虹の家のアリス (文春文庫 か 33-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167673024

感想・レビュー・書評

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  • 『螺旋階段のアリス』の続編。

    脱サラ探偵・仁木と、助手の美少女・安梨沙が謎を解く、日常系ミステリ連作六話が収録されています。

    前作ではもっぱら安梨沙が謎を解いていましたが、本作では仁木さんも頑張っております。
    取り扱うのは育児サークルへの悪戯や、頻発する花泥棒だったりと一見些細な事件ですが、裏側には人の心の闇が潜んでいるのですよね。
    仁木さんの娘さんと息子さんも登場し、第五話「鏡の家のアリス」では、息子・周平さんの依頼で彼の恋人のストーカー問題の解決に挑んでおります。
    因みにこの話では、印象操作に振り回されて結構混乱してしまいました。“真のストーカー”だった方の彼女のキャラが中途半端で“結局、何だったん?”と、少し消化不良な感じでした。
    個人的には、“猫版・ABC殺人(猫)事件”といえる、第三話「猫の家のアリス」がお気に入りかな・・。
    ところで、天使のようだった安梨沙が、本書では小悪魔的な側面を見せ始めたりと、じんわりキャラ変してきましたが、“ブラック安梨沙”も嫌いじゃない私でございます。

  • 丁度1年前に読んだ「螺旋階段のアリス」の続編。

    相変わらず手掛ける事件は珍妙なものばかりで、仁木のハードボイルドな探偵への拘りもやや薄れた模様。安梨紗のほうは変わらずほんわかだけど、彼女の洞察力や気配りは良さを増したよう。

    最初の3つの話は状況証拠に辿り着いたところで丸く収まる可愛らしいところから始まって、4話目からは、意外などんでん返しもあるけれど、寧ろ市村家や仁木家の色んな事情が描かれて終わる展開。
    何となく謎解きはどうでも良いような感じだが、それでも『読みやすくって面白くて楽しい』(解説の駄文)ってところは確かにあり。

  • 2巻目。
    ・前作より不思議の国のアリス風味が減った。
    ・仁木の探偵ぶりが板についてきた
    ・安梨沙の家事能力と聡明さとしたたかさが際立つ
    ・仁木の娘と息子の丹力に感銘

    彼女の聡明さでもって、仁木を立てながら問題解決に助力し、新たに依頼人を作り出す手腕を持っている。
    それでも安梨沙は今まで誰かの幻想でいることに応え続けて、自分がやりたいこと、なりたいものが見つけられずにいたのだろう。でも仁木探偵に出入りして、仁木の家族に触発され、どんどん変わっていく。

    実家の人間からの「理想の娘」像…おしとやかで美人で、気が利いて、家事が上手で夫を立てて自分達の言うことをよく聞く子。。。
    どこへ出しても恥ずかしくないお嫁さんにするためだけに仕込まれたスキル。
    もちろん、それは今自分が「教養」としてものすごく欲しいスキルだけど(笑)
    自分が好きで磨いたものじゃなければ確かに美佐子の言う通り不憫だ。

    でも最後には
    「私はもう、人が見たいものが映る鏡でいるのは、止めたの」
    と決意し、実家に戻るという。

    え、安梨沙さん、せっかく
    色々自由に羽ばたけそうなのに!?
    男の趣味マジで悪いな!
    でも、彼女の力でこれから、彼女の周りの人間も変わっていくのかもしれない。
    たぶんそんなに劇的には変わらないだろうけど、仁木一家というよりどころができた彼女はきっと、今までとは違う、「自分の言いたいこと、やりたいこと」を行っていくのだろう。

  • マジでやられたミステリに挙がっていた
    鏡の国のアリス(本書所収)を目的に購入

    加納朋子って読んだことがあるような無いような
    記憶には無い
    積読は多量にある 
    ん?

    コージーミステリ短編集
    目的の作品は後方にあるのでそこまでサクサク読み進めた
    内容は可もなく不可もなく50点かな

    さて目的の鏡の国のアリス
    上記の通り、ソレ系のストーリーだと分かっていたので始まって秒で看破
    こんなことある?

    叙述トリック作品の致命的弱点、つまりそれこそがネタバレのパターンを思い切り踏んでしまった
    しかも冒頭でこんなにも分かりやすい事ある?

    あーはいはい。あーこれ伏線ね。ああ加納氏、露骨ですなこれは、デュッフw

    そしてどうやら解決編に突入かな
    事前情報を入れていた自分が悪いね
    筆者に非はないです
    予想通りの結末やね

    って、アレ?なんか違くない?ちょっと一旦、話を整理しておこ…



    試合結果
    〇加納朋子−なぷるぷる×(6分30秒KO)

    試合後インタビュー
    練習していたパターンがハマっていたので、これはイケると思ったんですがすべて相手の罠でした。こちらの攻撃を誘って受け切ってから反撃されるとは
    正直、気づいた時には手遅れでどうしようもなかったです。フィニッシュも綺麗にやられました


  • やはりこの著者の作品はとても安心して読むことができる。いいところばかりではないのが人間だけれども、不思議といいところばかりが浮かび上がる。読み終わって心地よい安堵感に包まれていることに気付いた。

  • 2021/1/17
    むっちゃ時間かかった。
    通勤が減ったのが最大の理由だけどなんかのらないよな。
    私、所長がそこまで言うほど彼女に魅力感じないのね。
    だから所長が言えば言うほど冷めちゃう。
    まあそれは所長もなんだけど。

  • チロ〜(笑)
    ツボどころがそこか?と自分にツッコミたくなった。
    キャラクターが広がってまた楽しくなった。

  • 巻末にある倉知淳氏の解説が見事なので抜粋。
    > 読みやすくって面白くって楽しい
    さらに付け加えるのなら、「優しくて暖かくてほっとする」かな。加納朋子さんの短編、やっぱ好きだわ。読後に感じる、なんというか肩の力が自然に抜けていくような、不思議な安心感みたいなものが素晴らしく心地良い。

  • 安梨沙ちゃんはなんで英一郎なんかが良いんだろうか??
    それが一番の謎だ。
    アリスシリーズはこれで終わりかなぁ?
    まだまだ読みたいけれども。

  • ちょっとした謎と日常。
    読みやすいが、これといった押しポイントが無いなぁという印象、

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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