれないと私は思った。……私はその日、……何ともならないおかしな道に沈んで行きそうだった自分が、不条理でいつ死んでもおかしくない、この不確かな世の中の仕組みの中でかろうじて働く、人間というもののよさに、大きく救い出されたような気がしたのだ。」(p.101)

    家族とか、恋とか、別れとか、幸せとか、絶望しても生きていくうえでとても大事な要素のこと(とくに人と人のつながりについて)をたくさん書いてくれていて、たぶんこれを書いたのがばなな氏にとってもそういうことを一生懸命考えた時期なんだろうなあと言うのはあとがきを読まなくてもわかる。こういう本に救われる人はけして少なくないはずだ。もちろん僕も、その一人なのですがね。

  • 心に傷を負った時、無理に治そうとするのではなく、見ないふりをするのではなく、ただ一緒に回復を待ってくれる人がいれば、どれだけ支えになるだろう。
    この本は、そういう本。

    とても透明で、すこぶる柔軟で、暖かい心を持った人がいる。
    育ちがいい、というか、育てられ方がいい、というか、極めて自然に人のために動くことができる人がいる。
    直接問題が解決するわけではなくても、その人がそばにいてくれたら、イケそうな気がしてくる自分がいる。

    この本が人気なのは、そういうことなのではないかと思う。

    作者は、出産を一か月後に控えて書いた表題作を「これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。」とあとがきに書いているが、私は『「おかあさーん!」』を読んで、彼女が小説家になってくれてよかったと思った。
    朝、仕事を始める直前まで読んでいたら、目が真っ赤になってしまって大変困ったけれども。

    “おかげで私は、中途半端に体の具合が悪くなるということはどれほどたちの悪いことか、身をもって思い知った。ずっと微熱の続く風邪のようなもので、起きていられないわけでも、働けないわけでも、笑ったり泣いたりできないわけでもなかった。ただいつでも、だるくて、頭の中がしびれているような感じだった。だから、何をどうしたらいいなんて何にも考えられなかった。ただ、頭がはっきりするまでをしのいでいただけだったのだということもわかった。”(「おかあさーん!」)

    そう。ただだるいだけ。気力がわかないだけ。
    自分の心がどれほど小さく固く凝りかたまっているのか気がつかなかったころ、私もそう思っていた。
    すぐ治るはず。大したことない。
    でも、実は自分がものすごく我慢をしていたことに気づいたとき、少し息をすることが楽になった。
    そんなことを思い出した。

    “それは神と呼ぶにはあまりにもちっぽけな力しか持たないまなざしが、いつでもともちゃんを見ていた。熱い情も涙も応援もなかったが、ただ透明に、ともちゃんを見て、ともちゃんが何か大切なものをこつこつと貯金していくのをじっと見ていた。”(ともちゃんの幸せ)

    見ていてくれるなら、それだけでいいと思う。
    見ていてくれるなら。

    作者の考える幸せの情景って、部屋でマンガを読むのび太とドラえもんなんですって。
    なのでこの本は、藤子・F・不二雄先生に捧げられています。

  • ことばで、言い表せないこと。

    こまごました素敵なものたち

    景色、空気。


    そして心の奥底に潜む、
    暗くて不穏なドロドロした
    なにか。

    それらの対比がすばらしい


    感覚が研ぎ澄まされた、
    そんな人が書けるんだろうなぁ

    小さな宝物にしたくなる、そんな本です。

  • こういうのは、丁寧にゆっくり読まなくちゃ。
    生きてくってことが、胸の奥底にすっと溶けていくような物語集。

  • 登場人物に共通する、高潔なたましいがじわじわ効いてくる。
    なにかを失ったとき、誰かのせいにしたり恨むのではなくじっと静かに、自分を鼓舞する方法をさがす人々が描かれ、限りなくやさしく美しい風景に心が安らいだ。

  • 数あるばななさんの著書の中で、私が一番好きな本です。

    ばななさんの文章を読んでいると、種類の分からない涙がぼろぼろ落ちることがよくあって
    心置きなく泣いたらすっきりしています。浄化、だと思う。

    お守りみたいに思っている本です。

  • 入院中に院内文庫にあったので、手にとって見た。
    ショートショート風で、どのストーリーも切ない。
    でもあったかい。

    しっとりした内容ばかりですが、あとを引いて、また読みたいなぁ~・・・と思わせるところは、さすが、よしもとばななさんです。

    『幽霊の家』がとにかく好きで、他の話も印象に残りすぎていて、文庫本を買いました。とにかくお気に入りの1冊です。
    よしもとばななさんの本の中で、一番好きかも♪

全683件中 1 - 10件を表示

よしもとばななの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
よしもと ばなな
吉本 ばなな
よしもと ばなな
有効な右矢印 無効な右矢印

デッドエンドの思い出 (文春文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

デッドエンドの思い出 (文春文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

デッドエンドの思い出 (文春文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

デッドエンドの思い出 (文春文庫)のKindle版

ツイートする