- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167667054
感想・レビュー・書評
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2010.8.28読了
「同じように見えて安定しているように見えるものごとは実はわずかに流れ動いていて、必ずその兆しをあちこちに見せながら展開していく。まるで万華鏡のように少しの動きで世界はダイナミックに一変する。」p7
「全てのことがほんとうはそういうふうに毎回少しずつ違っているのに、広すぎてこわいから、人間はいつでも固定させて、安心しようとするの。知ってることのなかに。」p127
よしもとばななさんの作品は、なんとなく言いにくい物事とか、言葉にならない感情とかをさらっと言いのけてしまうから好き。出だしの食欲に関する部分もいい。「本能的にあらがえない欲。元々は生存のために、今となっては、なんだかわからない理由づけがたくさんなされて。」とか。
過去にとらわれず今を生きるチエちゃんもすごいけれど、私はひとつひとつ整理していくカオリちゃんのほうが尊敬する。家族も仕事も、恋も今後の生活も、誰かに頼ったり誰かのせいにしたりすることなく、自分で消化して流れを見つけてる。外から色んなプロットを作って逃げるのは簡単なのに、まっすぐ日々と向き合う強さがいいなぁ。うん、イタリア行きたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。
チエちゃんや、「海のふた」のはじめちゃんには自分にない静かな強さがあって憧れる。
過酷で傷つくことの多い生い立ちでも、愛されて育った人の強さ。
同じくらい愛されて育っているのに、つまらないことで愚痴ばかりの自分に喝を入れてくれる作品。 -
チエちゃんはブス可愛いタイプなんだろうか…。
主人公の人生を味わおうとする姿勢が羨ましく思えた。
こんな風に生きれたら良いけど、とても難しい…。
最後の方がトレンディドラマみたいで、きゅんきゅんした。
【追記】
他の人のレビューに「40代になったらまた読みたい」とあったけど、私もそう!
まだちょっと感覚的にわからない部分があるかも。 -
ばななさん特有の綺麗で透明な空気感が楽しめた。
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久々によしもとばなな読んだ。よしもとばななの中ではかなり上位。
別にあせらなくてもいい。今をもっと楽しみたい。簡単なようで難しい。 -
最初はチエちゃんが交通事故にあった時、聞かなかった事にして二時間くらいしてから行こうかと、イタリアンレストランの料理と比べるような程度の疎ましい関係なのかと思ったら大事らしく、その大事に思うチエちゃんへの主人公の思いを比喩的に延々と綴られている事を読んでいて何度か眠くなった。でも随所にイタリアンの風が吹き込むイタリア好きさんには堪らない作品なのかな。作中のリモンチェッロと言う菓子を一度食べてみたいなと思ったら口の中にレモンの酸味が広がった。自己満足でも他人が理解しなくても自分が幸せと感じる生き方は素敵かも。
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少し変わった生い立ちをもつ従姉妹のチエちゃんと暮らす
私ことカオリの話。
今、ただ目の前にある情景が自分の世界で
それ以上でも、それ以下でもない、
そんなカオリちゃんの考え方が好き。
そして、チエちゃんとの同居生活に依存していることが
健康的でないと知りつつも
それを解消することが出来ず
また、いずれ訪れるであろう同居生活の解消が
受け入れられないカオリちゃんの葛藤が
自分を省みるきっかけとなる。
人間は独りではないけれど
人間関係には必ず終わりがあって
相手のことを思っていればいるほど
その関係が終わることを受け入れられず
しかし、相手を思うからこそ
その関係の解消を受け入れなければならないという事実。
このとき、相手に依存していればしていただけ
ダメージは大きくて
そのときのダメージを考慮した結果の
行為ではないけれど
自分も、他者に精神的に依存しないで生きていこうと強く思う。
よしもとばななの書く女性は
仕事や植物に依存はしていても
他者に依存している女性はいない。
そんな生き方に憧れるからこそ
彼女の書く作品が好きなのだ。
他者との関係で悩むのはやめよう。
自分だけが悩んでも答えが出ないから。
それから、私はどこへだっていける。
足枷はどこにもない。
すぐにでもこの部屋を引き払って
誰も私のことを知らない土地に行って
ゼロからスタートすることだって出来る。
なんだか、そういう可能性すら考えられる
1冊でした。 -
全身を預けて信頼できる人そうそういない
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2010年4月14日(水)、読了。
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2010/3/18 読了