憑流(hyoryu) (文春文庫 あ 42-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167675035

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  • 主人公は資産家の娘。
    彼女には兄が一人いるが、彼は容姿端麗、家は金持ちのお坊ちゃまで頭も良い、非の打ち所の無い人間。
    そんな兄がある女性と運命的な出会いをし、結婚する事になるが、妹である主人公は嫂となる女性の事が何故か気に入らない。
    その思いは彼女だけでなく、彼女の祖母、母も同じ思いだった。
    だけど、結婚相手の女性は美しく、清らかで、家柄も申し分ない相手、さらに働き者で頭もいい。
    それなのに、何故彼女の事が主人公、祖母、母親といった一家の女性陣は気に入らないのか・・・。
    やがて、兄は結婚。
    それを機にそれまでも恵まれた存在の兄はさらにツキに恵まれていく。
    所が、それと同時に結婚に乗り気でなかった祖母は亡くなり、さらに母親までも病で倒れる。
    ある日、家の周りをうろつく、みすぼらしい身なりの男性から主人公は嫂の出自について知らされる事となる。

    あらすじをざっと見た所、嫂の女性がもっと恐ろしい女性なのかと思っていたらそうではなかった。
    あくまでも彼女は清らかで、彼女のもともともつ血やとりついたものが恐ろしいというもので・・・。
    後半はその嫂にとり憑いたものについての話がやたらむつこく書かれているという印象でちょっと退屈してしまった。
    多分、こういう民俗学、信仰に作者が興味があってそれが描きたかったんだな・・・と思った。
    何といっても主人公の女性の印象が薄い。
    もっと後半、自分の家のために戦う姿が見たかったな・・・と思う。

    私がこの本を読んで思ったのは、主人公の兄が後半に思った事と同じ。
    何かがとり憑いてツクようになった嫂の一族だけど、それが本当に幸せなのか?ということ。
    まさにそれは幸運ではあるけれど、それと幸せというのは別物のように思う。
    神様がとり憑いてそのおかげで一族が繁栄していくーだけど、とり憑かれた人間はまるで操り人形のようで、自分の手でつかんだものでない幸せだけにありがたみみたいなものもなく、どこか現実みのない、ただの幸運のように感じる。

    日本のどこかにこんな一族がいるのかな?もしかして・・・と思う内容ではあった。

  • 途中挫折

  • 2018.11.2-175

  • 神蛇が憑いてる女性と結婚すると富をもたらしてくれるといわれる女性と知らずに結婚した家族にもたらした幸せと不幸。憑いてると知らなかった女性も神蛇に導かれるように生きていて何かに護られていたという事実を知って神蛇と共に生きていく決意をする。


    2017.01.15読了

  • 霊的な話
    最初から面白く、どんどん読めた
    朝日奈家の人々が不憫

  • 2014.9.17ー69
    憑きもの、輪廻。詰まらなくはないけれど、こう都合よく次々に死んでは却って興醒めの感あり。

  • 100301

  • 坂東真砂子氏が書きそうなテーマ。
    こういう民俗系の話 好きです。

  •  美男美女、そして名家同志ということで朝比奈幸宏と結城苑香の結婚は皆に祝福され、豪華な披露宴も執り行われた。朝比奈家に嫁ぐことになった苑香は才色兼備なだけではなく、彼女と付き合うようになってから幸宏は全てにおいてツキに恵まれ、この上ない幸せを味わっていた。しかしこの文句のつけようのない嫁に対して何か不穏なものを感じ取っていた者たちもいた。幸宏の祖母、母、そして妹の真希である。そして彼女達の予感は的中。ツキと同時に朝比奈家にとっては不幸なことが多発するようになる。

     本人が意図したわけではなく、知らないうちに結果的に一族の血を繋げて他を排除するということをやってのけているのがこの話の怖いところ。生理的に嫌悪感だとか、肌が合わないという感覚は誰しもが感じたことがあると思うけど、こういう風に血が関係していることもあったりするのだろうか。後味がいい話では決してないが、蛇や風習をもちだしてのサイコホラーとしてはよくできた話だと思う。

  • 面白かった。今まで読んだ明野さんの作品の中では
    一番好きかも。
    救いのない終わり方といってしまえば
    それまでだけど、明野作品にみられる
    「罠」の中で一番魅力的な「罠」だな。

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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