カカシの夏休み (文春文庫 し 38-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167669010

感想・レビュー・書評

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  • 本書は3つの作品から構成さており、最初の二つは30代の教師が主人公で、最後の一つは、自殺した同級生の遺書に名前を書かれてしまった弟を持つ、女子高生の姉が主人公。
    その中の「ライオン先生」は、竹中直人主演でテレビドラマになっていたそうですね。(2003年)
    個人的にもその話が一番印象に残りました。
    中年になり、今までの生き方では通用しなくなってきた主人公。自慢のライオンのような長髪も今では時代遅れ。亡き妻の言葉を守り抜きながらも葛藤し、変化を受け入れようとしたり抗ったりする姿勢がとても人間味があり好きでした。
    薄くなった長髪を、カツラを被り自分を偽ってライオン先生であろうとした主人公。結局それを脱ぎ捨てた時も、これは退化ではなく進化だと感じました。
    全ての問題が解決したわけではないけれど、生きることへの希望が最後に示される優しい世界だと感じました。

  • 3編からなる本ですが、どれも100ページ以上あり、しっかりした作品ばかりでした。
    重松氏のあとがきには3編は「帰りたい場所」、「歳をとること」、「死」がテーマだと記されています。
    前の2編は学校の先生、最後は生徒が主人公です。
    どの作品も読み終えると「がんばらなきゃ」と元気がでます。
    この本も大切においておきたいと思います。

  • 前回、読んだ重松作品が『疾走』で内容が重過ぎて、しばらく読む気になれなかった重松清サン。でも久しぶりに読むとやっぱり、好きだ。特に小学生の男の子が登場すると、私はヤられてしまいます。

  • 努力は必ずしも報われない。この歳(アラフィフ)でよく実感できる言葉。人生半分以上終わっていても、この先も未来がある。若者の思う未来とは意味が違うかも知れないけど、そんなやるせなさを感じる短編集でした。
    重松さんの作品はそんな言い訳ができない、中年世代を代弁してくれているように思え胸に染みます。

  • 人生半ばを過ぎて、努力しても必ずしも報われないこともあることはわかっている私ですが。
    いろいろなものを抱えた登場人物達のやりとりに、悲しいような辛いようなものを感じました。

  • かなり辛かった。
    思ったよりテーマが重く、読んでいて辛いものがあった。

  • 重松作品を読むたびに思うのは、いつも作者が読み手と一緒に物事を考えていこうとしているって事。作家が読者に「こうだよ」「こうじゃない?」っていうよりは「こう思うけど君はどう?」っていう具合に読みながらいつも重松さんと一緒に考えている気がします。僕の勝手な感じ方なのでしょうが、いつもそれを感じるって事はそれが重松作品って事なんだろうな。怒り、喜び、悲しみ、、、何か心が欲した時には重松作品を読む事にしています。

  • 中年と呼ばれる年齢にさしかかった主人公は、毎日の淡々とした生活にやりきれない想いを抱え、
    かつて子供時代を過ごしたあの村に、帰りたい・・・と願う。
    ダムの下に沈んでしまったその場所に、多くの想いを馳せながら、自分自身と向き合っていく過程を描いた本。
    どこか独特の寂しいものを感じさせる。
    重松さんの本には多いだパターンけれど、
    かつて一緒に子ども時代を過ごした人達との再会には、暖かい雰囲気を感じた。
    第2章『ライオン先生』はかなりお気に入り。
    思わず微笑んでしまいそうな、ライオン先生の不器用さ。
    欠点も時には魅力になるってこういうこと(笑)。ライオン先生は、ドラマ化されました。
    お勧め! 

  • やっぱり,おもしろい。
    やっぱり中年が主人公。
    中篇小説が3篇の小説。
    表題作の「カカシの夏休み」,もう一つは「ライオン先生」,最後は「未来」。
    最後の「未来」だけが,若者の女の子が主人公。

    個人的には「ライオン先生」がお気に入り。
    「ライオン先生」では,頑張るのをやめたい,頑張っているおじさんが主人公で,頑張るのをやめて,気軽に頑張れるようになったというお話(よくわからん)。

    やっぱり,重松氏は「哀愁の作家」だなぁと勝手に感じました。

  • あまりに等身大で。
    明るい公園で読んでたのですが、読了後にはどっしり何か明るくはないものが(決して悪いものではないですが)残りました。

    重松清さんの本をまた別の機会に別の形で読んでみようと思いました。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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